ヤギ
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尖閣諸島の魚釣島では、日本の右翼団体によって1978年与那国島からヤギ(ザーネン種)(雄雌各1頭)が持ち込まれ、300頭を超えるまでに爆発的に増加した[31]。各地のヤギ対策は現在も続いている(聟島列島では完全に根絶した[32])。
家畜のヤギによる影響

中国、モンゴル等、東アジアの乾燥地帯では、ヒツジよりも利益率の高いカシミア種のヤギの飼育数が増え、砂漠化が進む一因ともなっている。また、中近東などでの砂漠の拡大にも、ヤギが影響していると考えられている。
文化の中のヤギ

ヤギは古くから家畜化されていたため、文化の中に様々な形で登場する。
神話・伝承の中のヤギ

やぎ座

ぎょしゃ座:星図絵には子ヤギを抱いた「御者」の姿が描かれ、α星カペラの名もヤギに由来する。

エンキ:エンキのシンボルは山羊と魚。

アマルテイアクレタ島で赤ん坊のゼウスを育てた牝ヤギ。

コルヌコピア:豊饒の角。

パンギリシャ神話):ヤギの下半身とツノをもつ半獣神。色と酒を好む。サテュロスとも近縁。

ディオニューソス:黒いヤギの皮を着ているとされ象徴の一つである。またディオニューソスに捧げる悲劇をトラゴーイディアー(山羊の歌)と呼ぶ。

バフォメット:一般的にヤギの頭と下半身、両性具有のヒトの体、カラスまたはコウモリの翼をもつ姿で描かれる悪魔

スケープゴート:「贖罪の山羊」の意から。

犠牲(生贄)のヤギ

ヤギは古くから犠牲にささげる獣(生贄)として使われることが多い。古代のユダヤ教では年に1度、2匹の牡ヤギを選び、くじを引いて1匹を生贄とし、もう1匹を「アザゼルのヤギ」(贖罪山羊)と呼んで荒野に放った(旧約聖書 レビ記16章)。贖罪山羊は礼拝者の全ての罪を背負わされ、生きたまま捨てられる点で生け贄と異なる。特定の人間に問題の責任を負わせ犠牲とすることをスケープゴート(scapegoat、生け贄のヤギ)と言うのは、これにちなんだ表現である。

現代的表現の例としては、アメリカヤングアダルト小説の旗手であるブロック・コール『ヤギ・ゲーム』(邦訳 徳間書店、中川千尋 訳)が挙げられる。
悪魔の象徴としてのヤギエリファス・レヴィによるバフォメット

新約聖書マタイによる福音書)では、(特に「羊=良きものの象徴」との対比で)ヤギを「悪しきものの象徴」として扱うくだりがある。ヨーロッパやアメリカなどのキリスト教文化において、ヤギには悪魔の象徴としてのイメージが強いが、これは、ギリシャ神話のパンやエジプト神話アモンのような山羊神、あるいは、祭司が角のついた仮面をかぶって獣の扮装をして踊り、豊穣な獲物を願うような素朴なシャーマン信仰における森林神等、キリスト教の公教化とともに駆逐された先行宗教の、邪神化された“異教”神たちのイメージから来たものであろう。古代ローマではヤギは欲望と性的快楽の象徴とみなされていた。ここからやがて、バフォメットのようなヤギ頭の悪魔が考え出され、悪魔崇拝者が好んでヤギの仮面をかぶったりする。また、中世では、悪魔の化身としてのヤギに乗って空を飛ぶ魔女版画などもある。

古くはイソップ寓話にも見るように、オオカミなどに食べられる被捕食者としての弱々しいイメージをもつが、その一方で、中国では、角の形から、ねじくれた性格の象徴にもなっている。
先頭の山羊

(西洋の)文化的に、山羊と羊は、対比的に扱われる。

「先頭の山羊」とは、羊の群を制御するさいに混ぜる山羊のことである。羊はおとなしいので、性格の激しい山羊を混ぜてやると、山羊が先頭に立ち、羊はその後について行く。牧人は山羊を制御すれば、羊の群れ全体を制御できることになる。
迷信

中部アフリカに位置するルワンダでは、女性はヤギの肉を食べてはならないとされている。口にするとヒゲを生やしてしまうと考えられているためである。同地域では、女性は幼い頃からヤギの肉を避けるべきであるとされている[33]

文学・芸術作品の中のヤギ詳細は「Category:美術におけるヤギ」、「Category:ヒツジ・ヤギを主人公にした物語」、および「en:Category:Fiction about goats」を参照
ヤギとジェスチャー

地中海での子ヤギは無力・役に立たない人を例える言葉であり、人差し指と小指を立てるジェスチャーは相手をそのような意味で揶揄・侮辱するものとされる[34]
脚注[脚注の使い方]^ a b Yahoo!百科事典「 ⇒ヤギ」(正田陽一)
^ “WHAT ARE FARM ANIMALS THINKING? New research is revealing surprising complexity in the minds of goats, pigs, and other livestock”. 20231212閲覧。
^ Feltman, Rachel (2021年10月27日). “Here’s why goats have those freaky eyes” (英語). Washington Post. 2024年2月25日閲覧。
^ “ヤギはどうして奇妙な目を持っているのか? よく見ると「怖い…」その理由を解説”. ナゾロジー (2020年12月14日). 2024年2月25日閲覧。
^ Mary C. Smith; David M. Sherman (November 16, 2011). Goat Medicine. John Wiley & Sons. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-1-119-94952-7. https://books.google.com/books?id=RJS9NEpYnd8C 
^ Taylor, Charles R. (1966). “The Vascularity and Possible Thermoregulatory Function of the Horns in Goats”. Physiological Zoology 39 (2): 127?139. doi:10.1086/physzool.39.2.30152426. ISSN 0031-935X. 
^ Asdell, S. A.; Smith, A. D. Buchanan (1928-09). “INHERITANCE OF COLOR, BEARD, TASSELS AND HORNS IN THE GOAT” (英語). Journal of Heredity 19 (9): 425?430. doi:10.1093/oxfordjournals.jhered.a103037. ISSN 1465-7333. https://academic.oup.com/jhered/article/774173/INHERITANCE. 
^ Fritz, William F.; Becker, Susan E.; Katz, Larry S. (2021-03-01). “Urine from domesticated male goats (Capra hircus) provides attractive olfactory cues to estrous females”. Applied Animal Behaviour Science 236: 105252. doi:10.1016/j.applanim.2021.105252. ISSN 0168-1591. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168159121000393. 
^ “つくっちゃおう【ヤギを飼ってみよう】”. 愛知県(www.pref.aichi.jp). 2024年2月25日閲覧。
^ 山羊繁殖管理マニュアル サイト:沖縄県


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