リチウム(新ラテン語: lithium[1]、英: lithium [?l?θi?m])は、原子番号3の元素である。元素記号はLi。原子量は6.941。アルカリ金属元素の一つ。 発見者が所属していた研究室の主催者イェンス・ベルセリウスが名付けた。λιθo?(lithos)は、ギリシャ語で「石」を意味する。これは、リチウムが鉱石から発見されたことにちなむ[2][3][4]。 銀白色の軟らかい元素であり、全ての金属元素の中で最も軽く、比熱容量は全固体元素中で最も高い。 リチウムの化学的性質は、他のアルカリ金属元素よりもむしろアルカリ土類金属元素に類似している。酸化還元電位は全元素中で最も低い。リチウムには2つの安定同位体および8つの放射性同位体があり、天然に存在するリチウムは安定同位体である6Liおよび7Liからなっている。これらのリチウムの安定同位体は、中性子の衝突などによる核分裂反応を起こしやすいため恒星中で消費されやすく、原子番号の近い他の元素と比較して存在量は著しく小さい。 常温常圧では銀白色の軟らかい金属で、ナトリウムより硬い。常温で安定な結晶構造は体心立方格子(BCC)。融点は180 °C、沸点は1330 °C(沸点は異なる実験値あり)であり、その融点および沸点はアルカリ金属元素の中で最も高い[5]。また0.534という比重は全金属元素の中で最も軽く、水より軽い3つの金属元素のうちの一つ(残りの二つはナトリウムとカリウム)でもある[2]。また、3582 J/(kg⋅K)という比熱容量は全固体元素中で最大である[6]。その比熱容量の高さから、リチウムは伝熱用途において冷却材としてしばしば利用される[7]。 リチウムの熱膨張率はアルミニウムの2倍、鉄のほぼ4倍である[8]。常圧、400 μK以下の条件で超伝導となり[9]、20 GPaという高圧条件下においては9 K以上というより高い温度で超伝導となる[10]。 炎色反応においてリチウムおよびその化合物は深紅色の炎色を呈する。主な輝線は波長670.8 nmの赤色のスペクトル線であり、他に610.4 nm(橙色)、460.3 nm(青色)などにスペクトル線が見られる[11]。 リチウムは70 K(?203.15 °C)以下の温度で、ナトリウムと同じようにマルテンサイト変態を起こす。4.2 K(?268.95 °C)で菱面体晶を取り、より高い温度で面心立方晶となり、それから体心立方晶となる。液体ヘリウムを用いて4 Kまで冷却すると菱面体晶が最も支配的となる[12]。高圧条件下においては、複数の同素体の形を取ることが報告されている[13]。また、80 GPa程度の高圧下で金属から半導体に相転移する[14]。 同じアルカリ金属のナトリウム、カリウムと比べて反応性は劣り、イオン半径が小さいため電荷/半径比がアルカリ金属としては高く、化合物の化学的性質は、アルカリ土類金属、特にマグネシウムと類似する[15](ただし、リチウムはアルカリ土類金属ではない)。乾いた空気中ではほとんど変化しないが、水分があると常温でも窒素と反応して窒化リチウム(Li3N)を生ずる。また、熱すると燃焼して酸化リチウム(Li2O)になる。このため、金属リチウムはアルゴン雰囲気下で取り扱う必要がある。ただし燃焼により酸化物を生成する挙動は他のアルカリ金属が空気中で燃焼した場合、過酸化物や超酸化物を生成するのとは対照的である[15]。 イオン化傾向が大きく、酸化還元電位は全元素中でももっと低い?3.045 Vであるが、水との反応性はアルカリ金属中では最も穏かである。それでも多量のリチウムと水が反応すると発火する。 リチウムは腐食性を有しており、高濃度のリチウム化合物に曝露されると肺水腫が引き起こされることがある。リチウムは覚醒剤を合成するためのバーチ還元における還元剤として利用されるため、一部の地域ではリチウム電池の販売が規制の対象となっている。また、リチウム電池は短絡によって急速に放電して過熱することで爆発が起こる危険性がある。 NFPA 704 上記のようにリチウムは腐食性を有しているため、身体へのあらゆる接触を避けることが求められる[17]。水と激しく反応するために、リチウムは禁水性の物質とされている。よって、安全のためにナフサのような非反応性の化合物中に保管される[18]。粉末状のリチウム、もしくは多くの場合は塩基性であるリチウム化合物を吸入すると鼻や喉が刺激され、一方でより高濃度のリチウム(化合物)に曝されると肺水腫を引き起こすことがある[17]。
名称リチウム
性質
物理的性質リチウムの炎色反応
化学的性質n-ブチルリチウム6量体
危険性
232W
金属リチウムに対するファイア・ダイアモンド表示[16]