ラブ&ポップ
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同時期に読んでいた本作に対しては「この世界観なら現実に即してるし、スポンサーもお金を出してくれるだろう」と思い、庵野が直接村上サイドに企画書を出した[1]

村上が庵野に会った時に「家庭用デジタルビデオカメラで撮りたい」「テレビの深夜枠でやりたい」「低予算で撮りたい」とはっきりした制作プランを庵野から打ち明けられ、村上は「このシーンを映像化したい」「主役はあの人を」という理想だけではなく、庵野のプロデューサーとしてのスタンスも交えてのコンセプトを聞いて、すぐに映画化を許諾した[2]
脚本

決定稿は事前に用意されていたが、毎日差し替えの撮影用の台本がキャスト達に渡された。「どの様に撮影する」とも書かれていない時もあった[3]
撮影

ビデオカメラを一つのシーンで同時に5台使う形で撮影され、上映時間110分に対して撮影時間は160時間に上った。アビッド・テクノロジーの最新機器によるノンリニア編集が全編に施され、フルデジタルで制作された初の邦画である[4]。ビデオカメラを使用したのは、制作現場が渋谷でオールロケーションなため、現場での機動力を考えた上での側面が強い[2]。この制作システムに対して庵野は「35ミリフィルムで日本映画を作るとなると、同時にカメラを3台動かすのは贅沢であり、なかなか調達できない。ビデオカメラだったら、テープも安いし、知り合いのカメラも借りれたから、6台を同時に動かせた時もあった」と話している[1]。そのため、1つのシーンに最大で30時間通して、何十テイクも繰り返すこともあり、三輪は「最初は覚えられなかった台詞を、最後には覚えてしまった」と振り返っている[3]

また映像演出としても、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」の実写素材制作の際に現場をメイキング映像を撮る感覚でビデオカメラを回していた[5]。テレビで再生した時に得た感触について庵野は「自分でも直接撮るから、好きなテイストやアングルが入ってくる」「VHSHi8より段違いで、テレビの深夜番組と同じくらいきれい」[1]「乾いている原作に合う」と感激し、小さいカメラでも庵野のイメージに相応するクオリティを出せることに可能性を感じての起用でもあった[2]

役者に渡して、役者視点の映像も撮ることができた[1]。三輪に至っては庵野の「裕美の主観で撮りたい」という意向で、三輪がヘルメットを被り、その上にテープでビデオカメラを固定して撮影した[3]

素材が足りない時に、メイキングビデオの為に撮影していたカンパニー松尾の撮った素材を本編に流用した[1]

素材の確認も何回もできるが、庵野はチェックの間に制作現場の作業が止まるのを危惧して「もうノイズが入っていたら『ノイズが入っていた』ということにしよう。それで使えなくなる作品じゃないから」「目的のカットが映ってなかったら、そういうものです。映画の神様が『そのカットはいらない』という事なので、それはそれとして諦めましょう」と周囲に説いて、敢えて確認しなかった[1]

エンドロールのみ、35ミリフィルムで撮影されている[6]

メインとなる女子高生役を撮影する際は、カメラの前に置いてその場で自由に演技をしてもらい、欲しい部分だけを切り取って編集した。演技指導は作りこみすぎずにリアリティを持たせるために、庵野は「台本は無視しちゃっていい。この言葉が入っていれば、後は自分のしっくり来る言い回しに変えていいよ」と指示し、制御はほとんど行わない即興劇の体裁をとった[7]。事前に作られた動き・台詞を嫌った庵野は、演技の説明はキャストから聞かれない限りほとんど行わず、三輪の神奈川県方言もそのまま採用された[3]

特殊なアングルからのカットや、「新世紀エヴァンゲリオン」にも見られるようなテロップの使用など、庵野秀明らしさも少なからず含まれる映像となっているが、ストーリー的にはほぼ原作に忠実に作られている。

当時、一般的にはまだ無名だった仲間由紀恵のビキニ試着シーンが、短時間ながらある。エンディングは当初、メインの女子高生役の4人が宮古島の海で遊ぶシーンとなる予定で、実際に撮影もしていたが、主演・三輪明日美の歌う主題歌「あの素晴しい愛をもう一度」をバックに4人が並んで渋谷川をひたすら歩き続けるという象徴的な演出に変更された。

主人公の吉井裕美を演じた三輪明日美と、裕美の姉役を演じた三輪ひとみは実の姉妹である。
映画あらすじ

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キャスト

三輪明日美 - 吉井裕美

希良梨 - 野田知佐

工藤浩乃 - 横井奈緒

仲間由紀恵 - 高森千恵子

三輪ひとみ - 裕美の姉

平田満 - カケガワ

吹越満 - ヨシムラ

モロ師岡 - ヤザキ

手塚とおる - ウエハラ

渡辺いっけい - コバヤシ

浅野忠信 - キャプテンEO

三石琴乃 - ラジオのパーソナリティ(声の出演)

石田彰 - ヨシオ(声の出演)


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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