モンストレス
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モンストレス

出版情報
出版社イメージ・コミックス
形態オンゴーイング・シリーズ
ジャンルハイファンタジー
掲載期間2015年11月-
主要キャラマイカ・ハーフウルフ
キッパ
製作者
ライターマージョリー・リュウ
アーティストタケダサナ

『モンストレス』(Monstress)はハイファンタジーアメリカン・コミックシリーズ[1]。中国系アメリカ人の原作者マージョリー・リュウと日本人の作画者タケダサナによる[1]。2015年にイメージ・コミックスから発刊され、2017年には日本語版単行本の刊行が開始された。ヒューゴー賞の3年連続受賞、アイズナー賞の5部門同時受賞をはじめとして国際的な賞を数多く受けている。

タイトルは「モンスター」の女性形である[2]。20世紀初頭のアジアをモデルにした家母長制の世界を舞台に[3]、恐るべき怪物と精神や肉体を共有してしまった少女が[4][5]、「暴力と軋轢、搾取に溢れた残酷で絶望的な世界」を生き抜く姿が描かれている[2]
あらすじ
基本設定

ノウン・ワールドと呼ばれる世界には人間のほかに4つの知的種族が存在する[6]。エンシェントは半人半獣の姿を持つ不死の種族で、強大な魔力を持つ。エンシェントが愛玩の対象である人間との間に作った混血がアーカニックである[7]。エンシェントから魔力や獣の外貌を部分的に受け継いだアーカニックは、独自の種族として人間と版図を分け合うまでに繁栄した[6]。ネコは現実世界のに似た古い種族で詩人(語り部)の文化を発達させている[6]。古き神々はこれらの種族とは異なり巨大な怪物で、遥か昔に別の世界に放逐されたと伝えられる[6]

エンシェントとアーカニックの魔力は時代とともに衰え、科学技術を武器とする人間に対して劣勢に立たされている。人間の軍事力の源泉はアーカニックの死骸から抽出される魔力源リリウムであり、その技術を独占する魔女教団クマエアはアーカニックを劣等な種族と見なして搾取している。本編の数年前まで人間の連邦とアーカニック国家の間で全面戦争が続いており、数々の惨劇があった。終戦後も両種族の間の緊張は解けていない。
vol. 1: Awakening

アーカニック種族のマイカ・ハーフウルフは、かつて種族間戦争の間に児童奴隷として人間に使役されていたが、戦後は同じ境遇のツヤと平穏に暮らしていた。しかし17歳になったころ、無差別に生命を貪る衝動に苦しみ、自らの謎を解くため一人旅立つ。

人間の連邦において軍事・政治の中枢を占めるクマエア教団はアーカニック奴隷を虐殺してリリウムを採取していた。マイカは危険を冒してクマエアの施設に潜入し、亡き母モリコが伝説的な巫女帝を調査していた事実を知る。さらに巫女帝の遺物である仮面の欠片を奪い、児童奴隷キッパ、ネコ種族のレンを仲間にして逃亡する。仮面の影響によりマイカの体内に宿っていた「古き神」ジンが覚醒し、二人は心身を共有し始める。マイカはジンの強大な力を借りる一方、その飢えを癒すために関わり合う人々を餌食にしてゆくことを強いられる。

仮面の発動は諸勢力の均衡を破る結果も生んだ。アーカニック二大勢力の一つ、ダスク・コートの策謀家バロネスはコルヴィン卿ら配下を使ってマイカを手中に収める。しかしクマエアの長であるデストリアがそこを襲う。デストリアの精神はジンと同種の怪物と入れ替わっており、封印された同族を解放するために仮面の欠片を求めていた。ジンはそれに抗う種族の裏切り者だった。マイカは古き神の力を爆発させてその場を逃れる。心の支えとするツヤがバロネスと同一人物であることは知る由もない。
vol. 2: The Blood

マイカらはモリコの足跡を追って「骨の島」に向かう。そこに囚われていたエンシェント種族のロハーは、侵略者である古き神々と戦って異界に追放した一人だった。時代が下ってエンシェントの魔力が衰え始めたころ、最初のアーカニックである巫女帝は古き神の一体を召喚し、仮面の力で従わせたのだという。巫女帝が死ぬと、怪物はその血筋に宿って代々受け継がれてきた。モリコが骨の島を訪れたのは、巫女帝の末裔の居場所を聞き出して子を作るためだった。モリコの娘が古き神の力を備えて戻ったことを奇貨とするロハーだったが、マイカは残忍なエンシェントを現世に解き放つことを拒み、戦って殺す。

自身が産まれた理由を計りかねるマイカは母と過ごした記憶を確かめる。ジンもまた追想に耽る。初めてこの世界に降り立ったジンは純粋な殺戮者であり、兄弟姉妹をも殺した。罪に沈むジンを救ったのは巫女帝だった。

遠く離れたドーン・コートにおいて、「西の剣」と呼ばれる将軍は、双子の姉モリコの娘が仮面の力を得たことを知って野心を燃やす。しかしその母でエンシェントの狼の女王は、ダスク・コートの大使であるバロネスことツヤと協調して仮面を封印するよう命じる。西の剣とツヤは両コートの同盟の証として婚姻を結ぶ。
vol. 3: Haven

クマエア教団の上層部では人間に擬態した数体の古き神々が陰謀を巡らせている。そのうち尋問官ガルを名乗る一体は仮面の欠片の回収に向かう。

そのころマイカらは都市国家タイリアの軍勢に追われ、不可侵特権を持つポントゥス市に避難していた。マイカはそこでコルヴィンの訪問を受ける。彼はダスク・コートの指令に従わず、種族全体の利益のために行動していた。ポントゥスの中立を支えている魔法的なシールドは巫女帝の遺物であり、修復するためにマイカが必要なのだという。マイカは部品を回収するため研究所の遺跡に向かい、そこでジンと巫女帝の記憶を垣間見る。しかしシールド復旧は間に合わず、タイリア軍の侵攻が始まってしまう。

奮戦するマイカの元に二つ目の欠片を携えたガルが乱入してくる。二つの欠片が合わさったとき、天空が裂け、封じられていた神の1体が現れる。これはガルにとっても意想外だった。仮面の力に乗じて単独で脱出を試みた神をガルは「冒涜者」と罵り、マイカに助力を求める。マイカはジンとともに欠片の力を発動させ、冒涜者を幽閉地に押し返す。古き神の現界はわずかな時間だったが、地上の戦闘などとは比較できないほどの被害を残していった。
vol. 4: The Chosen

古き神が引き起こした騒乱の中でキッパがさらわれ、後を追ったマイカは待ち構えていた「博士」の手に落ちる。ジンのかつての宿主である博士は、巫女帝の復活を旗印とする秘密結社ブラッド・コートを組織し、エンシェント種族を頂点とするアーカニックの政治体制を打倒しようとしていた。血を分けた娘マイカを家族として遇する一方、強烈なエゴで他者を踏みにじる父親を受け入れられないマイカはその下を辞去する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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