モーリシャスの環境は、沿岸地域では一般的に熱帯であり、山地には森林がある。時折襲来するサイクロンにより動植物が被害を受けるものの、それらはすぐに回復する。モーリシャスの空気の質は、世界で最高の水準とされており、世界保健機関(WHO)が公表するAir quality indexでは、モーリシャスは世界2位とされている[20][21]。
モーリシャスは南回帰線の近くに位置し、熱帯気候に属する。季節は2つある。11月から4月までが暖かく湿った夏であり、夏の平均気温は24.7 ℃である。6月から9月が比較的涼しい乾燥した冬であり、冬の平均気温は20.4 ℃である。海洋性の気候であり、季節間の平均気温の差はわずか4.3 ℃に過ぎない。最も暖かい月は1月と2月であり、日最高気温の平均は29.2 ℃に達する。一方、最も寒い月は7月と8月で、夜間の最低気温の平均が16.4 ℃まで下がる。年間降水量は海岸沿いの900 mmら中央高原の1500 mmの範囲である。顕著な雨季は見られないものの、降雨のほとんどは夏の数ヶ月に起こる。ラグーンの海水温は22 ℃から27 ℃の間である。中央高原は、周囲の沿岸域よりもずっと涼しく、また雨量は沿岸域の2倍に達する場所もある。マスカリン高気圧由来の南東貿易風が卓越し、島の東側は他の地域と比べると低温かつ雨がちな傾向がある。また、島の両側で気温や降水量が著しく違う場合もある。時折襲来するサイクロンは、一般的には1月から3月の間に発生し、この地域には約3日間だけ悪天をもたらす他、多くの雨をもたらす傾向がある[22]。
地方行政区画詳細は「モーリシャスの行政区画」を参照モーリシャスの県
モーリシャスは、9の県と3の属領に分かれる。その他、イギリスに対してチャゴス諸島の返還を要求している。
県
ブラックリバー県 (Black River)
フラック県 (Flacq)
グラン・ポール県 (Grand Port)
モカ県 (Moka)
パンプルムース県 (Pamplemousses)
プレーン・ウィルヘルム県 (Plaines Wilhems)
ポートルイス県 (Port Louis)
リヴィエール・デュ・ランパール県 (Riviere du Rempart)
サバンナ県 (Savanne)
属領
アガレガ諸島 (Agalega Islands) - 本島から北へ約1200 km。
カルガドス・カラホス諸島 (Cargados Carajos Shoals) - 別名、セイント・ブランドン島 (Saint Brandon) 本島から北東へ約400 km。
ロドリゲス島 (Rodrigues) - 本島から東へ約550 km。
主要都市詳細は「モーリシャスの都市の一覧」を参照
最大都市は首都のポートルイスである。インド洋に面した港町であるポートルイスから南にはボーバッサン・ローズヒル、カトル・ボルヌ、ヴァコア・フェニックス、キュールピップといった主要都市が連続し、一大都市圏を形成している[23]。この都市圏の最南部に位置するキュールピップはモーリシャス島のほぼ中央部に位置し、高原上に広がる都市である。
経済首都ポートルイス詳細は「モーリシャスの経済(英語版)」を参照
IMFの統計によると、モーリシャスの2018年のGDPは142億ドルである[2]。1人当たりのGDPは11,206ドルで、アフリカ諸国全体では第2位、世界平均のおよそ75.7%の水準である。
モーリシャスの主要産業は入植以来一貫してサトウキビのプランテーションであり、独立以後も1975年までは総輸出額の85%以上を占めるなど、サトウキビに依存するモノカルチャー経済だった[24]。
しかし、1968年の独立後、観光業および、1971年から始まったEPZ(輸出加工区)における繊維産業を中心とする輸出型工業の発展により、堅実な経済発展を遂げ、モノカルチャー経済から脱出した。
独立以前は慢性的な人口過剰に苦しんでいたが、繊維産業の急速な発展により、1980年代後半には完全雇用を達成し、1991年の失業率は2.7%にまで低下した[25]。しかし、その後は逆に労働力不足に直面している。
日本にとっては、遠洋マグロ漁業の中継・補給基地として重要であり、日本船がよく停泊している。2014年度の日本のモーリシャスからの輸入品のうち44.3%はマグロであり、また20%が衣類だった[26]。モーリシャスの日本からの輸入品は乗用車が半数以上を占め、2国間貿易はモーリシャスの大幅な赤字となっている[26]。
農業モーリシャスのサトウキビ農園
モーリシャスの農業は国内農地の89.9%がサトウキビ栽培に当てられている[27]。サトウキビ栽培は大規模プランテーションによる単一栽培が基本であるものの、一部に自作農や小作農も存在する[27]。製糖業は1970年まではモーリシャスのほぼ唯一の産業であった。こうした農業の砂糖生産特化は農業の高所得化を生み、余剰労働人口を工業に振り向ける基盤となった[28]。1971年に輸出加工区を設けて繊維産業を振興するなどして、サトウキビのモノカルチャー経済から脱していった。他産業が拡大したことによって相対的に輸出額に占める地位が落ちた2000年においても、輸出総額の14.7%を占める基幹産業の1つとなっていた。ただ、その後、砂糖の輸出に占める割合はさらに低下し、2014年には9.8%と1割を切った[26]。
この他、中央の高原地帯においてはチャノキのプランテーションも存在する。逆に穀物はほぼ生産されておらず、ほぼ全量を輸入に頼っている。 モーリシャス周辺の海域は好漁場であることから漁業も盛んであり、2014年にはカツオ・マグロの輸出が輸出総額の約10%を占めた[26]。 1971年の輸出加工区の創設以降、特に安価な労働力を利用した繊維産業が急速な発展を遂げ、1993年には繊維産業のみでGDPの9.9%を占めるまでに成長し[29]、同年の輸出総額に占める線維工業の割合は70%を越え[30]、製糖業をしのぐ一大産業となった。しかし、モーリシャスは繊維産業だけではなく、他の工業の育成も進めていった。このために繊維産業の輸出に占める割合は2014年には34.9%にまで低下したものの、同年の機械類の輸出が13.5%に達した。なお、2009年における輸出総額に占める工業製品の割合は64.2%であった[31]。ただ、燃料は輸入に頼っており、2008年現在、電力も水力発電は32%に過ぎず、残りの68%は火力発電に頼っている[32]。 2006年の時点で、鉱物燃料の輸入は総輸入の17%を占めている。輸入鉱物で主体となっている鉄と鋼は2%、セメントは1%である。また、地元企業に輸入ダイヤモンド加工を手掛けている所が多いことが報告されている。 同年3月、同国政府は輸入への依存と石油価格の上昇に対する懸念から、インドのONGCと海洋掘削
漁業
工業
鉱業詳細は「モーリシャスの鉱業(英語版