ヨハネスブルグ
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しかし、実際はヨハネスブルグでは昼間であっても、犯罪多発地区への立ち入りは非常に危険であり、日本の外務省などは、そのような地区への立ち入りはしないように勧告している[20]

とりわけヨハネスブルグ中央部界隈の治安の悪さは、戦時下にない地域としては世界でもワーストクラスとなってしまった。どの店でもショーウィンドウには鉄格子が据えつけられ、治安の悪い地区には有刺鉄線が張りめぐらされた商店もある。

ヨハネスブルグ中心部のヒルブロウにあるポンテタワーは、白人が去りギャングが制圧した建物で、この周辺の治安が特に悪化している。

治安の悪化によって、富裕層から中産階級層のオフィスや居住地は北部のサントン地区などの郊外へ移転し始めた。彼らが移住して行った先の地区は中心部にホテルが併設された大型ショッピングセンターが存在するなど、地区内で生活が完結する一種のゲーテッドコミュニティとなっている。これらの高級施設や区画は、高圧電線、窓の鉄格子、電子防犯装置、銃火器で武装した警備員、警備犬の巡回によって、治安は比較的良好に保たれている。
背景ヨハネスブルグの中でも危険度が高いとされるヒルブロウ地区。治安悪化にともない白人富裕層が逃げ出したこともあり、近代的なビル群が林立するわりには車道の交通量が不自然に少ない。

ヨハネスブルグにはアパルトヘイト廃止後、職を求めて国内からは元より、国外からも不法入国者を含めて、多くのアフリカ系黒人とカラードが一挙に流れ込んだ。しかし、アパルトヘイト時代の黒人に対する教育環境は非常に貧しく、非識字者が多いことはもちろんのこと、四則計算のような算数の初歩程度の知識すら有さない者も多い。南アフリカ共和国に隣接する国家から流入する者も同様である。こうした初等教育すら受けていない黒人たちが高層ビルの林立する近代都市で職を得ることは難しい。その結果、一部の者を犯罪へ駆り立て、多くの犯罪組織が作られることとなり、ヨハネスブルグの治安は急速に悪化した。これを嫌った白人富裕層は、ヨハネスブルグからサントンなどの近郊へと移住し、さらに企業も移転していった。こうした悪循環でヨハネスブルグではますます仕事の機会がなくなり、ついには街の一部(ヨハネスブルグ中心部など)は完全なゴーストタウンと化した。写真にある近代的な高層ビル群や高級マンションには、逃げ出した白人たちに代わって、周辺諸国からの不法移民や市街地に流れ込んできた貧困層の黒人たちが、不法入居者として住みつき、麻薬取引を始めとする犯罪の温床と化した。

また、南アフリカの都市では、経済的な貧困に加えて、すでに死因の1位となっているエイズ蔓延による深い絶望感、さらにアパルトヘイト時代に鬱積した不満の反動とが複雑に絡み合い、銃器が簡単に入手できる環境から、実に簡単に殺害行為が引き起こされるようになってしまった。犯罪に手を染めるマフィアの縄張り争いや金銭のトラブル、または酒場でのいさかいなどが主な原因となっている。
危険情報

日本の外務省からは、南アフリカ共和国に対しては危険情報が出されている[20]。ヨハネスブルグはその中で1項目として挙げられている状態で、ダウンタウンやヒルブロウ地区については「可能な限り公共輸送機関の利用は避け、同地区には立ち入らないように」という勧告も出されている。ヨハネスブルグでは自動車での移動においても、交差点で赤信号のために停車した日本人ドライバーがガラスを割られて助手席の荷物を盗られるという事件や、乗用車の故障のため高速道路の脇に車を停めて車外に出たドライバーがギャングに殺される事件が発生している。
改善への取り組み

ヨハネスブルグ警察は治安の悪化を改善すべく防犯カメラを中心部に多数設け、24時間監視を開始した。中心部は改善がみられたものの、犯罪グループの活動拠点が中心部から移動し、治安の悪化がカメラの設置されていない郊外部に拡大した[21]
対外関係
姉妹都市・提携都市
国内

プレトリア南アフリカ共和国

国外
姉妹都市


サンパウロブラジル連邦

ニューヨークアメリカ合衆国

ロンドンイギリス連合王国 イングランド国

バーミンガムイギリス連合王国 イングランド国

ヴァル・ド・マルヌ県フランス共和国

台北市中華民国 直轄市

ラマッラーパレスチナ国

アクラガーナ共和国

アディスアベバエチオピア連邦民主共和国

キンシャサコンゴ民主共和国

マトラモザンビーク共和国

ウィントフックナミビア共和国

キガリルワンダ共和国

経済
第二次産業
鉱業

ヨハネスブルグは金鉱山の開発によって成立した町で、現在でも市の境界線近くで多くの金鉱山が操業しており、鉱山会社のほとんどもヨハネスブルグに本社を置いている。しかし、1世紀以上にわたって年間生産量第1位を誇ってきた南アフリカの金鉱山は、採掘坑道の長大化、深部化によるコスト増により、生産量は2009年時点でアメリカ合衆国に次ぐ世界第4位へと地位が低下してきている。
工業

鉄鋼やセメントを中心とした工業も盛んで、長らくヨハネスブルグで重要な地位にあった。
第三次産業
金融業

現在のヨハネスブルグの主幹産業は、商業および金融である。JSEはアフリカ最大の証券取引所であり、銀行や製造業の企業の多くもヨハネスブルグに本社を置き、外国企業の支店も多く立地している。
情報・通信
マスメディア

南アフリカ共和国の経済の中心地であるため、テレビ局や新聞社、出版社も多い。ただし、治安の悪化が暗い影を落としている。
教育ウィットウォータズランド大学
大学

ヨハネスブルグには公立・私立ともに質の高い大学がある。2005年1月、ランド・アフリカーンス大学、ウィットウォータズランド工科大学、ビスタ大学の3つが合併し、ヨハネスブルグ大学が設立された。この大学では英語だけでなくアフリカーンス語でも教育が行われる。

ヨハネスブルグ大学

ウィットウォータズランド大学

モナシュ大学

日本人学校

市内には日本人学校であるヨハネスブルグ日本人学校がある。
交通

国内最大のO・R・タンボ国際空港が所在するなど、南アフリカ共和国の空の玄関都市である。鉄道高速道路も各都市を結び、よく整備されている。
空路O・R・タンボ国際空港
空港

国内最大のO・R・タンボ国際空港のほか、国内線専用のランセリア空港、小規模空港であるランド空港、グランドセントラル空港がある。


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