ヤード・ポンド法
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Notes^ これがガロンの定義であり、正確な値である。

容積(米国)
単位記号定義SI換算英国換算
ガロン (gallon)gal231 cu in[n 1]3.785 L0.8327 imp gal
クォート (quart)qt1⁄4 gal946.4 mL0.8327 imp qt
パイント (pint)pt1⁄2 qt473.2 mL0.8327 imp pt
液量オンス (fluid ounce)fl oz1⁄16 pt29.57 mL1.041 imp fl oz
液量ドラム (fluid dram)fl dr1⁄8 fl oz3.6967 mL1.041 imp fl dr
ミニム(英語版) (minim)1⁄60 fl dr61.61 μL1.041 imp fl minim

Notes^ これがガロンの定義であり、正確な値である。

原油の計量に国際的に用いられるバレルは、42米液量ガロン(正確に158.987294928 L)である。

以下は、日本の計量法における定義である(計量単位令 別表第7)。英国、米国の法定の定義とは異なることに注意。また、計量法では「液量」ではなく「液用」を用いている。

1米液用オンス = 正確に29.5735 mL(29.5735295625 mLを小数4桁に四捨五入したもの)

1英液用オンス = 正確に28.4134 mL(由来は不明。英液量オンス28.4130625 mLからは導出できない。)

1ガロン = 正確に3.785412 L(米液量ガロン3.785411784 Lを小数6桁に四捨五入したもの)

質量の単位

帝国単位と慣用単位のポンド

米国0.4535924277 kg
英国0.453592338 kg
国際0.45359237 kg

ポンドを基本単位とする。質量の単位には常衡トロイ衡に用いられる金衡)・薬衡の3つの系統がある。普段用いられるのは常衡による単位であり、トロイ衡・薬衡については「トロイ」「薬用」を単位名称の前につける(常衡であることを明示する場合には「常用」をつける)。どの系統でもグレーンの値は同じであり、ポンドがその何倍であるかが異なる。薬衡は今日ではほとんど用いられておらず、トロイ衡もトロイオンス以外は用いられていない。

帝国単位と米国慣用単位はともに同じ標準を元にしているが、19世紀に帝国単位で「ストーン」が挿入された。ハンドレッドウェイトは100ポンドであることに由来する名称だが、帝国単位では1ハンドレッドウェイトは112ポンドとなっている。米国慣用単位では今でも100ポンドである。その上のトンの値の違いは、ハンドレッドウェイトの違いによるものである。区別のため、帝国単位(英トン)のものはlong/gross、米国慣用単位(米トン)のものはshort/netが単位名称の前につけられることがある。

帝国単位と米国慣用単位では、「重量」(weight)と「質量」(mass)という言葉はあまり区別せずに用いられてきたが、ポンドがキログラムに関連付けられたことにより、技術的にはポンドは重量ではなく質量を指している。
常衡詳細は「常衡」を参照

常衡
単位記号定義SI換算
グレーン (grain)gr64.79891 mg
ドラム (dram)dr27+11⁄32 gr1.7718451953125 g
オンス (ounce)oz16 dr28.349523125 g
ポンド (pound)lb16 oz
7000 gr0.45359237 kg
ストーン(英)(stone)st14 lb6.35029318 kg
クォーター(英)(quarter)28 lb12.70058636 kg
センタル(英)(cental)
ハンドレッドウェイト(米) (hundredweight)cwt100 lb45.359237 kg
ハンドレッドウェイト(英)(hundredweight)cwt112 lb50.80234544 kg
トン(米)(ton)t2000 lb907.18474 kg
トン(英)(ton)t2240 lb1016.0469088 kg

トロイ衡詳細は「トロイ衡」を参照

トロイ衡
単位記号定義SI換算
グレーン (grain)gr64.80 mg
ペニーウェイト (pennyweight)dwt24 gr1.555 g
トロイオンス (troy ounce)oz t20 dwt31.10 g
トロイポンド (troy pound)[n 1]lb t12 oz t
5760 gr373.2 g

Notes^ 1879年1月に施行された1878年の度量衡法により、英国内で取引のためにトロイポンドを使用することは禁止された。2012年4月24日現在、トロイオンスは貴金属の販売のために使用できる。

薬衡詳細は「薬衡」を参照

薬衡は製薬業界で使われており、中世からほとんど不変だった。薬用ポンド・薬用オンスはトロイポンド・トロイオンスと同じ大きさであるが、分量単位が異なっている。イギリスでは1970年にメートル法に置き換えられた[13]

薬衡
単位記号定義SI換算
グレーン (grain)64.80 mg
スクラプル(英語版) (scruple)?20 grains1.296 g
薬用ドラム (dram/drachm)?3 ?3.8879346 g
薬用オンス (ounce)?8 ?31.10 g
薬用ポンド (pound)?12 ?
5760 gr373.2 g

固有の名前を持つエネルギー・力・温度の単位

帝国単位と米国慣用単位の大部分の派生単位の名前は、単位の構成要素の連結である。例えば、圧力の単位は「重量ポンド毎平方インチ」である。パウンダルは別として、固有の名前を持つ大部分の単位は一貫性がないが、業務上の実用上の目的のために採用された[Note 5]

エネルギー・力・温度
量単位記号系定義SI換算
パウンダル (poundal)pdlFPS1ポンド(lb)の質量をもつ物体に1フィート毎秒毎秒(ft/ss)の加速度を生じさせる力0.1383 N
重量ポンド (pound force)lbfBGS, EEU1ポンド(lb)の質量をもつ物体に標準重力加速度と同じ加速度を生じさせる力4.448 N
慣性(質量)スラグ (slug)BGS1重量ポンド(lbf)の力によって1フィート毎秒毎秒(ft/ss)の加速度が生じる質量14.59 kg
仕事率馬力 (horsepower)hp1秒間につき550重量ポンド(lbf)の重量を1フィート(ft)動かすときの仕事率745.7 W
エネルギー英熱量単位 (British thermal unit)BtuFPS, BGS, EEU1ポンド(lb)の水の温度を1華氏度上げるのに必要な熱量1055 J
温度ファーレンハイト度 (degree Fahrenheit)°FFPS, BGS, EEU32 + 9⁄5×T(°C)
絶対温度ランキン度 (degree Rankine)°RFPS, BGS, EEU9⁄5 K

その他の単位

上記に挙げられた単位の他にも、ヤード・ポンド法には多数の単位がある。そのような単位は、理論的には、同じ次元の一般的な単位に置き換えることが可能である。例えば、石油工業で使われるバレル(42米ガロン、34.97英ガロン、159.0リットル)は、体積の次元を持つ他の単位、ガロン、立方メートル、リットルなどに置き換えることができる[14]

電位差ボルト)、電流アンペア)、電気抵抗オーム)の定義はメートル法の上で行われた。そして、電気産業がまだ未発達であった1881年から1906年にかけて、シカゴで開かれたIECの一連の会議で国際的に合意された[15]。メートル法が大陸ヨーロッパで確立し、イギリスでもメートル法化が活発に議論された。同様に、放射線産業で使われる計測単位はメートル法上で定められ、1928年ストックホルムで開かれた第2回国際放射線会議で最初の合意に達した[16]
現在の状態

メートル法は多くの国で従来の度量衡を置き換えた。1960年代から、多くの英語圏諸国でメートル法化の計画が開始された。従来の度量衡(ヤード・ポンド法)の完全な置き換えに成功した国もあったが、一部の置き換えに留まった国もあった。「イギリスにおいて国際単位系(メートル法)は公式の単位系だが、アメリカ合衆国においては慣用単位が未だに主に使われている」と、ヤード・ポンド法の現状についてNISTが要約している[17]

しかし、状況はこれほど明確でない。アメリカ合衆国では、例えば自動車製造のような特定の分野ではメートル法が主に使われているが、航空機製造においては慣用単位が使われている[18]

イギリスでは、いくつかの特に免除された分野(道路標識速度計生ビールの販売など)を除いて、ほとんど全ての単位の規制された使用[Note 6] においてはメートル法の単位が必要とされる[19]。NISTの声明は、メートル法化が不完全であるオーストラリアインドニュージーランド南アフリカや、ほとんどの地域で帝国単位が廃止されているカナダについて言及しておらず、不完全である[20]

第二次世界大戦から冷戦期にかけて世界の超大国としての地位を確立したアメリカ合衆国が、いまだにヤード・ポンド法を使用しているため、メートル法に移行した国の多くでもアメリカ合衆国の強い影響下にある分野(軍事・航空・コンピュータなど)に限定してヤード・ポンド法の使用を公式・非公式に認めざるを得なくなっている(特に航空の分野では、航空機の技術発展が著しかった1930?1950年代、アメリカ主導で航空交通管制や航法システムが国際的に構築されたことから、ヤード・ポンド法の使用がほぼデファクトスタンダードになっている)。また、それ以外の分野についてもヤード・ポンド法の単位が使用されていたり、メートル法であってもヤード・ポンド法の単位の整数倍の値が使われていたりする。
日本における使用

日本では、1909年にヤード・ポンド法の使用が認められた。1921年に使用が禁止されたものの、戦後、GHQ占領下で再び使用が認められた[いつ?]が1959年1月1日より計量法により、取引又は証明については、一定の例外を除き(計量法8条3項)、原則としてメートル法以外の計量単位(尺貫法やヤード・ポンド法による計量単位)の使用が禁止された。

ただし、例外として次の4つの場合については、当分の間、ヤード・ポンド法の使用が認められている[21][22]
航空機の運航に関する取引又は証明(計量法附則5条2項1号、計量単位令9条1号)

航空機による運送に関する取引又は証明(計量法附則5条2項1号、計量単位令9条2号)

航空機及び航空機用機器並びにこれらの部品に関する取引又は証明(計量法附則5条2項1号、計量単位令9条3号)

ヤードポンド単位表記と法定計量単位表記とが併記されている下記の商品(輸入されたものに限る。)の取引又は証明(計量法附則5条2項2号、計量単位令10条、計量単位規則10条)[23]


1半導体製造装置及びその部品、2植物油脂及び加工油脂、3とうもろこし、4豆類及びその調製品、5調製穀粉、6野菜及びその加工品、7果実及びその加工品、8生鮮肉類及び肉製品、9魚類、えび類及びかに類並びにこれらの加工品、10茶、コーヒー及びココアの調製品、11香辛料、12めん・パン類、13菓子類、14酪農製品、15加工卵製品、16ソース、17調味料関連製品、18アルコールを含まない飲料、19食料品のかん詰及びびん詰(他の号に掲げるものを除く。)、20化粧品(第23号に掲げるものを除く。)、21歯磨き、22化粧石けん、23医薬部外品であって次に掲げるもの イ 口中清涼剤、ロ 腋臭防止剤、ハ てんか粉類、ニ 育毛剤、ホ 除毛剤、ヘ 染毛剤、ト 薬用石けん、チ 薬用化粧品、リ 薬用歯磨き類、24ズボン(ジーンズパンツに限る。)、25哺乳用具

なお、そもそも例えば 147 mL(5 fl oz) との表記であれば、これは法定計量単位での表記であり、括弧書きは参考に過ぎないので、輸入品に限らず許される表記である[24]。上記のヤードポンド単位表記と法定計量単位表記とが併記されているというのは、同じ例であれば、「輸入されたソースの表記: 5 fl oz, 147 mL 」のように単に両方の単位が並んで表記されている場合のことである。
計量法で認められている計量単位

日本で使用が認められているのは、ヤードポンド法による計量単位のうち、次に掲げるものだけである。ここに掲げられている単位以外のものを、取引又は証明に使用することはできない。したがって、ロッド(長さ)、エーカー(面積)、クォート(体積)、バレル(体積)を、取引又は証明に使用することは禁止されている。
長さ:ヤードインチフート又はフィートチェーンマイル(フットの語が認められないことに注意)

質量:ポンドグレーンオンス米トン英トン

温度:カ氏度(「華氏度」、「ファーレンハイト度」などの語は認められていない)

面積:平方ヤード平方インチ、平方フート又は平方フィート平方マイル

体積:立方ヤード立方インチ、立方フート又は立方フィート米液用オンス英液用オンスガロン(米液量オンス、英液量オンスの語が認められないことに注意)

速さ:ヤード毎秒

加速度:ヤード毎秒毎秒

密度:ポンド毎立方フート又はポンド毎立方フィート

力:重量ポンド

力のモーメント:フート重量ポンド又はフィート重量ポンド

圧力:重量ポンド毎平方インチ水銀柱インチ、水柱インチ、水柱フート又は水柱フィート

応力:重量ポンド毎平方インチ

仕事:フート重量ポンド又はフィート重量ポンド

熱量:英熱量

(注)トロイオンスは、特殊の計量(計量法第5条第2項)に限って認められている単位であり、ヤードポンド法の単位には位置づけられていない。

なお、日本の計量法体系における上記の単位の定義は、計量単位令に定められているが、その定義は英米における定義とは厳密には異なるものがあることに注意すべきである。
日本でヤード・ポンド法が使われている分野


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