リスク
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1b その物が取り扱われている(取扱い)状態を特定し、その周り(人、生態、有形財産等)との接触(暴露等)の頻度、範囲、量等を評価し(暴露評価(英語版))、

2 その組み合わせで実際に悪い事象の出現する可能性とその大きさを見積もり、その結果が不当に大きいかどうかを判断する(リスク判定(英語版))

ことになる。
物固有の危険性
機械危険性: 物品の持つ機械的特性に基づく危険性。鋭利な刃先(裂傷にかかわる)、回転機械(巻き込まれ事故に係わる)等。

物理危険性: 物の持つ熱、圧力、音など物理現象に基づく危険性。特に、燃焼性、爆発性が問題となる。

健康危険性: 物質の持つ人の生命および健康に係わる有害性。
急性毒性慢性毒性発癌性。感作性(アレルギー)、生殖毒性、変異原性等。

環境(生態)危険性: 物質の持つ地球環境や人以外の動植物に係わる危険有害性。オゾン層破壊物質地球温暖化物質; 水棲生物に対する急性・慢性毒性。陸棲生物に対する急性・慢性毒性等。

2から4についての多くはGHSによる分類と表示の国際的調和作業が進行中である。これにより危険性を類型的に処理することができるようになり、対策立案も容易になる。国際的にはこのGHSの原型ともいえるRTDGに基づいて航空輸送、海上輸送、陸上輸送の安全対策が立てられている(ただし、日本の陸上輸送の安全は国際基準に基づいていない)。
リスク削減による安全

このように考えることによって、リスク判定の結果「不当にリスクが大きい」、つまり、安全の程度が低すぎるとされた場合、どうやって安全を確保するかという課題を解決する(リスク軽減策を立てる)上で整理がしやすくなる。つまり、

1a 物の持つ固有の危険性を低くする。物質的な加工・修正による事前の処置を指す。

たとえば、鋭利な部分を取り除く、切れにくくする/切れやすくする、不燃剤を混ぜる、粒子のサイズを大きくする(細かいものは粉塵爆発を引き起こす、肺の奥のほうにまで到達して悪影響を与えるなどのリスクがある)、危険有害性の低いものに替える等々。

1b 取扱い手順を見直す、たとえば、切れにくい刃物はそのまま使用せず砥いでから使用する手順とする; 換気を行う(湯沸し器による一酸化炭素中毒); 取り扱うものに合った手袋や眼鏡や前掛け等を使用する; スプレー缶は穴を開けてから捨てる; そしてなによりも取り扱う物の特性(特に危険性)をよく理解する、あるいは、GHSの目的に挙げられているように、その理解に必要な情報をわかりやすく提供する等がある。

経営学上のリスク

企業経営上のリスク対応は、主に経営資源ブランドを確保することが求められる。すなわち資金・人・物・時間というリソースと、会社としての信用である。
工学上のリスク

工学においては、リスク (risk) とは、一般的に「ある事象生起の確からしさと、それによる負の結果の組合せ」をいう(JIS Z 8115「ディペンダビリティ(信頼性)用語」)。この場合、リスクの対象は限定されない。

一例として人体もしくは財産等に対するリスクに危害リスク (risk of harm) といった危害発生の確からしさ、危害の厳しさの1つの組合せなどのリスクがあり、リスクには事象が顕在化することから好ましくない影響ごとが発生されること、その事象がいつ顕在化するかが明らかではない発生不確定性があるという性質が含まれる。
情報技術関連のリスク詳細は「リスク (情報技術)」を参照

情報技術システムにおけるリスクは、経済学と違いより良い結果が出ることはリスクとならない。損失の可能性があるものだけがリスクとみなされる。ISOなどの組織が情報技術におけるリスクを定義しており、ISOは「特定の脅威が資産の脆弱性を悪用し、それによって組織に害を及ぼす可能性のこと。これは、イベントの発生確率とその結果の組み合わせの観点から測定される[7]。」と定義している。対策として、データのバックアップ冗長化や、サイバーセキュリティへの対応など、いくつかの対策が求められる。標準化団体などが、対策として取るべき内容を規定している[8]
監査におけるリスク詳細は「リスク・アプローチ」を参照

財務諸表監査におけるリスクは、重要な虚偽表示を見逃して誤った監査意見を表明してしまう危険性のことを指す。これを特に監査リスクと呼び、固有リスク、統制リスク、発見リスクに分解する。
用語

リスク評価

危険性評価(英語版)

暴露評価(英語版)

リスク判定(英語版)

影響の量依存性評価

リスクモデル

リスクは、マイナスしか考慮しない場合には、危害の源(ハザード)と危害が広がる経路、および発生の重大性、発生確率を数値化し、掛け合わせたものがそのリスクの値となる。プラスも考慮する場合には、利得の源と利得が広がる経路、および発生の重大性、発生確率を数値化し、掛け合わせたものがそのリスクの値となる。
リスクホメオスタシス理論

リスクホメオスタシス理論[注釈 3]はカナダの交通心理学者ジェラルド・ワイルドが提唱したもので、リスクを減らすための安全策を講じても、人は安全になった分だけ大胆な行動をとるようになるため、結果としてリスクは安全策を講じる前と変わらない、つまりリスクには恒常性(ホメオスタシス)がある、とする仮説である。
その他

リスクを制御するための一連の行為を総称して
リスク管理と呼ぶ。1995年の阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件などによって、日本のリスク管理の甘さが指摘された。


リスクに関する研究は、現象学的アプローチ、政策学的アプローチ、経済学的アプローチなど、学際的にさまざまな方面から行われている。


不確実性は、対象に対する完備情報完全情報をもっていないことから生じる。

関連項目注意 関連項目の用語は、ISO用語、PMBOK用語、保険数理用語などが混在しています

リスクマネジメント


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