ヤマユリ
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排水が良く湿度を適度に保つ膨軟地を好む性質があり、半日陰で根元が乾燥しない高畦に植栽される[6]繁殖は、鱗茎を分けて植えるか、実生によって行われる[6]

ヤマユリを基に改良した園芸品種は、オリエンタル・ハイブリッドとよばれている[4]
利用

秋から春にかけて地下の鱗茎を掘り採って、食用や薬用に利用する[2]
食用

鱗茎は、オニユリ等と同様にユリ根として食用となる。根を取り除いて鱗茎をよく水洗いして、1片ずつ剥がしてから酒を加えて茹でて下ごしらえする[2]。きんとん、煮物、生のまま天ぷらにするほか、中火で甘煮にして砂糖をまぶしたものはデザートになる[9]。天ぷらにするとホクホクした食感になる[9]

鱗茎には良質なデンプン[9]多糖類の一種であるグルコマンナン(コンニャクにも多く含まれる)を多量に含み、縄文時代には既に食用にされていた。生のユリ根を煮て調理するとき、よく煮ると糊状となり、美味で去痰の効果もある[6]
薬用

鱗茎は生薬になり、中国のユリの鱗茎である百合(びゃくごう)の名を、日本産ヤマユリに充てている[6]。調整法は、秋に種子が成熟した後に、鱗茎を掘り採って水洗いした後、鱗茎の裂片をほぐして天日乾燥させる[6][9]、もしくは湯通しして天日乾燥する[5]鎮咳強壮、口腔内や胃粘膜の保護に役立つとされ、民間療法では、温まるときに出る咳や、微熱があり動悸があるときの不眠に、乾燥したユリ根1日量5 - 10グラムを400 ccで煎じて、3回に分けて服用する用法が知られている[5][6]。ただし、寒気や冷えが出ている咳への使用は禁忌とされている[5]。またおでき打ち身、腫れ物などには、乾燥した百合を粉末にして、で練って患部に湿布する民間療法が知られる[5][9]
その他

1873年ウィーン万博で日本の他のユリと共に紹介され、その美しさからヨーロッパで注目を浴びる[10]。それ以来、ユリの球根は大正時代まで主要な輸出品のひとつであった。西洋では栽培品種の母株として重用された。


ヤマユリは神奈川県県の花に指定されている。

石川県鹿島郡中能登町石動山では北陸地方にはないヤマユリが自生しており、地元では「石動山ユリ」として町花に指定されている。

脚注^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Lilium auratum Lindl. ヤマユリ(標準)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2023年9月23日閲覧。
^ a b c d e f g h i j 高野昭人監修 世界文化社編 2006, p. 114.
^ a b c 大嶋敏昭監修 2002, p. 425.
^ a b c d e f 主婦と生活社編 2007, p. 121.


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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