ライブラリ
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これらのAPIは、特にユーザーによる機能拡張を可能とするプラグインシステムをアプリケーション内に実装することにも役立つ。

.NET Frameworkでは、ライブラリのアセンブリは必要となったタイミングで動的かつ自動的にロードされる遅延読み込みが基本であるが、アセンブリの明示的なアンロードはできない。P/Invokeも同様である。.NET 4以降ではプラグインシステムの実装を容易にするManaged Extensibility Framework(英語版)がサポートされるようになった。
リモートライブラリ

もうひとつのライブラリの形態として完全に分離された実行ファイルを遠隔手続き呼出し (RPC) と呼ばれる方法で接続するものがある。このアプローチではOSの再利用が最大に生かされる。つまり、ライブラリサポートのためのコードはアプリケーションサポートのコードやセキュリティサポートのコードと共通化できる。さらに、このライブラリはネットワークを経由した別のマシン上に存在しても構わない。

欠点はライブラリコールの度に無視できないオーバーヘッドが発生することである。RPCは非常にコストがかかり、可能な限り排除されてきた。しかし、このアプローチは特定分野で一般化しつつある。特にクライアントサーバシステムやEnterprise JavaBeansのようなアプリケーションサーバで一般的である。
共有ライブラリ

動的か静的かとは別に、ライブラリはプログラム間で共有される方式でも分類される。動的ライブラリは何らかの共有をサポートしており、複数のプログラムが同時に同じライブラリを使用することができる。静的ライブラリは各プログラムにリンクされるため、共有することはできない。

共有ライブラリ(: shared library)はやや曖昧な用語であり、ふたつの概念を含む。第一はディスク上のコードを複数の無関係なプログラムが共有することを意味する。第二の概念はメモリ上のコードの共有であり、ライブラリのロードされた物理メモリページが複数のプロセスのアドレス空間にマップされ、同時にアクセスされることを意味する。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}一般に後者を共有ライブラリと称するのが推奨され[要出典]、この方式には様々な利点がある。例えばOPENSTEPでは、アプリケーションの多くは数百Kバイトで即座にロード可能であり、その機能の大部分はライブラリ上に実装されていて、共有可能であるためにOSが別のプログラム用にメモリにロードしたコードイメージがそのまま使用できる。しかし、マルチタスク環境で共有されるコードは特別な配慮が必要であり、そのために性能が若干低下する。

メモリ上の共有ライブラリはUNIXでは位置独立コード (PIC) を使って実現される。これは柔軟なアーキテクチャだが複雑であり、Windowsなどでは使われていない。Windowsなどは、DLL毎にマップすべきアドレスを事前に決めておくなどしてメモリ上で共有可能にしている。WindowsのDLLはUNIXから見れば共有ライブラリではない。(訳注:UNIXでもライブラリのマップすべきアドレスを決めている場合がある。ただしそれは性能向上目的であり、基本的にはPIC化されている。)

最近[いつ?]のOSでは共有ライブラリは通常の実行ファイルと同じ形式になっている。これにはふたつの利点がある。第一はひとつのローダで両方をロードできる。それによってローダが若干複雑化するが、十分コストに見合う程度である。第二はシンボルテーブルさえあれば実行ファイルを共有ライブラリとして使うことができる点である。このようなファイル形式として、ELF (UNIX) と PE (Windows) がある。また、Windowsではフォントなどのリソースも同じファイル形式になっている。OPENSTEPでもほとんど全てのシステムリソースが同じファイル形式になっている。

DLLという用語はWindowsやOS/2で主に使われる。UNIXでは「共有ライブラリ」が一般的である。

マルチスレッド環境下でライブラリを使用するにあたっては、別の共有問題が発生する。ライブラリルーチンがデータ領域としてスタックのみを使う場合は問題ないが、ライブラリ内のデータ領域を使う場合、そのデータ領域がスレッド毎に用意されていないことが多い。したがって、そのようなライブラリルーチンを使う場合、実行ファイル側で同時に複数のスレッドが同じライブラリルーチンを使わないように注意しなければならないことがある。
オブジェクトライブラリ

1980年代終盤に開発された動的リンクは1990年代初期にはほとんどのOSで使用可能となった。ほぼ同時期にオブジェクト指向プログラミング (OOP) が市場に出回り始めた。OOPは従来のライブラリが提供していなかった情報を必要とした。それは、あるオブジェクトが依存しているオブジェクトのリストである。これはOOPの継承という機能の副作用であり、あるメソッドの完全な定義は複数の場所に分散して配置される可能性がある。これは単純化すればライブラリ間の依存関係ということになるが、真のOOPシステムではコンパイル時には依存関係が明らかでなく、そのために様々な解決方法が登場した。

同じころ、多層構造のシステムの考え方も出てきた。デスクトップコンピュータ上の表示プログラムが汎用コンピュータ(汎用機)やミニコンピュータの記憶装置や演算機能を利用するものである。例えばGUIベースのコンピュータがミニコンピュータにメッセージを送り、表示すべき膨大なデータの一部を得るというものが考えられた。RPCは既に使われていたが、それは標準化されていなかった。

主要な汎用機およびミニコンメーカーがこれら二つの問題に関してプロジェクトを結成し、どこでも使えるOOPライブラリ形式を開発した。このようなシステムをオブジェクト・ライブラリ(: object library)と呼んだり、リモートアクセスが可能ならば分散オブジェクト(: distributed objects)と呼ぶ。マイクロソフトCOMは分散機能のないオブジェクトライブラリであり、DCOMはリモートアクセスを可能としたバージョンである。

一時期、オブジェクトライブラリはプログラミングの世界の「次の大きな出来事」とされた。様々なシステムが開発され競争も激化した。例をあげると、IBMのSOM/DSOM、サン・マイクロシステムズのDOE、NeXTのPDO、DECの ObjectBroker、マイクロソフトのComponent Object Model (COM/DCOM)、そして様々なCORBAベースのシステムがある。

結局、OOPライブラリは次の大きな出来事ではなかった。マイクロソフトのCOMとNeXT(現在はApple)のPDO以外は、ほとんど使われることも無くなったのである。

Javaではオブジェクトライブラリとして主にJARが使われている。その中には(圧縮された)クラスバイトコード形式が格納されていて、Java仮想マシンや特殊なクラスローダーがそれをロードする。


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