リベラル・アーツの由来と近代化時代区分用語や概念伝統的な哲学の言説 人文学者の半田智久の学術論文によると、リベラル・アーツはしばしば、職業的な学びや教育とは異なる「実用性から自由になった学芸」と解釈されており、それとの比較で「技術知」(テクネー)は奴隷的技能ともされる[28]。しかしリベラル・アーツの誕生経緯を見れば、もとは様々な実学が「自由」な方法でリベラル・アーツに含まれていた様子がある、と半田は言う[28]。 ソクラテスやプラトンも、靴作りの技術を数論・弁論と並べて語る等の「自由性」を見せていた[28][注釈 8]。奴隷的技能(技術知)に関しては、古代ローマの特徴として奴隷身分は解放される道筋があり、解放奴隷は哲学者や偉大な軍人や政治家となって後世に名を残したという「自由度」があった[28]。すなわち「ラテン的な実学を、知を愛し求める一線に連ねてしまう自由こそがもともとのリベラルアーツ」だったと半田は言う[28]。 半田によると、「リベラル・アーツ」の語源は古代ローマ(共和制ローマ)のラテン語で、端的にはアルテス・リベラレス(artes liberales)である[32]。リベラル・アーツという語句について──厳密にはその語源に相当する「自由人にふさわしい諸学芸」(artes, quae sunt libero dignae)や「自由学問」(doctrina liberalis)について──最初に論じた古代ローマの学者としては、キケロ、ウァロ、ウィトルウィウスなどが居た[33]。彼らは同時代人であり、特に「ローマ最大の学者」と言われるウァロは医術や建築をもリベラル・アーツに含めていた[32]。建築家ウィトルウィウスは、建築家になるために子供の頃から学ぶ必要のある学科目として、次を挙げている[33]。body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}
古代ギリシア
テクネー(技術知)
テクネーに関する言説
古代ローマ
アルス(技術知)/テクネー
アルス/テクネーに関する言説
アルテス・リベラレス(自由学芸)アルテス・メカニケー(機械学芸)
中世?近世ヨーロッパ
アート(学芸/技術/芸術)/アルス/テクネー
アート/アルス/テクネーに関する言説
アルテス・リベラレス/リベラル・アーツ(自由学芸)
アルテス・メカニケー/メカニカル・アーツ(機械学芸)アーティフィシャル(人工的)アートフル(アーツ(リベラル・アーツ)に精通した/熟練した/芸術的な)[注釈 6]
近代(19世紀)以降
リベラル・アーツ(自由学芸)
テクノロジー(技術学/科学技術)
アーティフィシャル(人工的)
アート(純粋芸術/ファインアート)
アートフル(巧妙な/悪賢い/狡猾な/技巧的な)[注釈 7]
縮小・終了
(専門化・分業化による近代的な自然科学、社会科学、人文科学の誕生と拡大)
歴史