「過去、最バカ」という製作メモがあった「CLASSIC」を経て、第14回公演「STUDY」では小林本人も不親切な作品だと認めるATOMのような思考するコントに再び挑戦している[50][51]。ラーメンズの認知度が無かった頃は3部作でテーマを合わせていたが、この頃になると一つ一つの公演を特別なものにしようとして統一感が無くなっている[52]。 1年ぶりの本公演で結成10年目の全国ツアーとなった第15回公演「ALICE」は、11都市63ステージのチケットが即完売した[53][54]。初見の観客向けにあえて敷居を下げたコントも採用され、「バニー部」はキャラクター性が強く台本がほとんど無いようなものであった[54]。 2007年の第16回公演「TEXT」では、小林自身がロジカル、方程式と表現するコントが実際に観客に受け入れられるかが不安で、初日はまるで答え合わせのような心持ちであった[55]。「TEXT」というタイトルが先に決まっていたが、当初言葉にこだわった公演になる予定はなかった[55]。タイトルに引き寄せられるように普段バカにされがちな駄洒落でスゴいコントを作りたいという思いが芽生え、1本目の50音ポスターのネタでは実際にポスターを購入し、2本目の同音異義語のネタでは調査に時間をかけネタを作っていった[55]。結成当時から思い描いていた削ぎ落したスタイルに試行錯誤の末にたどり着き、小林は「ラーメンズ」というものを提示できた自負があった[55]。小林はソロ活動やユニット公演を経て手数や武器が増えたと感じており、2時間でコントが6本とひとつひとつが長いコントを成立させ、取材を担当した石本真樹は「見事な言葉遊びの連続」と評した[55]。 演劇ぶっくが開催する読者投票による2007年のランキングでは、作品部門の5位にTEXTがランクインしている[56]。投票理由について日本語表現の巧みさに驚いた声や、作り込まれた台本を評価する声があった[56]。個人でも俳優部門で小林が1位、4位に片桐がランクインしており、小林の脚本、片桐のキャラクターパワーに称賛が集まっている[12]。 第17回公演「TOWER」は「TEXT」から2年という間隔が空いていることもあり、開演時には私語がピたっと止まるほど、客席の緊張感がすごかったと片桐は振り返っている[57]。小林としてはラーメンズ以外の作品を作り続けていたので、2年も時間が空いた感覚がなかった[57]。「TOWER」という公演名には、お笑いとしても演劇としてもあらゆる角度から成立し、なおかつ大きなものを作りたいという思いが込められている[57]。 冒頭のコントは1分間直立不動し「二人がラーメンズ」と言わんばかりのもので、あやとりを用いたコントではあえて面白い瞬間を見せないという手法もとった[58]。「名は体を表す」はコントでありながら一つの話題について話し合い続け、「透明人間」と同様の漫才としても成立する構成となっている[58]。日毎に改善点を話し合いまるで育っていく公演のようで、小林はラーメンズの全17公演で一番好きかもしれないとインタビューで答えている[57][58]。 小林は「TOWER」公演から1年後のインタビューで、「観客の知識や期待のハードルが上がっており、ラーメンズは来るべき位置に来ている。」と答えている[59]。7年間ラーメンズとしての活動が無い間、片桐はエレキコミックとのユニット・エレ片の活動や俳優としてドラマや舞台に出演しており[60][61]、小林は個人活動に力を入れ、プロデュース公演や自身の名を冠したNHKのコント番組・小林賢太郎テレビを継続し、ソロ公演であるPOTSUNENでは海外公演も実施した[62][63][64]。 2016年の小林賢太郎テレビ8において2009年ぶりに二人の共演が実現すると、2016年7月27日より行われた小林演出のコント公演「カジャラ」にも片桐が出演したことで、舞台上での共演も果たした[64][65][66]。TOWER以降公演が行われなかった理由は明らかになっておらず、小林賢太郎テレビ8のプロデューサー・小澤寛は、それぞれの活動に集中した結果たまたま間隔が空いてしまったのではないかと推測している[62][67]。片桐は解散を否定しラーメンズのライブ活動について意欲を示していたが、小林はテレビで活動する普通のお笑いコンビと違うことや、脚本・演出家と主演俳優のような関係になっていることを挙げ、TOWER以前の公演でも間隔が2年以上空いたことがあるので特別なことではないと強調した[27][64]。 2017年1月1日、ソフト化されていたコント100本がYouTube上で公開された[68]。
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2009年 - 2020年