ラピート
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運行開始直後はJR西日本の特急「はるか」と比べて話題性、快適性ともに勝り、運行開始から1995年2月末までの利用状況では「はるか」の約147万人に対し「ラピート」は約177万人[4]と、利用状況も好調だった。やがてブームの終焉に伴いリムジンバスと「はるか」との競合では競争力に乏しく、乗車率が低迷し始めた。具体的には1995年6月に月ごとの利用者数が「はるか」に逆転され[注 4][5]、2003年度上半期には上半期過去最低の利用者数となる約81.9万人を記録、乗車率も27.8%まで落ち込んだ[6]

リムジンバスは鉄道に並行する都市高速道路として阪神高速4号湾岸線大阪湾岸道路)が開港時から整備されたことにより渋滞による遅延が少なかったことと、難波や心斎橋本町などの大阪市中心部や南海本線沿線以外、特に梅田など大阪キタ地域とのアクセスも良好であり、「ラピート」は所要時間や運賃面、アクセス性でリムジンバスに対する優位性が発揮できなかった[注 5]。また、「はるか」は大阪環状線梅田貨物線を経由して大阪駅(うめきた新駅)や[注 6]新幹線乗換駅である新大阪駅、国際的観光地である京都直通しており、ラピートの(というより南海電鉄そのものの)弱点であるキタ(梅田エリア)やその先(新大阪や京都など)への直接アクセスができなかったこと、さらには外国人向け全国共通乗車券であるジャパンレールパスがJR線以外では利用できなかったことで、「はるか」の後塵を拝するようになった[注 7]

一時は中間車2両を外して4両編成で運転することも検討されたが、編成組み替えにかかる費用が効果に見合わないと判断され、見送られている。

その後、ノンストップの「α」を事実上廃止し停車駅を増やして「β」に統一し、通勤・買物などの日常利用を含めた中間駅の需要を喚起したり、2005年(平成17年)のダイヤ改正で泉佐野駅 - 関西空港駅間に限り特急料金を100円(ひゃくとく)に値下げしたこと、2007年(平成19年)8月の関西空港第2滑走路供用開始による便数増加、国内線を大阪国際空港(伊丹空港)からシフトさせる施策、新規参入したスターフライヤーが話題になったことなどによって、それまで一日4,000人台で低迷していた利用客数が2006年(平成18年)には5,000人台に戻り、1日あたりの利用が4,000人台に留まる「はるか」に対して若干シェアで上回るなど、回復の兆しを見せた[7]。ただ、2008年(平成20年)の世界金融危機を起因として市況の悪化とそれに絡む関西空港発着の複数の国内路線が休廃止されたことにより、空港利用者の減少で再び乗車率が低迷した[8]

2010年(平成22年)以降は市況の回復で渡航者が増加したことに加え、海外からのインバウンド需要の伸びやLCC(格安航空会社)の路線拡大と南海電鉄自身が海外の旅行会社を中心に積極的に営業を仕掛けたことで利用客が大きく増加し、2018年度(平成30年度)には乗車人員が過去最多[9]の約380.7万人(1日あたり10,000人台)となった[10]。特に韓国人からの人気が高く、2016年時点で外国人利用者のうち8割を占める[9]。また、乗車率も6割を超えていた[11]

しかし、2020年令和2年)以降、新型コロナ禍の影響により、多くの国で移動・渡航の自粛や入出国制限が行われるようになり、国内外の航空需要の低迷で関西国際空港の利用者数が減少し[注 8]、ラピートの利用率も悪化した。その後、航空需要の回復により利用者数も増加している[13]

今後は、弱点であるネットワークの狭さを解消するため、2031年(令和13年)開業予定のなにわ筋線への乗り入れが構想されており、当路線の開業により大阪駅(梅田)への直接アクセスが可能となる。現在使用中の50000系は地下路線を走行するのに必要な貫通扉を備えていないため、2017年(平成29年)にはなにわ筋線直通用の新型車両を設計する構想を明らかにしている[14][11][15]。なお、JR西日本の「はるか」についても、「ラピート」と同じく新型車両に置き換えの上で大阪環状線経由からなにわ筋線経由に変更することも決定しているため、同じなにわ筋線内で運行会社の異なる関西空港発着の特急列車が運転することとなっているが、なにわ筋線内での両特急の区別方法や運賃制度の違いなどへの対応については未定となっている。なお、その先の新大阪駅への乗り入れも計画されてはいるが、大阪以東では共用区間を外れるため、1駅間に限り「ラピート」はJR西日本おおさか東線に直通運転(片乗り入れ)する方向で検討されている(このためJR西日本の乗務員が1駅間「ラピート」を担当する計画である)[16]。なお「はるか」で既に実施している、新大阪駅以東のJR京都線琵琶湖線京都府および滋賀県)方面への「ラピート」の直通運転は、現時点では計画はおろか、構想もされていない。
企画乗車券・特急券

以下のような企画乗車券類を発行している。
関空トク割ラピートきっぷ

2012年12月9日から使用が開始されているラピート特急券付き企画乗車券[17]。難波駅・新今宮駅・天下茶屋駅・住吉大社駅・堺駅 - 関西空港駅のラピート特急券と片道乗車券がセットになっている。
発売額
レギュラーシート:大人1350円、小児680円スーパーシート:大人1560円、小児890円
発売駅:難波駅、新今宮駅、天下茶屋駅、住吉大社駅(ラピートは通過のため堺駅で乗換)、堺駅、関西空港駅。利用可能区間もこれらの駅のみである。


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