ライドシェア
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タクシー会社は様々な理由でライドシェア会社を提訴しており[40][41]、この中には、ウーバーの運転手が適切な免許を取得しておらず、適切な認定を受けていないことを知っていたにもかかわらず、違法営業を行っていた疑いも含まれている。ウーバーは取締りを回避するための裏マニュアルを採用し、この結果、法令を遵守しているタクシーやハイヤー事業者や運転手に対し不当な競争上の優位性を有していた。

アメリカではタクシーによるウーバーに対する訴訟においてタクシー側に有利な判決で終わった例はなく、ほとんどの訴訟で和解またはウーバー側を支持する判決を下し、裁判に進んだ唯一のケースではウーバー側を全面的に支持する評決が下されている[42][43][44]

ライドシェアリングプラットフォームはタクシー業界に大きな影響を与える結果となった。しかし、調査によれば、ウーバーによって収入を失ったタクシー運転手がいる一方、ウーバーは破壊した雇用よりも多くの雇用を創出したことが調査から明らかとなっている[45]。また、ウーバーの運転手は従来のタクシー運転手と比較し、乗客を乗せた状態で高い走行距離数を占めていたことも判明している。これは、ウーバーがペアリングアルゴリズム(マッチング)を最適化しているためと考えられている[46]
問題点
安全上の問題
性犯罪

ドライバー自身による業務中の犯罪だけでなく[47]、ライドシェアのドライバーを装い、ライドシェア車両に偽装したうえで呼び出されたドライバーを装い、無防備な乗客を車に誘い込む犯罪も発生している[48]。後者はサマンサ・ジョセフソン殺害事件(英語版)とサミーズ法の導入に繋がっている[49][50][51]。ライドシェアリング会社は性的暴行を防止するために必要な措置を講じていないと批判されている[52][53][54]中国インドでも同様の強姦殺人事件が発生している。

2020年、ウーバーによるアメリカ国内における安全性レポートが公表されており[55][56]、この中で性犯罪に関し、セクシャルハラスメントなど軽微なものから強姦など深刻なものまでを含む総報告件数は3,824件発生しており[55]、この内強姦事件は141件発生、91%を乗客が占め、7%が運転手であった[55]。性別は女性が81%、男性が15%となっており、男性の被害者数が当初の報告から2倍へと増加している[55]。なお、2017年から2018年のレポートによれば報告件数は5,981件(強姦247件)であり被害は減少している。輸送回数は2019年に14億回を記録しており、2020年にはコロナウイルスの流行により6億5,000万回へと減少したことから強姦の発生割合は全体の0.00002%である[55]。このほか、2020年までの2年間の間に20件の傷害致死事件が発生し、このうち被害者の15名が乗客である[55]。継続的な身元調査から8万人の運転手がプラットフォーム上から削除された[55]
中国

2018年5月5日、鄭州新鄭国際空港から鄭州駅までの移動に滴滴出行の相乗りサービスである「順風車」を利用した21歳の女性客室乗務員がドライバーから強姦された後に殺害された[57]。女性は乗車後、男性ドライバーからのセクハラ言動に異変を感じたため、スマートフォンアプリWeChat」を通じ同僚に異変を伝えていた。その後、連絡が途絶えたため父親が警察に通報し、3日後に遺体となって発見された[57]。下半身には何も身に着けておらず、性的暴行を受けた痕跡が認められたうえ、体中にナイフで切られたとみられる多数の切創が確認された。滴滴は懸賞金を掛けドライバーの情報を求めていたが、事件から8日後の13日、鄭州市内の川で遺体となっている所を発見された。自殺とみられている[57]。また、滴滴ではドライバーによる顧客評価システムがあり、この中で利用した女性の容姿に対する辛辣なコメントが書き込まれており、情報はドライバー間で共有されていた。事件によりこの情報が明るみに出たことで滴滴への大きな批判へと繋がっている[57]。滴滴のサービスは事件後に停止されたものの、「社会に必要である」との認識から1週間後には改善策が示された上で再開された[57]

8月27日の午後、20歳の女性利用者が友人の誕生日に参加するため順風車サービスを利用。乗車後しばらくしてからWeChatで友人に対し「運転手が山道を通っている。周りに車がなく、少し怖い」と送信、5分後には「助けて、助けて」と送信し行方不明となった[58]。翌早朝、警察によって男性ドライバーの身柄が拘束され捜査が行われた結果、女性は遺体となって発見された。なお、遺体の状態から強姦後に殺害されていたことが判明している[58]

事件発生以前よりセクハラ関連の報告が多数あがっていたうえ、改善策が示され再開後の僅か3カ月後に発生した2件目となる同様の殺人事件に、ライドシェア廃止論が出るなど中国国民の怒りは頂点に達し、宣伝のため起用されたタレントも軒並みアプリを削除し、「滴滴は3カ月何をしていたのか」とメディアも挙って滴滴を糾弾した[58]。立て続けに発生した殺人事件により滴滴は業績が悪化し、1,800億円の赤字となったことで全従業員の15%にあたる2,000名を解雇した。また、依頼件数が激減し、配車依頼も無くなったことで多くのドライバーが生活に困窮する労働問題にも発展した[59]
交通事故

報告書では、ウーバー車両が関係した衝突死亡事故は101件発生しており、2019年と2020年の双方で発生したウーバーが関連する自動車事故による死亡率は「全土平均の約半分」であると主張している[55]

2019年、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスによる学術調査が行われ[60][61]、相乗りアプリや配車サービスの人気の高まりと共に自動車事故や死亡者数の増加との相関関係が分析された。2001年から2016年までの米国の大都市における配車サービス導入前後の8四半期を調査し、交通量、交通手段の選択肢、自動車事故の総数を分析し結論に至った[60]。また、アメリカ道路交通安全局(英語版)(NHTSA)のデータを組み込み、主要都市での事故率や車両総走行距離の比較なども行われた。この調査からライドシェア事業は自動車事故による死亡者数全体の3%増加に貢献しているとされる。2010年の米国の交通事故死者数は32,885人(1949年以来最低レベル)であったが、2016年には37,400人以上に増加しており、これは配車サービスが原因であるとされた[60]。毎年登録車両が増加しているため、死亡者数が年間3%、つまり987人ずつ増加している。特に大都市における自転車や歩行者が巻き込まれる事故での負傷者や死亡者の増加に顕著に表れており、2017年から2018年にかけ、ウーバーの車両は97件の死亡事故に関与し、これらの事故で107名が死亡している[60]。なお、曜日や時間帯問わず事故率は一定であった[60]。この研究結果から経済的損失を定量化し、米国運輸省の生命価値に基づき試算した結果、配車サービスによる損失は100億ドル(約16,5兆円)に上り、これに負傷者数は含まれていない[60]
その他の問題

ライドシェアリングは運転中の携帯電話の使用を奨励または要求しているとして批判されている。いくつかのアプリは、通常、通知を受けてから15秒以内に、ドライバーに携帯電話の画面をタップすることを要求しているが、これは漫然運転につながる可能性があるため、特定地域では違法行為である[62]

多くの都市では、ライドシェアリング車両が乗客を乗せたり降ろしたりする際に自転車専用レーンを日常的に妨害しており、サイクリストを危険に晒す行為であると批判されている[63][64][65]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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