ユダヤ人
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歴史的にはユダヤ人とはユダヤ教徒のことであったが、現状では国籍、言語、人種の枠を超えた、ひとつの尺度だけでは定義しえない文化的集団としか言いようのないものとなっている[11]。ユダヤ人には、中東諸国にルーツを持つミズラヒ・ユダヤ人(ミズラヒム)、ヨーロッパ系のアシュケナジ・ユダヤ人(アシュケナジム)の区別がある。イスラエル国内で両者の数は半々しなものの、 社会的地位・経済力には大きな格差があり、エリート層の多くはアシュケナジムによって占められている[12][13]。イスラエル国内で前者の多数は労働者階級でネタニヤフ首相を支持し、エリート階級である後者に対する敵意を持っており、国内対立が起きている[13]
定義

「ユダヤ人はユダヤ教を信仰する人々である」という定義は、古代・中世にはあてはまるが、近代以降ではユダヤ教徒の家系でキリスト教に改宗した人々(フェリックス・メンデルスゾーングスタフ・マーラーハインリヒ・ハイネベンジャミン・ディズレーリ)や無神論者(両属性ユダヤ)の人々(ジークムント・フロイトカール・マルクスなど)も「ユダヤ人」とみなされることが多い。

なお、イスラエル国内においてユダヤ教を信仰していない者は、Israeli(イスラエル人)である。

イスラエルの国内法である帰還法は「ユダヤ人の母から産まれ、あるいはユダヤ教徒に改宗した者で、他の宗教の成員ではない者」をユダヤ人と定義している。

また、ユダヤ人社会内やイスラエル国内においては、「ユダヤ人の母を持つ者」をユダヤ人と呼ぶのに対し、ヨーロッパなどでは、母親がユダヤ人でなくともユダヤ人の血統を持った者(たとえば母親が非ユダヤ人で父親がユダヤ人という場合)もユダヤ人として扱うことが多い。M. Gottlieb画、シナゴーグで祈るユダヤ人(1878年

11世紀の翻訳書
?オスマン帝国のユダヤ系人の旗(1453年 - 1793年)

過去の人種学ではユダヤ人という人種が存在しているという考え方もあった。ゴビノーはアラブ人とユダヤ人をあわせてセム人種と呼び、これを白人の中でも他人種との混血度の高い二級集団と断じた[14]ナチズムはユダヤ人を人種として扱っているが、帝国市民法第一施行令による分類では、形式的にユダヤ教組織に属した人間も「人種としてのユダヤ人」になるとされた[15]

こうした見方からはユダヤ人特有の外見の特徴が存在するとされ、これに基づいた差別的検査も行われていた。しかし、ユダヤ人を身体的形質によって他と区別しうる集団としてとらえることはできず[16]、すでに白人のみならず多数の黒人がともにユダヤ人として認められている。

現代社会ではユダヤ人はおおむね居住地のほかの住民と同化しており、これを血統主義的観点からのみ区分することはできない。そのため、ユダヤ人のハーフやクオーターといった形容は、まず用いられない。ドイツの文芸評論家マルセル・ライヒ=ラニツキは、自伝『わがユダヤ、ドイツ、ポーランド』(柏書房)の中で「私は、半分のポーランド人、半分のドイツ人、そして丸ごとのユダヤ人だ」と冗談めかした言い方でこのあたりの機微を突いている。

大澤武男は「歴史的な見地から『ユダヤ人』をユダヤ教を信じる人々と規定するなら『ユダヤ教徒』と呼ぶべきであり、単に『ユダヤ人』と呼称するのは適当ではない」とし、ユダヤ人を人種民族と規定する見方は、19世紀以降のナショナリズム社会進化論反ユダヤ主義の産物であり、また国籍を示す用語でもないという[17]。「ユダヤ人」は、キリスト教文化圏では一種の宗教的差別概念、また少数派、無国籍放浪者としての社会的差別概念を含む言葉として用いられてきた[17]。現在、イスラエル人やユダヤ教徒、またはユダヤ教がもたらした伝統や文化を堅持している人々を指して、ユダヤ人と呼ぶとする[18]

内田樹は、英語であれば Jew や Jewish の一語で表せるが、日本語では単に「ユダヤ」とは呼ばず、その後に「?人」「?民族」「?教徒」とつけて呼び習わしているが、「教徒」では宗教的な意味合いだけで考慮されることが多く、「?人」「?民族」という表現から(民族と人種の概念を混同して)「ユダヤ人」がひとつの「人種」であるという誤った印象を受けてしまう人もいるが、実際にはユダヤ人とほかの民族集団とを区別しうる有意な人種的特徴はないという[16]
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