ラジカル_(化学)
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ラジカルに1電子を奪われた分子が他の分子から電子を引き抜くと、その分子がさらにラジカルを形成するため、反応は連鎖的に進行する。反応はラジカル同士が反応して共有結合を生成するまで続く。このような反応をラジカル反応またはラジカル連鎖反応という。燃焼は最も良く知られたラジカル反応の1つであり、ハロゲン分子が炭化水素と反応しハロゲン化アルキルを生じるのもラジカル反応である。高分子合成においても過酸化ベンゾイル (BPO) やアゾビスイソブチロニトリル (AIBN) を開始剤とするラジカル重合が行われる。オゾンホールの原因となっているのは塩素原子のラジカルである。

ラジカルが関与する代表的な化学反応を次に示す。
ラジカル置換反応詳細は「ラジカル置換反応」を参照

つぎにメタン塩素のラジカル置換反応の例を示す。



塩素分子が光 (hν) または熱(凵jでラジカル解裂することで塩素ラジカルが発生する(式1)。

塩素ラジカルはメタンの水素から1電子を引き抜き塩化水素になり、メタンはメチルラジカルとなる。メチルラジカルは sp2 型の配座をとりラジカルはp軌道上に存在する(式2)。

メチルラジカルは塩素分子1電子を引き抜きクロロメタンになり、再び塩素ラジカルが再生する(式3)。

塩素ラジカル同士で1電子授受するとラジカルは消滅し、塩素分子となる(式4)。

メチルラジカル同士で1電子授受するとラジカルは消滅し、エタンとなる(式5)。

ラジカル付加反応

次に臭化水素 (HBr) のアルケンへのラジカル付加反応の例を次に示す。



酸素による空気酸化あるいは過酸化物などのラジカル開始剤が存在する場合、ラジカルが HBr から水素を引き抜き臭素ラジカルが発生する(式1)。

臭素ラジカルが炭素二重結合に付加する場合、生成する炭素ラジカルが安定な中間体が生成する。このラジカル付加の配向は、カルボカチオン中間体を経由する際のマルコフニコフ則と逆になる。その理由は炭素ラジカル近傍に置換基が多いほうがσ軌道の超共役による安定化の寄与が大になるためである(式2)。

炭素ラジカルが HBr から水素を引き抜き臭素ラジカルが再生する(式3)。

副生成物としてはラジカル終端反応によりオレフィンの2量体などが発生する(式4、5)。

出典[脚注の使い方]^IUPAC Gold Book - radical (free radical)
^ GLOSSARY OF CLASS NAMES OF ORGANIC COMPOUNDS AND REACTIVE INTERMEDIATES BASED ON STRUCTURE (IUPAC Recommendations 1994) ⇒[1]
^ G. Herzberg (1971), "The spectra and structures of simple free radicals, "ISBN 048665821X
^ 28th International Symposium on Free Radicals“アーカイブされたコピー”. 2007年7月16日時点の ⇒オリジナルよりアーカイブ。2007年4月18日閲覧。
^ 近藤和雄『専門医がやさしく教える活性酸素』1999, p.48 ISBN 4-569-60485-4

関連項目

不対電子

電子スピン共鳴

ラジカル時計

ゲルハルト・ヘルツベルク

MULTIS

典拠管理データベース: 国立図書館

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