2015年12月になって双方の政治家が交渉を行い、リビア統一政権の樹立が目指されることとなり、新首相としてファイズ・サラージ(日本のマスメディアでは「シラージュ」表記が多い)が指名され、暫定政権として国民合意政府
(英語版)が発足したものの、両方の議会で批准を得られず、統一政権発足は足踏み状態となった[26][27]。2016年3月31日になって新国民議会はサラージ率いる大統領評議会(英語版)に権限を移譲するとした[28]が、もう一方の国民代議院(トブルク政府)は国民合意政府を承認していない[29]。2016年10月14日、ハリーファ・アル=グワイル(英語版)率いる国民議会派(英語版)がクーデター未遂事件(英語版)を起こし、トリポリの国家評議会の建物を占拠[30]。国民救済政府の樹立を宣言し、グワイルも首相を自称したが、2017年3月16日にようやくトリポリより兵を引くことで大統領評議会側と合意した[31]。
2019年4月、東部のベンガジなどを支配するハリファ・ハフタル将軍傘下のリビア国民軍(LNA)が、国民合意政府が拠点とする西部のトリポリに向けて進撃を開始。戦闘が行われ、アントニオ・グテーレス国際連合事務総長や、LNAを支援するエジプトが自制を求める事態となった[32]。結局、LNAは撤退を余儀なくされたものの、こうした混乱はリビアを経由した中東・アフリカ各地から欧州への難民流出の背景にもなった[33]。
国民合意政府とLNAによる内戦が泥沼化する中、LNAを支援するエジプトは2020年6月8日、双方に停戦を提案。同じくLNAに加勢するロシアは支持し、欧米も即時停戦を訴えたが、暫定政権を軍事的に支えるトルコは反対し、結局停戦は実現しなかった[34]。しかし8月21日、暫定政権とLNAが停戦で合意し、近いうちに選挙を実施すると発表した[35]。2021年2月に次期大統領評議会の議長を決める選挙は決着しなかったが暫定議長・首相は選出され、3月10日に代議院が統一政権を承認[36]。国民合意政府も統一政権への引き継ぎを承認した[37]。こうして3月15日に国民統一政府が発足した[38]。
政治詳細は「リビアの政治」を参照
2016年末時点で、リビアには以下の勢力が存在する。
リビア内戦地図
名称代表下位組織・勢力支援国・組織成立日
前身
リビア国民代議院(トブルク政府)[39][40]アグイラ・サーレハ・イーサ(英語版)(議会議長)
アブドゥッラー・アッ=スィニー(英語版)(首相)リビア国民軍(陸軍、空軍)[41][42]、ジンターン旅団(英語版)[43]、Warshefana民兵[43]、正義と平等運動(JEM、2016年より)[44]
緑のレジスタンス[45]エジプト(限定的関与[46][47])、アラブ首長国連邦(限定的関与[46])、フランス[48][49][50]、アメリカ合衆国[49][51][52] [53]、イギリス[49][54]、ヨルダン[55]、ロシア[56]、チャド[57]2014年8月4日
リビア国民評議会→国民議会 (2012-2014)
国民合意政府(英語版)(リビアの夜明け、統一政府)ムハンマド・アル=メンフィ(大統領評議会議長)大統領評議会(英語版)、国家最高評議会(英語版)
大統領警備隊[58]、ミスラータ旅団[59]、サブラタ軍事評議会(革命旅団)[60]、石油施設防衛隊[61][62]、リビア軍(リビア海軍(英語版))[63]、ガートのトゥアレグ族民兵[64]、リビアにおけるトゥーブゥー人救済戦線[65]アメリカ合衆国[66] 、イタリア[67]、国際連合(UN)[66] 、欧州連合(EU)[68]2016年
新国民議会 (2014-2016)
国民救済政府[69]ハリーファ・アル=グワイル(英語版)(首相)Libya Shield Force[70]、リビア革命指揮所(LROR)[70]、国家警備隊[71][72][73]、アマーズィーグ民兵[74]スーダン[75]、カタール[46]、トルコ[46]2014年9月6日
新国民議会 (2014-2016)
ISIL[76]Abu Nabil al-Anbari †(リビア支部長)[77]
Abu Hudhayfah al-Muhajir(「トリポリタニア州」知事)[78]「バルカ州」[79][80]、「トリポリタニア州」[81]、「フェザーン州」[81]イスラーム・マグリブ諸国のアル=カーイダ機構(AQIM)[82][83][84]2014年