現在のフランス第五共和政憲法には以下のように規定されている。
第1章主権
第2条(共和国の言語、国旗・国歌、標語、原理)
国語はフランス語である。
国旗は青白赤より構成される三色旗である。
国歌は「ラ・マルセイエーズ」である。
標語は「自由、平等、友愛」である。
原理は「人民の人民による人民のための政治」である。
なお、1974年に当時のバレリー・ジスカールデスタン大統領の下でテンポがやや遅めに変更されたが、後任のフランソワ・ミッテラン大統領の就任後に元のテンポに戻された[2]。 フランスの国旗(三色旗)と共に、ラ・マルセイエーズは19世紀のヨーロッパで、普遍的な自由と革命のシンボルとして高い知名度を誇った。革命後のロシアでは1917年から短期間、ロシア語版(労働者のラ・マルセイエーズ)が国歌に採用された。パリ・コミューンで生まれ、その後ソ連国歌となった『インターナショナル』共々、フランス内外で左翼の歌として広まった(元々が軍歌兼革命歌だったのだから、当然と言えないこともないが)。1848年革命でヨーロッパ各国で歌われたことから、第三共和政も成立当初はラ・マルセイエーズを国歌に定めることを躊躇した。しかし普仏戦争敗北以降、フランスではドイツ帝国への復讐を誓う空気が強くなり(最後の授業、ブーランジェ将軍事件も参照)、国内ではむしろ右翼の愛国歌として定着した。1934年2月6日の危機では左派がインターナショナル、右派がラ・マルセイエーズを合唱した。 ラ・マルセイエーズの持つ思想的な響き、他国の国歌と比べて好戦的な歌詞は21世紀に至るまでたびたび物議を醸しているが、二度の世界大戦を経てもなお、この歌はフランス国民の団結のシンボルとして広く受容されている。 2015年11月13日にパリ同時多発テロが起きたときには「フランスとパリ市民との連帯」をあらわすためなどの理由で『ラ・マルセイエーズ』の演奏がなされた。事件当日に開催された国民議会臨時会合では犠牲者への黙祷の後、誰ともなしに『ラ・マルセイエーズ』が歌われだし大合唱となった。国民議会で議員によって『ラ・マルセイエーズ』が歌われるのは第一次世界大戦終結後の以来である[3]。また同月17日ヴェルサイユ宮殿で大統領の招集で開催された元老院、国民議会の両院合同議会でも両院議員によって『ラ・マルセイエーズ』が合唱された[4]。また元老院でも同様に黙祷の後に『ラ・マルセイエーズ』の合唱が行われた。事件から2週間後の11月27日にオテル・デ・ザンヴァリッドで開催された追悼式典ではベルリオーズ編曲の『ラ・マルセイエーズ』が演奏された[5]。 このほか民間レベルでも、11月15日にノートルダム大聖堂でのアンドレ・ヴァン=トロワ枢機卿司式の追悼ミサではオルガニストのオリヴィエ・ラトリーよる編曲のオルガン版『ラ・マルセイエーズ』が演奏された[6]。11月17日のウェンブリー・スタジアムでのサッカーフランス代表とサッカーイングランド代表の親善試合などでも『ラ・マルセイエーズ』が「テロの犠牲者への追悼とフランスとの連帯」を表すために演奏された。このときには電光掲示板に歌詞が表示され誰もが歌えるように配慮がなされた[7]。 ロベルト・シューマンの『二人の擲弾兵(1840年)』ではナポレオン戦争における侵略者フランスの象徴として引用されている(リヒャルト・ワーグナーの同名曲<1840年作>でも)。また、シューマンの『ウィーンの謝肉祭の道化』の第1曲にも引用されている。1880年にチャイコフスキーがナポレオンのロシア遠征をロシア側から描いた「序曲1812年作品49」においては侵略者フランスの象徴としていっそう強烈に引用されている。一方、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」の歌詞(例「再び奴隷となるのを欲さぬ人民」「殉教者の血がフランスの草地を濡らすだろう」)には影響がみられ、「市民革命」の音楽として位置づけられている。また宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』でも「バスティーユ襲撃」を題材にした「バスティーユ」あるいは「バスティーユの戦い」と題された場面で使用される音楽は『ラ・マルセイエーズ』のフレーズを借用している(実際にはバスティーユ襲撃があった1789年7月14日時点では『ラ・マルセイエーズ』は作曲されていない)他、フィナーレでのラインダンスにおいても、アップテンポでマーチ調にアレンジされ、間に『76本のトロンボーン』や『ファランドール』のメロディーを挟んだ(公演毎に変化あり)ものが恒例として使われる(必ずしも全てのバージョンにおいてではない)。 また、冒頭のわかりやすいメロディは、映画『紳士は金髪がお好き』の中の歌曲「ダイヤモンドは少女の大親友」に引用されている。またビートルズの"All You Need Is Love(邦題『愛こそはすべて』)"(1967年)のイントロにも使われている。1979年にはセルジュ・ゲンスブールがアルバム『フライ・トゥ・ジャマイカ』でレゲエ・バージョンを歌った。 ラ・マルセイエーズの歌詞には、複数のバージョンが存在するが、ここでは公式版のフランス語歌詞を掲載する[注釈 2]。 7番まで歌える国民は少なく、そもそも歌詞を覚えてすらいない人も多いとされる。学校で習うのは1番までで、国歌斉唱の際に歌うのも1番のみであることがほとんど。 フランス語歌詞日本語仮訳 Aux armes, citoyens, 武器を取れ 市民らよ (繰り返し) (繰り返し)
革命のシンボル
団結の歌から追悼の歌へ
他の楽曲への影響
歌詞
1番Allons enfants de la Patrie,
Le jour de gloire est arrive !
Contre nous de la tyrannie,
L'etendard sanglant est leve,
L'etendard sanglant est leve,
Entendez-vous dans les campagnes
Mugir ces feroces soldats ?
Ils viennent jusque dans vos bras
Egorger vos fils, vos compagnes !
行こう 祖国の子らよ
栄光の日が来た!
我らに向かって 暴君の
血まみれの旗が 掲げられた
血まみれの旗が 掲げられた
聞こえるか 戦場の
残忍な敵兵の咆哮を?
奴らは汝らの元に来て
汝らの子と妻の 喉を掻き切る!
*ルフラン
Formez vos bataillons,
Marchons, marchons !
Qu'un sang impur
Abreuve nos sillons !
隊列を組め
進もう 進もう!
汚れた血が
我らの畑の畝を満たすまで!
2番Que veut cette horde d'esclaves,
De traitres, de rois conjures ?
Pour qui ces ignobles entraves,
Ces fers des longtemps prepares ?
Ces fers des longtemps prepares ?
Francais, pour nous, ah ! quel outrage
Quels transports il doit exciter !
C'est nous qu'on ose mediter
De rendre a l'antique esclavage !何を望んでいるのか この隷属者の群れは
裏切者は 陰謀を企てる王どもは?
誰のために この卑劣な足枷は
久しく準備されていたこの鉄枷は?
久しく準備されていたこの鉄枷は?
フランス人よ 我らのためだ ああ!なんという侮辱
どれほどか憤怒せざるを得ない!
奴らは我らに対して企んでいる
昔のような奴隷に戻そうと!
*ルフラン
3番Quoi ! des cohortes etrangeres
Feraient la loi dans nos foyers !
Quoi ! ces phalanges mercenaires
Terrasseraient nos fiers guerriers !
Terrasseraient nos fiers guerriers !
Grand Dieu ! par des mains enchainees
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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