ランボー
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日本ではこの誤解が非常に多く[13]、スタローン本人の感謝文とされるものも原題の改変とは無関係な、東宝東和のマーケティングに関するものである[14]。日本での経緯を挙げるとランボーを配給するきっかけとなったのは、カンヌ映画祭で上映された40分弱のダイジェストであり、スタローン主演の爆裂痛快アクションを期待していた東宝東和は開始5分で契約した。権利元から納品された作品は東宝東和の関係者が考えてるものにはほど遠い内容であったが、哀愁漂う主人公が我慢に我慢を重ねた末爆発するという物語は日本人の感性に合致する内容だった。問題点は、作品の舞台がアメリカのとある田舎町で派手さに欠けてたこと、ベトナム帰還兵という設定が日本人には理解しがたいものだったこと、また決してハッピーエンドとはいえない終わり方であった。そのため、日本語題を原題の "First Blood" (先制攻撃の意)から主人公の名字である『ランボー』に変更、大量のパトカーなど作中には出てこない小道具などを配置したポスターを製作するなど、アクション超大作を思わせる宣伝が行われ、さらにパンフレットにも真偽不明の大言壮語がこれでもかと羅列された[要出典]。

2作目以降、シリーズの題名は英語圏でも "Rambo" に変更、第1作である本作も "Rambo" あるいは "Rambo: First Blood" というタイトルで世界的に知られている。

First Blood とは、ボクシングで最初に対戦相手を流血させた時に使う慣用句 "draw first blood" から取ったものであり、直訳すると「先制攻撃」となる。また、オットー・フォン・ビスマルク鉄血政策に由来する用語でもある。劇中では、保安官たちが先に仕掛けてきたと語る場面で "draw the first blood" という台詞が用いられている。
原作との違い

本作はその結末と、ランボーに直接殺害された犠牲者が皆無である点が、原作と大きく異なっている。

原作のランボーはティーズルとの対決を経て、ダイナマイトで自殺を図るが果たせず、トラウトマンによって射殺される。映画でも当初はトラウトマンに射殺される予定で、そのシーンの撮影も行われたが、モニター試写の結果が不評であり、また続編の想定もあったため、そちらは不採用となった。2012年現在、射殺されるエンディングはDVDの特典映像として収録され、シリーズ第4作『ランボー/最後の戦場』ではランボーの夢の中でそのシーンが一瞬登場している。

原作の舞台はケンタッキー州。そして保安官ティーズルもまた朝鮮戦争の従軍体験を引きずる「帰還兵」であり、2人の戦いは帰還兵同士の私闘と化していく。
評価・影響

当時のアメリカでは、ベトナム戦争やベトナム帰還兵に対する反発が根強かったため、米国での興行収入は4721万2904ドルと中規模のヒットに留まった[1](同年のスタローン主演作『ロッキー3』は1億2504万9125ドル)。これにより、続編以降は単純な戦争アクション映画へと内容が変化していく。

1987年、ニカラグアダニエル・オルテガ大統領が国連総会で、自国の反政府武装勢力などを支援しているアメリカを非難する中で「ランボーは映画の中にしかいない」と発言している[15]。ちなみに劇中トラウトマン大佐がランボーの戦友の名前を挙げるなかに、オルテガという人物がいるが、これは全くの偶然である。
他作品への影響

スタローンが無名のころに主演したコメディ映画が、後に再編集され『レインボーと呼ばれた男』(A Man Called... Rainbo )と改題されリリースされている。内容は、過激派学生のスタローンが警察に追われる、本作のパロディ。

エネミー・ライン3 激戦コロンビア』の中で、コロンビア軍特殊部隊の隊員が「お前らアメリカ人はランボー気取りだ」と言うシーンがある。

『コンバットショック ベトナム帰還兵残酷物語』 - ベトナム帰還兵が祖国で追い詰められ、大勢の人を殺害する内容のホラー作品。『ランボー/最後の戦場』が公開された2008年にDVD化され、日本語題が『死神ランボー 皆殺しの戦場』と改められた。ランボーとあるが主人公の名前はフランキーである。DVD版のキャッチコピーも『引きこもって生きるか、誰かのために死ぬか、俺が決める。』という、『ランボー 最後の戦場』を意識したものになっている。

サンダー』 - 1983年のイタリアのアクション映画。主人公のインディアンの青年が保安官からの迫害に怒りを爆発させて反撃するストーリーはランボーに酷似している。

ランボー者』- 原題:Steel Justice、1987年製作、1989年日本公開。配給:日本ヘラルド映画(2012年現・角川映画)。主演マーティン・コーヴ。ランボーの人気に便乗して日本語題がつけられた、ベトナム帰還兵が活躍するB級アクション映画。日本語題は「ランボー」と「乱暴者」をかけたシャレである。マーティン・コーヴ自身、『ランボー/怒りの脱出』にパイロットのエリクソンとして出演。ラストでランボーから機関銃の銃床で殴られる。

1987年6月に日本で公開された『ランボー 地獄の季節』(アルチュール・ランボーの人生を映画化した作品)をランボーシリーズと勘違いしていた観客が多数いたといわれている。

1990年の映画『グレムリン2 新・種・誕・生』では、モグワイのギズモが『ランボー/怒りの脱出』を観る場面がある(この時の吹き替えは玄田哲章)。ギズモはランボーに影響され自らを鍛え上げ、事務用品で作った武器も用意してランボーになりきり、グレムリンのモホークに立ち向かう。

1988年の映画『ダイ・ハード』で、武装テロリストのリーダー、ハンス(アラン・リックマン)とジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)の無線でのやり取りの中でハンスが「ランボーのつもりか」というセリフがある。

1994年の映画『トゥルーライズ』で、スパイの主人公ハリー・タスカーの妻であるヒロインのヘレンが夫ハリー(アーノルド・シュワルツェネッガー)が目の前でテロリストを次々と倒していくのを目にして「ランボーみたい」とつぶやくシーンがある。

2005年の映画『ロード・オブ・ウォー』で、主人公のユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)が取引した独裁者の息子に「ランボーの銃をくれ」と頼まれるシーンがある。ユーリーは彼にランボーが1,2で使用していたM60を売った。

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』第14話の中で、イギリス人兵士がアメリカ人兵士を貶すセリフとして「ふん、ジョン・ランボーが」と言うシーンがある。

2011年のロシアの映画である『FLINT』はランボーのパロディ作品であり、主人公が街を訪れた流れ者として警察に拘束されるなど、あらすじもランボーを意識した物になっている。

2019年に放送されたテレビアニメ『ポプテピピック』第13話で、ランボーのラストシーンのパロディが行われた。

パチンコ

2006年10月には、平和からパチンコ台「CRランボーEJ」「CRランボーES」「CRランボーMK」と、スペックの異なる3機種がリリースされた。
ゲーム

ランボー(
ファミリーコンピュータパックインビデオ、1987年12月4日発売)。横スクロールのアクションゲーム。モチーフは第2作「ランボー/怒りの脱出」を元にしている。

ランボー3(メガドライブセガ、1989年10月21日発売)。「ランボー3 怒りのアフガン」を元にしている。ファミコンで発売したゲームとは制作会社が異なっており、システムも違う。

RAMBO3(アーケードゲームタイトー、1989年発売)。「ランボー3 怒りのアフガン」を元にしている。日本では未発売。

RAMBO(業務用ガンシューティングゲーム、セガ、2008年発売)。

Rambo: The Video Game(英語版)(Microsoft Windows/Xbox 360/PlayStation 3テヨン、2014年発売)。日本ではPlayStation 3で2016年発売。

続編

ランボー/怒りの脱出』(1985年)

ランボー3/怒りのアフガン』(1988年)

ランボー/最後の戦場』(2008年)

ランボー ラスト・ブラッド』(2019年)

関連項目

戦闘ストレス反応

脚注^ a b c d “First Blood (1982)”. Box Office Mojo. 2011年9月18日閲覧。
^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)420頁
^ ベトナム戦争で戦果を挙げても、祖国アメリカに戻ってからバッシングされたり再就職できないベトナム帰還兵は多く、職を求めて軍への再志願を繰り返したり、PTSDに起因する銃乱射事件を起こしている。


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