ラーメンズ
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小林のネタ書きは1日3時間ほどで、細かい部分は立ち稽古で擦り合わせていた[16]。まず人間同士の関係を考えており、その関係にどんなキャラクターを当てはめたら面白いかアイディアを出している[75]。小林のネタ作成のマニュアルのひとつに「舞台が立体である」という考えがあり、机上で会話劇を作っていると横関係になりがちだが、一度できたコントを視点を変えて修正を行っている[9]

小林から見ると片桐は台詞覚えが得意であるが、他方で台本がないと上手くパフォーマンスが発揮できず、そんな片桐を活かすため作りこまれたコントのスタイルが確立した[76][9]。一方、片桐の瞬発的な変顔や声が武器であることから、あえて台本でも「変な動き」と抽象的に書くこともある[10]。また、片桐は漫画のキャラクターのような存在感を持っており、言いづらい台詞を嫌な感じにさせない演技ができることから、片桐のセリフ部分に担当させることがある[76]

作品であると同時に商品だという意識を持っており、最初期を除いて体型やダメな部分を笑い人が傷つくような表現を避けている[16][76]。男同士の会話劇なので下ネタが出ることもあるが、親子連れで見に来ている観客を想定すると下ネタはやり辛く、ディズニーランドのような嘘で構成したい思いを持っていた[77]。また、時事ネタは作品の寿命が縮まるため基本的に取り入れていない[78]。定番化したギャグも、初見と常連の観客の間で予備知識の差で感じ方が変わってしまうため採用していない[79]

ラーメンズの作品に歌ネタが多い理由について、劇中の二人が揃って歌うのはリアルではないが、練習をしていた突飛な事実を仄めかせることができるので、ラーメンズが表現している「非日常の中の日常」を生きている人物の世界観を出すのに便利な道具として歌ネタを用いている[79]
舞台構成

まず、身体だけで作り出せる笑いを追求しようと、シンプルな舞台美術や衣装からスタートしている[16]。第3回公演になると、舞台上は背景に無地の布が張られ、小道具も箱だけの最小限の要素だけで構成された[16][15]。舞台や衣装に目立つ部分があると脚本が弱くても成立してしまうという、小林の自分自身の追い詰めかたが表れている[76]。また、無地の衣装を纏うと匿名性が高くなることによって、観客それぞれにとって身近な生活のリアリティを想像させるのを狙っている[9]。小林にとって箱は中身が見えないものの象徴であり、Tシャツやポスターに使われるキャッチコピーのTHE BOX FILLED WITH LAUGH.は、文法的には正しくないが「箱は笑いで埋め尽くされた」を意味している[39]
お笑いと演劇の間

小林はラーメンズを「笑いの要素の強い演劇的パフォーマンス」と称し、あえて「お笑い」という枠に自分達を嵌め込まなかった[19]。ボケとツッコミがあるという固定観念から外れて、笑わせるためにはどのような方法があるだろうか考え、ゼロからラーメンズのスタイルを作っていった[80]。一人が全く喋らないコントなどで新しいお笑いと言われたこともあるが、「他の人はどうしてここに手をつけてないんだろう?」と本人たちは普通にやっているつもりで、自分達が作ったルールの中で1番になれると思っていた[9][80]

片桐はラーメンズ以外の芝居にも参加する中で求められるものがストーリーだと感じ、翻ってラーメンズに求められるものはやっぱりお笑いなのではないかと感じていた[76]。それを受けて小林は、それは目的の話であり、一般的なお笑いのイメージにはやっぱりラーメンズはいないんじゃないかと返答している[76]
作品構造

一般的なコントは冒頭に状況説明や登場人物の紹介があるが、省略しているラーメンズのコントを岡崎太威は「いきなりサビが始まるかのよう」と表現している[15]。インタビューで小林は「ジグソーパズルが最後に嵌まる気持ちよさを味わってほしい」と答えており、物語の全容が見えてこない構成も意図したものである[15]。小林は、人物がいて関係性があり、キャラクターが会話すれば自然に発生するラーメンズの笑いの作用を、科学より数学や物理に近いとし、100を越えるラーメンズのコントのなかで、20本は他者が演じても面白く成立するマスターピースになったと自信を持っている[20][81]
現代片桐概論

「現代片桐概論」は、架空の生物である「カタギリ」の教材用模型に扮した片桐が、直立不動で黙ったまま進んでいくコントである[82][9]。架空の生物学を真面目に講義する教員役の小林が、あるあるネタのように所作や話し方をリアルに演じる落差がコントの魅力になっている[82][83]。元々はシアターDのオールスターライブ用に作られたネタで、片桐のパフォーマンスに納得していなかった小林の「じゃあ何もさせなければいいじゃないか」という思惑が反映されている[34]

井山弘幸が大学の講義で片桐概論を扱った際、実際にカタギリという生物が存在すると勘違いしてしまった学生がいた[84]。そのことから、架空の生物について書かれたとネタ晴らしをせず、学術書の体裁を崩さない鼻行類との類似点を指摘している[84]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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