リバースエンジニアリング
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特に、プロプライエタリソフトウェアに関しては、法ではなくライセンスあるいは契約の下で、逆アセンブルなどのリバースエンジニアリングでソースコードの抽出などを禁止する旨が書かれていることがほとんどだが、そのような条項は独占禁止法の見地からも問題があるとも言われている[4]

バージョン管理システムBitKeeperは当初開発会社の厚意によりオープンソースフリーソフトウェアのプロジェクトであれば無償利用できたが、機能制約や商用ツールであることに対してコミュニティからは不満の声が上がった。さらにアンドリュー・トリジェルが無償版には提供されていない機能をフリーソフトウェアで開発したことが会社に発覚し、無償版の提供が停止された。移行先としてオープンソースのシステムであるGitが開発され大きなシェアを得ることとなった。
ものづくりにおけるリバースエンジニアリング

ものづくりにおけるリバースエンジニアリングとは、製品の先行イメージとして作られたクレイモデルや、既に現物がある製品などの形状データを測定し、それをもとにCADデータを作成する(“起こす”)ことである。

3DCAD、および接触式、非接触式の3次元形状データ測定器が発達するにつれ、こういった方法が急速に普及している。3D CADを活用した製品の事前検討を行う際、CADでは作成しにくいデザインの微妙な変化が織り込まれた製品データや、2D図面しかない製品データを3D化したりする際に活用されている。メルセデス・ベンツ・W196のリバースエンジニアリングの流れ

上の図は、自動車の開発における、リバースエンジニアリングの一例である。右上の絵から順に、クレイモデル、非接触カメラ撮影式の3次元計測器での形状データ測定、測定結果である点群データの張り合わせ、断面線の作成、3D CAD化、そして実車になる(CADと実車の間は、大きく段階が跳んでいる)。
リバースエンジニアリングにまつわる問題

コンピュータウイルスのオリジナルの作者以外が、コンピュータウイルスを入手した際、リバースエンジニアリングによってソースコードを入手し、本来なかった新しい機能を組み込んだり、特定の企業組織を攻撃するように改造し再配布するといった事例が後を絶たない(改造されたウイルスは亜種と呼ばれる)。

なお、コンピュータウイルスやその他悪意のあるジョークプログラムのように、著作権者が名乗る可能性のないプログラムに関して、それが(この例では同一性保持権などが)著作権などで保護されるのかどうかという点は法的に議論になりうる。

マイクロソフトなどのサーバDoS攻撃するMyDoomウイルスは、マイクロソフト側が懸賞金を掛け、2004年5月8日までに犯人逮捕に漕ぎ付けるまでに至ったものの、その後も同ウイルスの亜種発生は続き、同年7月26日にはMyDoom.Oに感染したパソコンから検索エンジンに向けて一斉に検索リクエストが殺到、一時的にGoogle等の主要検索サイトが応答しなくなる事件が発生した。このMyDoom.Oの作者は、偶然入手したコンピュータウイルスのMyDoomに対し、リバースエンジニアリングを行ってソースコードを入手・改造して、再配布を行なったと見られている。

この他にも、市販のソフトウェア製品(基本的にはプロプライエタリなソフトウェア)をリバースエンジニアリングによって解析し、本来ならばライセンスキーをインストール時に入力し、さらにはドングルハードウェアプロテクト)を常に接続しておかなければ動作しないソフトウェアを、それらがなくても動作するようにするプログラムを製作・配布する人物が、違法な不正コピーソフトウェアの蔓延を助長している例が挙げられる。

一方で、そういったマルウェアを解析し、危険性を分析する行為もまたリバースエンジニアリングであることに変わりはない。
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 再配布などを禁じて、契約先にのみ公開する、といった製品は存在する。

出典^ 雪田 2020.
^ SONY COMPUTER ENTERTAINMENT v. CONNECTIX CORP., 203 F.3d 596 (9th Cir. 2000)
^ 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 (2010年4月). “権利制限の一般規定に関する中間まとめ” (PDF). p. 27. 2022年2月23日閲覧。


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