ヨーグルト
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基本的な作り方

単体で種菌を入手し牛乳と混ぜることで作ることもできるが、市販されているプレーン・ヨーグルトに含まれる乳酸菌を使って作ることもできる。したがって、出来の良いヨーグルトを種として取っておき、それを使うこともできる。ただし、雑菌の混入を完全に阻止出来ない一般家庭において植え継ぎ(残ったヨーグルトを続けて種菌として使用し続ける)を行った場合、環境中に常在している乳酸菌が混入し増殖するほか、乳酸菌以外の雑菌として大腸菌(Escherichia coli), Klebsiella aerogenes, Citrobacter freundiiなども増殖する可能性がある[19]が、雑菌の混入は外見からは判断できないとする見解がある[19]

基本的な作り方は以下のとおりである。ヨーグルトメーカーを使うと作りやすい。
乳を沸騰させ、30度から45度程度(菌種によって異なる)に冷えるのを待つ。

種菌またはヨーグルトを小量混ぜる。

30度から45度程度(菌種によって異なる)で一晩置く(暖かい地方では単に放置する)。65℃の温度で23秒間加熱すれば乳酸菌殺菌できることが知られている[20]ため、乳が高温すぎると乳酸発酵が行われない。

ブルガリアでは伝統的なヨーグルトはセイヨウサンシュユなどの葉の朝露にいる乳酸菌から作られているが[4][21]、日本にもあるサンシュユの木の枝を使ってもヨーグルト状のものを作ることができる[22](ただし、安全かは不明[21])。

近代的な製法では、温度調整済と殺菌済み原料乳と副原料(脱脂粉乳やバターなど)に培養した種菌(乳酸菌スターター)を加え、40℃から45℃の環境下に一定時間置くことで生産される[4]。プレーンヨーグルトでは一定の状態に達した物を、冷却により発酵を停止しさせ容器への充填を行う。あるいは、加熱殺菌を行い加糖ヨーグルトや果実加工品、低カロリー甘味料などを添加した製品が大量生産される。なお、種菌(菌株)の組合せ、発酵温度、発酵時間、酸素濃度などの調整により異なった特徴を与えることが可能である[4]

ヨーグルトが固まる原理は、乳内の糖を乳酸菌が分解し作り出した乳酸によって、乳が酸性に傾くことで乳内のカゼインが固まることによる。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}pH4.6(等電点)を超えた当たりから凝固し始める[要出典][23]。乳酸菌は酸に対してある程度の耐性を持つため、他の酸に弱い雑菌(ブドウ球菌や一部の大腸菌)の増殖を抑えて増殖する。
世界のヨーグルト

地域毎に原料乳や製法が異なるため、様々な特徴をもつヨーグルトが存在している。

ブルガリアのヨーグルトは先住民の
トラキア人により始まり、支配者が変わってスラブ人に引き継がれ現代に続いている。ブルガリアでは聖ゲオルギの日である5月6日に家畜の放牧を始めるとともに、家々でヨーグルトを作り始めている[4][24]が、近代的な工場で大量生産された製品も多く流通し、現在でも常時どの家庭でもヨーグルトを料理などに使っている。また、ヤギの乳を使ったヨーグルトなどいろいろなものが販売されている。素焼きの入れ物に入れて作り、そのまま素焼きの器ごと販売する地域が多いのは、菌がバランスを崩さずに生きるのを助けるためである。この場合、常温のまま販売される。また、素焼きの器は多孔質なので、水分が適度に抜けてヨーグルトがほどよく濃縮されるという効果がある。

凡例


地域名:ヨーグルトの名前 - 使われる乳のタイプ

特徴など。



インド/パキスタンダヒ(dahi、ヒンディー語)、ドイ(doi、ベンガル語)、タイール(thair タミル語)、カード(curd、英語) - 牛乳山羊乳、水牛乳

地方によっては、素焼きの器に入れて作られそのまま売られている。また、地方により味が違う。工業的に作られる物よりも、地方で自家製のものが多く販売されている。


ネパール:ダヒ(dahi、ネパール語

西スマトラダディ(dadih、インドネシア語) - 水牛乳

スリランカ:カード(curd、英語) - 牛乳、水牛乳

硬く濃厚な味。素焼きの器に入れて作られて売られる。地方で自家製のものが多く販売されている。


中国青海省):スアンナイ(酸?) - 牛乳、ヤク[25]

モンゴルアイラグ - 馬乳

中央アジア:クーミス - 馬乳、ラクダ乳

アフガニスタン:マースト(m?st、ダリー語

イランレーベン/マースト(m?st、ペルシア語) - 牛乳、山羊乳

イラク:リバン(liban、??? アラビア語

シリアレバノンパレスチナ:ラバン(laban、??? アラビア語)

エジプト:ザバディ(zabadi、アラビア語) - 牛乳、山羊乳、水牛乳

グルジアマツオーニ(matsoni、グルジア語) - 牛乳、山羊乳、羊乳

アルメニアマツン(matsun、アルメニア語

ギリシャ:ヤウルティ(giaurti、ギリシャ語

トルコ:ヨウルト(yo?urt、トルコ語) - 牛乳、ヤギ乳、羊乳

ブルガリアキセロ・ムリャコ(Кисело мляко、kiselo mljako、ブルガリア語) - 牛乳羊乳

ロシアケフィール(kefir) - スメタナ(Smetana-ロシア語) -牛乳

スペイン:クァハダ(cuajada)/マミヤ(mamiya) - 牛乳、山羊乳

スカンジナビア半島:テッテ - 牛乳、脱脂乳

より濃厚なヨーグルト。素焼きの器に作られ売られる。普通のヨーグルトとは区別されて売られている。


カルグルト

カルグルトは、皇室で食されるヨーグルトで、発酵には皇室専用の菌を使い、牛乳はジャージー種ホルスタイン種低温殺菌牛乳をミックスさせて作られ、水で割って飲まれている[26]
ヨーグルトを使用した料理・食品トルコ料理のヨーグルトソース、ジャジュク(cac?k)。ギリシャのザジキなどと類似した料理

欧米や東アジアではデザートとして食べることが多いが、南アジア中央アジアカフカース中東では塩味の料理に頻繁に用いられる。煮込み料理に加えたり、野菜と和えるほか、タンドリーチキンマリネケバブソースにも使われる。

世界各地には、インドのラッシーやトルコのアイランなど様々なヨーグルト飲料が存在する。欧米ではスムージーに加えたり、氷菓フローズンヨーグルト)の素材とすることもある。

イランの「カシュク(Kashk)」、アフガニスタンの「クルート(Qur?t)」、アラブ人の「ラバナ(Labanah)」など、ヨーグルトを脱水加工した保存食品もある。


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