ラテン文字は表音文字であるが、広くさまざまな言語で用いられた結果、発音の文字への表記方法自体は各言語ごとに異なっており、同じ綴りでも言語によって異なる発音をすることが珍しくない。他方、広い時代で用いられ続けた結果、英語など、古い時代から表記法を受け継ぐ言語においては、表記と発音の間の乖離も大きなものとなってきている[2]。 日本語における「ローマ字
日本語における呼称
漢字で表記する場合は、日本産業規格 (JIS) の規格票において、「欧字(おうじ)」という表現が見られる。このほか特に、ラテン文字のうち基本26文字(英: basic Latin alphabet、ベーシックラテン・アルファベット)は英語の表記に用いることから「英字(えいじ)」と呼び、よく「英字新聞」などの語において用いる[注 1]。
また、ラテン文字の基本26文字については「アルファベット」と呼ぶことも一般的であるが、これは英語のalphabetを片仮名で音訳したものであり、イギリス人やアメリカ人をはじめとする英語圏の人々と同じく、日本人や日本の英語教育の場などにおいては、英語の表記のための文字、つまり結果として基本ラテン文字を指すことが多い。
他方、日本語における呼称として一般でないが、ドイツ人をはじめとするドイツ語圏の人々と同じく、日本人のドイツ語学習者の間では、ドイツ語の発音にならう「アルファベート」と呼ぶことで、基本26文字にウムラウトと呼ばれるダイアクリティカルマークのついた文字やエスツェットと称されるリガチャなども加えた「ドイツ語アルファベット」を指す。また、フランス人をはじめとするフランス語圏の人々と同じく、日本人のフランス語学習者の間では、フランス語の発音にならう「アルファベ」と呼ぶことで、フランス語の表記に用いるアクサンテギュやアクサングラーヴ、セディーユなどのアクセント記号などをつけた文字やその他のリガチャなどを加えた「フランス語アルファベット」を指す。「アルファベット」、「アルファベート」、および「アルファベ」も参照 古代のラテン文字は、最初期の古ラテン語から共和制ローマ以降の古典ラテン語において用いられた。また、中世のラテン文字は、ローマ帝国の東西分裂以降もゲルマン人の言語やキリスト教の典礼言語の表記に用いられることで、さらに広まっていった。 ラテン文字は本来、その名があらわす通り、ラテン語の表記に用いる文字として成立した。このため、ラテン語を公用語とするローマ帝国の勢力が伸長するとともにラテン文字の使用圏も拡大していった。しかし、ギリシア語を使用する帝国の東部においては、文字もギリシア文字が主流であった。 395年のローマ帝国の東西分裂以降、東ローマ帝国においてギリシア語化が進む一方で、西ローマ帝国はラテン語を使用し続け、文字もラテン文字を引き続き使用していた。 西ローマ帝国は、ゲルマン民族の大移動などにより衰退してゆくことで476年に事実上の滅亡を迎えたとされるが、この地域に侵入したゲルマン人たちはラテン語とラテン文字を行政言語 こうして中世以降は、俗ラテン語に由来するロマンス諸語のみならず、西ヨーロッパや中央ヨーロッパのカトリックやプロテスタントを含む西方教会地域のほぼ全ての言語でラテン文字が使われるようになった。具体的にはゲルマン語派とスラヴ語派の一部、バルト語派やケルト語派、加えてバスク語やウラル語族の一部などである。 18世紀までにラテン文字を使用していたヨーロッパの諸言語の例(五十音順)系統言語
使用言語.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目では色を扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。
古代から中世まで
古代「古ラテン語アルファベット」も参照
中世
ロマンス諸語
イタリア語
スペイン語
フランス語
ポルトガル語など
ただし当初はルーマニア語を除く
ゲルマン語派
アイスランド語
英語
オランダ語
スウェーデン語
デンマーク語
ノルウェー語
ドイツ語など
スラヴ語派
クロアチア語
スロヴァキア語
スロヴェニア語
チェコ語
ポーランド語など
バルト語派
ラトビア語
リトアニア語
ケルト語派