ラーメンズ
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前年の三作がアルファベット4文字だったので、2001年の三部作の公演タイトルは初期の「箱式」のような日本語に戻してみようと思い、インパクトのある漢字一文字で統一され、2音目に濁音が入ることが共通している[41][42]。また、椿、鯨、雀の共通点として日本的ということもあり、幕間の音楽に和風の音源を使用した[43]

第8回公演「椿」のテーマは潔さで、椿の花が落ちる儚さから感じるエロスも表現しようとしており、第9回公演「鯨」では一見強そうに見えるがどこか守りたくなる鯨の二面性を裏テーマにした[41][42]。ライターの石田伸也は「鯨」について評価が分かれる公演になったのは、会場が500人規模になり観客に伝わりづらくなったからではないかと理由を指摘している[34]。いつものラーメンズとは違ったとアンケートに書いた観客もいたが、森山裕之は公演時点で最高傑作だと表した[4]

「鯨」では観客動員が7500人にまで増加し、公演はビデオ化するのが当たり前になり販売チャートでも上位にランクインしていた[44][34]。2001年の7月には5年半続けていたバイトも退職し、ラーメンズの仕事だけで生活できるようになっている[9]。一方この頃のラーメンズは連載の仕事が増え始め、単独公演や特別公演の合間にユニットコントに参加する多忙ぶりで、「椿」のチラシの挨拶では「心身共に疲れた状態でネタを書き始めた」と小林自ら明かしており、オークラにも顔色が悪かったと心配されていた[34][10][45][46][47]

2001年8月から9月にかけて行われた「零の箱式?ヨリヌキ初期作品集?」では、第1回から4回までのコント集の中から厳選した作品が演じられた[48]。開催にあたって初期の作品を映像化したいポニーキャニオンからの依頼があり、著作権的に問題がある作品を除いて「現代片桐概論」、「たかしと父さん」、出世作である「日本語学校」などが選出された[34][48]
2002年 - 2004年

プロデュース公演などラーメンズとは別の活動を経て7ヶ月ぶりとなった第12回公演の「ATOM」は、改めてラーメンズと向き合ったものとなった[49]。初めて300人規模で公演を行ったシアターサンモールを劇場に選び、その時の公演がhomeとアルファベット4文字だったこと、初心に戻るのだからAから始まる単語を探し公演名はATOMに決まった[49]。単語には「これ以上分割できない最小単位」という意味があり、小林の目指す無駄が削ぎ落とされた二人の会話劇に一致するところもあった[49]

第12回公演からわずか2ヶ月の間隔で行われた第13回公演「CLASSIC」は、観劇したライターがお祭り騒ぎのようなライブと評するものであった[50]。小林が元々語感が好みだったCLASSICという単語を辞書で引くと、典型や定番といった意味があることを発見し、「脱典型を目指すラーメンズの典型を出す」という公演テーマが決定した[50]。前公演の「ATOM」がメッセージ性が強かったため、中身が何も無いような作品作りを目指した[50]。マジックとガンダムのオタクのコントはそれぞれの趣味が反映されており、ガンダム用語については片桐自身が用意した知識が用いられている[50]

「過去、最バカ」という製作メモがあった「CLASSIC」を経て、第14回公演「STUDY」では小林本人も不親切な作品だと認めるATOMのような思考するコントに再び挑戦している[50][51]。ラーメンズの認知度が無かった頃は3部作でテーマを合わせていたが、この頃になると一つ一つの公演を特別なものにしようとして統一感が無くなっている[52]
2005年 - 2007年

1年ぶりの本公演で結成10年目の全国ツアーとなった第15回公演「ALICE」は、11都市63ステージのチケットが即完売した[53][54]。初見の観客向けにあえて敷居を下げたコントも採用され、「バニー部」はキャラクター性が強く台本がほとんど無いようなものであった[54]

2007年の第16回公演「TEXT」では、小林自身がロジカル、方程式と表現するコントが実際に観客に受け入れられるかが不安で、初日はまるで答え合わせのような心持ちであった[55]。「TEXT」というタイトルが先に決まっていたが、当初言葉にこだわった公演になる予定はなかった[55]。タイトルに引き寄せられるように普段バカにされがちな駄洒落でスゴいコントを作りたいという思いが芽生え、1本目の50音ポスターのネタでは実際にポスターを購入し、2本目の同音異義語のネタでは調査に時間をかけネタを作っていった[55]。結成当時から思い描いていた削ぎ落したスタイルに試行錯誤の末にたどり着き、小林は「ラーメンズ」というものを提示できた自負があった[55]。小林はソロ活動やユニット公演を経て手数や武器が増えたと感じており、2時間でコントが6本とひとつひとつが長いコントを成立させ、取材を担当した石本真樹は「見事な言葉遊びの連続」と評した[55]

演劇ぶっくが開催する読者投票による2007年のランキングでは、作品部門の5位にTEXTがランクインしている[56]。投票理由について日本語表現の巧みさに驚いた声や、作り込まれた台本を評価する声があった[56]。個人でも俳優部門で小林が1位、4位に片桐がランクインしており、小林の脚本、片桐のキャラクターパワーに称賛が集まっている[12]


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