ヤツメウナギ
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なお、上述の様にコンドロイチン硫酸などに反応するアルシアンブルーの代わりに、エラスチンに反応するレゾルシンフクシンによる染色が有効であると報告されている[7]

アンモシーテス幼生の頭部を水平断にし、背側を見た図。Gaskell (1908)より。

がない。ヤツメウナギの成体の口は吸盤状をしており、強い吸引機能がある。これで河底の石などに吸いついて、姿勢を保持することができる。またカワヤツメなど、一部の種ではこうした吸盤状の口で他の魚類などに取り付き、ヤスリ状の角質歯で傷を付けて体液を吸う。一見するとその様は大きなヒルが取り付いているようにも見える。

は表皮が角質化(角化)したものである[8]。つまりわれわれヒトなどが顎にもつ歯とは異なり、むしろや毛に近いが、これらのように連続的に角化するのでなく、周期的に角化し、一つの歯が脱落すると次の歯が出てくる形になる[8]

鰓孔が体の両側に7対開口する。

外鼻孔は、1対開口する顎口類とは異なり、単一のみで、頭頂に開口する。鼻管は盲嚢状。

内耳には半規管2つだけがあり、これも三半規管がある顎口類とは異なる[9]

以上のように、現在の顎口類には全く見られなくなった特徴が多くある。つまりこうした顎や対鰭、鼻孔などは、少なくとも顎口類がヤツメウナギなど円口類と分岐した後に独自に獲得したものだと考えられる。しかし、成体ではが大きく、よく発達したレンズ外眼筋も備えているなど、顎口類と共通した特徴も数多くあり、よってこうした形質は脊椎動物の最も初期の段階で既に獲得されていたものと考えられる。脊椎骨成分に関しては、ヤツメウナギで脊索背側の神経弓のみが、ヌタウナギで脊索腹側の痕跡的血管弓のみが認められるため、これらの共通祖先で既に脊索背腹両側に神経弓と血管弓を有する顎口類と同様の脊椎骨を有していたのに対し、両者の分岐後にヤツメウナギの系統では血管弓が、ヌタウナギの系統では神経弓が退化して失われ、さらに現生のヌタウナギの系統では残された血管弓すら殆ど失われて痕跡化したとする仮説が提案されている。
免疫科学

ヤツメウナギおよびヌタウナギは軟骨魚類以上の脊椎動物には存在する血液中の免疫グロブリンが存在していない。このことから、抗体機能の解明にヒントになり得ると見られている。
古生物学

ヤツメウナギ類は、顎を獲得していない段階で分岐した数少ない現生脊椎動物である。そのため、ケファラスピスやガレアスピスのような絶滅動物の復元にも重要な役割を果たす。

また、後期デボン紀のプリスコミゾン(英語版) (Priscomyzon riniensis)[10]、前期石炭紀のハルディスティエラ (Hardistiella montanensis)[11]、後期石炭紀のマヨミゾン (Mayomyzon pieckoensis)[12]などの化石は、ヤツメウナギ類のものと推測されている。

Priscomyzon riniensisの復元図。

Priscomyzon riniensisの化石。

その他

無顎類・円口類を魚類と呼ぶかどうかについては意見が分かれることがある。魚類の範囲をのあるものに限定するならば魚類には含まれないが、顎の有無は魚類かどうかの判別にかかわらないとする主張では魚類に含まれるといった議論ではある。今日では一般的には、広義の魚類とみなされる。

2013年2月、この仲間の一種、ウミヤツメ(Petromyzon marinus)のゲノムの解読が報告された[13]
系統的位置

以下に脊索動物内での系統関係の概略を示す。

ただし、特に"無顎類"や祖先的顎口類の絶滅群(コノドント、甲皮類、翼甲類など)に関しては、系統関係について現在も論争が続いており、下に示した例はその中の一説にすぎない。.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green}

脊索動物 

 頭索動物

 ナメクジウオ



 

尾索動物 

 オタマボヤ類 

 タリア類 

 ホヤ類 



 脊椎動物 

 円口類 

 ヌタウナギ類 

 ヤツメウナギ類 



 

 コノドント

 翼甲類

 甲皮類†

 顎口類 

 板皮類

 軟骨魚類サメエイ

 真口類 

 棘魚類

 硬骨魚類 

 条鰭類 

 分岐鰭類 (ポリプテルスアミメウナギ

 

 軟質類 (チョウザメ

 新鰭類 (ウナギなど、いわゆる魚のなかまの大部分はここに含まれる)





 肉鰭類 

  

 四肢動物 

 両生類

 羊膜類 

 単弓類 

  

 哺乳類ヒト





 竜弓類 

 双弓類 

 鱗竜類トカゲヘビ

 主竜形類ワニ恐竜())




























人間との関係
食文化カワヤツメの串焼き(蒲焼き)。ヤツメウナギの肉は鰻のそれと異なり、硬くて弾力に富むため、一口大に切られて供される事が多い。

現代の日本で全国的に流通する食材ではないが、洋の東西を問わず様々な文化圏に普通に登場する。また滋養強壮や夜盲症(鳥目)の薬としても古くから用いられてきた。実際に脂肪に富み、ビタミンAの一種であるレチノールを8200μg/100g以上含むなど、栄養価は高い[14]
日本

日本国内の場合、食用とされるのはほとんど日本産カワヤツメである。


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