最初はこの変化に何も気にも留めず、また国際情勢など考えもしなかったニコラスだったが、その事実を知ると粛清がわが身に及ぶのが怖くなってアミンに故国に帰る事を告げる。そんなニコラスに優しく諭すアミン、しかしある日彼が自宅に戻ってみると部屋が荒らされ、自分のパスポートを取り上げられ国外への脱出ルートを閉ざされてしまう。イングランド人たちから「アミンの白い猿」と呼ばれていた彼はアミンが自分を国外に出す気は全くない事を知る。そしてサラも政情が危険になったウガンダを去ってゆく。それを目にしたニコラスは後を追うが、時すでに遅かった。
全てが八方塞がりの中、ニコラスはアミンの催す夜会に出席。その夜、やぶれかぶれになったニコラスは先のてんかんの息子の件で知り合ったアミンの妻の一人であるケイと情事を犯してしまう。そしてケイはニコラスの子を妊娠、ニコラスは自らの首をしめる事になる。彼は堕胎手術の行える場所を探すが、そんな場所はここウガンダでは存在しない。結局ケイの妊娠はアミンの耳元に入り、ニコラスの助けが得られず堕胎のため村の祈祷師を頼ったケイは殺されてしまう。切断された腕と脚を逆さにくっつけられ惨殺されたケイの遺体を直視したニコラスは自分がケイを殺した事を知り、同時にアミンの毒殺を企てる。頭痛薬を求めたアミンに応じ、彼は毒薬を手渡す。
その時、サウジアラビアのテロリストたちが乗客を人質にウガンダのエンテベ空港へと降りてきた。国際社会から非難される中、テロリストを支援するアミンは現場に行き、人質の治療のためにニコラス以下医師団もまた同行。移動の車中ニコラスの様子から手渡した薬を怪しんだアミンは人に飲ませ、ニコラスが止めてアミンにばれてしまう。捕らわれ殴打を受け満身創痍となったニコラスはアミンの前に引き出されると、自分がケイとの情事を知っていた事を告げ強く詰る。これに対してニコラスは言い返す。「あんたはまるで子供だ。だからかえってものすごく恐ろしくなるんだ」。
空港で人質の前では丁重に明るく振舞い、イスラエル人の人質たちをイスラエルに帰すと約束するアミンであったが、人目に隠れた場所では側近にニコラスをむごたらしく殺すように命じる。自分の村では長老の妻を寝取ったら、身体に鉤を刺し込まれ、天井から吊るされるといい、アミンから壮絶な拷問を受ける。しかし、部下たちが目を離した隙にアミンの前の主治医ジュンジュによって奇跡的に助けられる。ジュンジュは言う。「なぜ助けるのか僕にも分からない。ただ憎悪、この国を取り巻く憎悪にはもううんざりだ。君は殺されて当たり前の人間だ。しかし死んだ人間は何もできない。生きていれば何かしら罪を贖う事はできるだろう。生きてアミンの実情を世に知らせてくれ。君の言う事なら誰も信じてくれるだろう。君は白人なのだから」。
応急処置で辛うじて歩けるようになったニコラスは命からがら人質にまぎれて飛行機に乗る事に成功する。空港ではニコラスを逃した側近たちは死に物狂いで彼を探し、疑われたジュンジュは射殺される。ニコラスが逃げた事を知ったアミンは黙ったまま飛び立った航空機を眺めていた[2]。 役名、俳優、日本語吹替。
キャスト
イディ・アミン - フォレスト・ウィテカー(立木文彦)
ニコラス・ギャリガン - ジェームズ・マカヴォイ(鳥海浩輔)
ケイ・アミン - ケリー・ワシントン(林真里花)
ストーン - サイモン・マクバーニー(後藤敦)
ジュンジュ - デヴィッド・オイェロウォ(佐久田修)
ジョナ・ワスワ - スティーブン・ルワンギエジ
マサンガ - アビー・ムキービ(江川央生)
デヴィッド・メリット - アダム・コッツ(安井邦彦)
サラ・メリット - ジリアン・アンダーソン(日野由利加)
その他の日本語吹替 - 石住昭彦、織田芙実、島香裕、星野充昭、斉藤次郎、魚建、根本圭子、千々和竜策、丸山壮史、鈴木貴征、羽多野渉、園部好徳、田中結子、恒松あゆみ、津川祝子
原作
ジャイルズ・フォーデン 『スコットランドの黒い王様』 武田将明訳、新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、1999年6月。
参考
映画『食人大統領アミン』
脚注^ a b “The Last King of Scotland (2006)” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2011年6月1日閲覧。
^ 字幕によれば、アミンの在任中に殺されたウガンダ人は30万人以上だという。
外部リンク
⇒公式ウェブサイト(日本語)
⇒公式ウェブサイト(英語)
ラストキング・オブ・スコットランド - allcinema
⇒ラストキング・オブ・スコットランド - KINENOTE
The Last King of Scotland - オールムービー(英語)
The Last King of Scotland - IMDb(英語)
表
話
編
歴
英国アカデミー賞英国作品賞
1947?1967
邪魔者は殺せ(1947)
落ちた偶像(1948)
第三の男(1949)
兇弾(1950)
ラベンダー・ヒル・モブ(1951)
超音ジェット機(1952)
おかしなおかしな自動車競争(1953)
ホブスンの婿選び(1954)
リチャード三世(1955)
殴り込み戦闘機隊(1956)
戦場にかける橋(1957)
年上の女(1958)
サファイア(1959)
土曜の夜と日曜の朝(1960)
蜜の味(1961)
アラビアのロレンス(1962)
トム・ジョーンズの華麗な冒険(1963)
博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964)
国際諜報局(1965)
寒い国から帰ったスパイ(1966)
わが命つきるとも(1967)
1992?2020
クライング・ゲーム(1992)
永遠の愛に生きて(1993)
シャロウ・グレイブ(1994)
英国万歳!(1995)
秘密と嘘(1996)
ニル・バイ・マウス(1997)
エリザベス(1998)
ぼくの国、パパの国(1999)
リトル・ダンサー(2000)
ゴスフォード・パーク(2001)