リアリティ番組
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スター育成

2001年にはイギリスで『ポップアイドル』という視聴者勝ち抜き型歌手育成番組が作られた。これは予選を勝ち抜いた参加者に徹底的なトレーニングを施し、視聴者の判断で一人ずつ脱落させつつ最後には一人のスターを生み出すというもので、世界各地にフォーマット販売されたり(アイドルシリーズ)参考にした番組が製作されたりした。たとえばアメリカの『アメリカン・アイドル』、中国の『超級女声』などは国民的関心を集める怪物番組となっている。101人のアイドル練習生をプロデューサー(視聴者)が投票で選抜して最終的にボーイズグループやガールズグループを生み出すという韓国の『PRODUCE 101』も社会的にブームを巻き起こし、日本や中国にフォーマットが輸出された。

この派生系として、スーパーモデル育成番組、ファッションデザイナー育成番組、スポーツ選手育成番組、コメディアン育成番組、子役スター育成番組、シェフ育成番組、ドナルド・トランプ指導による経営者育成番組『アプレンティス』なども誕生している。
投資

2001年日本テレビで放送開始された『\マネーの虎』は、視聴者が自分の起業アイデアを大物起業家に紹介して投資をもらったり罵倒されたりする形式の番組で、後に『ドラゴンズ・デン』や『シャーク・タンク』などのタイトルで世界50か国以上にフォーマット販売され、投資系のリアリティ番組としては世界最多となっている[9][10]。シェフがレストランのアイデアを紹介して料理をふるまい、投資家たちが判断を下す『レストラン・スタートアップ』や、芸術家が自分の作品を紹介し、審査員が承認したものは有名会場で個展を開くという『ショウ・ミー・ザ・モネ』など、視聴者へ夢をかなえる機会を提供するというリアリティ番組も登場した。

うまくいっていない個人経営の店などが、ビジネスのプロの指導を受けて経営を改善させようという番組の例には、『ウィー・ミーン・ビジネス』や『ザ・プロフィット』などがある。分野を絞った『レストラン・メイクオーバー』や『悪夢のキッチン』(Ramsay's Kitchen Nightmares)、『バー・レスキュー』、『ホテル・ヘル』などの例もある。日本では同様の番組に、1998年に放送開始された『愛の貧乏脱出大作戦』がある。
「構成のない」ドキュメンタリー

リアリティ番組には、まるで自分が、日々の生活を送る男女らや職業人に密着し、受動的な観察者として追っているかのような感覚に陥らせる撮影方法や編集方法をとるものがある。こうした撮影は、壁の上のハエの視点などと呼ばれることがある。番組中の「あらすじ(プロット)」は全く意図的な構成のないものではなく、登場人物の置かれる状況があらかじめ計画されていたり、編集によって物語が作られることがあり、その結果、ソープオペラ(メロドラマ)に番組が似ることになる。それゆえ、「ドキュドラマ」や「ドキュソープ」とも呼ばれる。視聴者は登場人物の本物のプライベートを覗き見るような感覚を与えられる。
ソープオペラスタイル/恋愛リアリティ番組「恋愛バラエティ番組」も参照

意図的にメロドラマに構成や外見が似るようなリアリティ番組が多数存在し、海外では「ドキュソープ」と呼ばれる。これらは関係の緊密な人々(視聴者から公募することもあれば、最初から特定の集団が紹介されることもある)の間の友情やロマンチックな関係の移ろいに焦点を当てる。このジャンルで特に影響力の大きな番組には、2004年から2006年までMTVで放送された『ラグナ・ビーチ』がある。副題に『ほんとうのオレンジ・カウンティ』とつけられたこの番組は、カリフォルニア州オレンジカウンティの若者の華やかな生活を描いた2003年開始のティーンドラマ『The O.C.』を模倣・再現しようとしたものである。『ラグナ・ビーチ』は複数台のカメラを駆使した高品質な撮影や照明、登場人物本人が画面の中で話すのではなく画面の外側で語るボイスオーバー・ナレーションの採用などで、従来のリアリティ番組よりも映画的な雰囲気を実現した[11]。『ラグナ・ビーチ』は、スピンオフの『The Hills』を生み出すほか、世界各国で同様の番組が多数制作され、恋愛リアリティ番組の隆盛をもたらした。

また、2006年に始まった『リアル・ハウスワイヴス・オブ・オレンジ・カウンティ』に始まった「リアル・ハウスワイヴス」シリーズは、一般人であるリッチな主婦たちのメロドラマ的な人間関係や華やかな生活を描いて人気を博したが、これも2004年に放送開始された人気テレビドラマ『デスパレートな妻たち』のリアリティ番組版ともいえる。

映像が映画のようによくできていることから、これらの番組には事前に「指導」や「筋書き」があることをしばしば指摘・非難される。イギリスのリアリティ番組『気まぐれONLY WAY』(ジ・オンリー・ウェイ・イズ・エセックス)のプロデューサーは、参加者に対して場面場面でより感情を引き出すような方法を指導していることを認めているが、番組の展開自体はリアルだと主張している[12]
特殊な職業

警察・消防・救急など緊急性の高い職に密着した番組は低予算で非日常的な映像を撮ることが出来るため、『全米警察24時 コップス[13]のようなドキュメンタリーに近いものから、ゲスト出演者に数日間現場を体験させその様子を撮影するなど、様々なパターンが製作された。日本でも『警察24時』が人気となっている。

実際の弁護士事務所を舞台に法律相談や法廷での対決を撮影するもの、若い弁護士が実際の事件を使って優劣を競う勝ち抜き形式(『The Law Firm』)などの法廷リアリティ番組も製作されている。

僻地の運送業者(アイスロード・トラッカーズ)、漁師(『ベーリング海の一攫千金』)など、人目に触れない仕事に従事する者に密着する番組も、人間関係や競争要素をクローズアップするなどリアリティ要素を取り入れている。
下位文化

主流の文化に対する下位文化(サブカルチャー、少数派の文化)をもつ人々に密着し、主流文化に属する人々を啓蒙したり好奇心を満たしたりするようなドキュメンタリースタイルのリアリティ番組もある。

たとえば障害者や難病患者に密着したものとしては[14]、車いす生活の若い女性たちに密着した『プッシュガールズ』や家族のほとんどが小人症という一家に密着した『リトルピープル、ビッグワールド』、身体障害発達障害学習障害の人々の参加するデート番組『アンデータブルズ』などがある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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