ラシッド・ドスタム
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バイはトルクメン人コミュニティーの指導者で、かつてはドスタムと同盟を結んでいたが、その後に脱退し、ドスタムが敵対者の殺害や反政府暴動を先導したと訴えた[9]。2009年、ダシュテ・ライリ虐殺(英語版)がアメリカで問題になった[10]。ドスタムの立場は危うい物となり、一時はトルコに出国していたが、カルザイ大統領の再選に協力することで切り抜けた[11]

2012年6月、ドスタムは自らの政治基盤の一つであるサーレポル州中国石油天然気集団(CNC)の技術者15人を脅迫して油田調査を妨害したとして、国から調査を受けた[12]

2013年6月、ドスタムと数十人の護衛がジョウズジャーン州のモハマド・アリーム・サイー知事の自宅に押し掛けて、選挙について話し合いを行い、ロケット弾が発射されるような争いになった[13]。熱心な選挙運動の結果、2014年アフガニスタン大統領選挙ではアシュラフ・ガニー・アフマドザイの第一副大統領候補となり[14]、ガニーが当選すると第一副大統領に就任した。

ドスタムは第一副大統領就任後も地元でターリバーンとの戦いを続けた。軍勢を引き連れてサーレポル州(2015年8月)[15]やジョウズジャーン州(2016年2月)[16]に出向き、戦いの陣頭指揮を執った。2016年12月、ドスタムと5人の護衛がジョウズジャーン州元知事のアハマド・エシュチ(Ahmad Eshchi)をブズカシの会場から拉致監禁し、銃を使って性的に暴行したとして訴えられた[17][18]。ガニー大統領は法的な解決を約束し、2017年1月にまず5人の護衛を逮捕した[19]。身の危険を感じたドスタムは5月にトルコに出国し、翌年の2018年7月まで帰国しなかった。欧州連合(EU)やノルウェーは共同声明を発表して法的に解決するように求めた[20]

2017年7月、ドスタム派の警察幹部が陸軍第209軍団の基地内での銃撃戦の末に逮捕された[21]。ドスタム派(Junbish-e-Milli党)は微罪による国策逮捕だとして反発して、バルフ州やジョウズジャーン州、ファーリヤーブ州サーレポル州サマンガーン州などで政府庁舎の閉鎖、国境交通の遮断、工場電力の遮断などの抗議活動・暴動を起こした[22]。同月、ドスタム第一副大統領の飛行機がトルコから飛来してバルフ州のマザーリシャリーフ空港に着陸しようとしたが、カブールのハミード・カルザイ国際空港に着陸するように命令されたため帰国を断念した[23]。同月、ドスタムはバルフ州のアタ知事やムハンマド・モハッケクと共にアフガニスタン救済連合を結成した[24]

ドスタムは2019年の大統領選挙ではアブドラ・アブドラ行政長官を支持した[25]。ドスタムは支持者の前でガニー大統領は鹿の角を折れないが自分は折れるアピールした。またガニー大統領は政府の力の使い方を間違っている。私は政府の一員として治安軍を政治目的で使わないように要求して認められたが、実行されていないと主張した。別の集会では「政府が自らに任せてくれるならば、タリバンを同国北部から6か月以内に排除できる」と主張し、帰路ターリバーンに襲撃された[26]。一方、ガニー大統領の選挙スローガンが「イジメを終わらせる。法律を守らない強い男と戦う」であったことから、ドスタムはガニー政権自体が法律に違反していると批判した[27]

大統領選挙は暫定結果で劣勢だったアブドラ側が不正選挙を主張したため結果の確定が遅れ、選挙管理委員会は2020年2月18日にようやくガニー再選を確定させた[28]。これに伴いドスタムは第一副大統領を退任した。5月17日にアブドラは選挙結果を承認し、ガニー大統領との間で和解が成立した。和解時に署名された文書の規定により、ドスタムは元帥に叙されている[29]
タリバンの全土掌握

2020年2月29日アメリカ合衆国とターリバーン間で和平合意が締結された。2021年5月1日、駐留米軍が撤退を開始すると2021年ターリバーン攻勢が始まり、各地でアフガニスタン軍は敗走した。これを受けドスタムは療養先のトルコから8月4日に帰国したものの[30]、拠点であったマザリシャリフが15日までに陥落したためウズベキスタンへ逃亡した[31]。現在はトルコに滞在中とされている[32]

2022年5月17日にはトルコの首都アンカラで「国民抵抗高等評議会」の初会合を開いてアフガニスタン各民族のうち有力者約40人が参加し、ターリバーンに国全体を包摂する政権の樹立を呼び掛け、拒否された場合は武力闘争も辞さない姿勢を示した[33]


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