モンゴル諸語のうち、どこまでを「モンゴル語」と呼ぶのか明確な定義はないが、一般的にはモンゴル国や中国の内モンゴル自治区でも話されているものがモンゴル語とされる[1]。 ブリヤート語やオイラト語(カルムイク語)などとともにモンゴル語族に属する。 モンゴル諸語は、テュルク語族、ツングース語族などとともに次のような特徴を持つ。 これらの共通点から、共通の祖語に遡るというアルタイ語族仮説がかつて唱えられたこともあった。しかしこうした共通点が親縁関係の存在によるものか、隣接することによる相互影響(言語連合)によるものかは不明であり、また基礎語彙間の音韻対応規則が立てられないことなどから、アルタイ語族説は未だ証明には至っていない。アルタイ語族仮説支持者の中には、日本語やアイヌ語、朝鮮語もアルタイ語族に属すると主張する者もいる。 ハルハ方言の音韻について述べる。 音素としての短母音は /a, e, i, ?, o, ?, u/ の7つであり、それぞれに対応する長母音 /a?, e?, i?, ??, o?, ??, u?/ が存在する。短母音は第一音節、もしくはアクセントのある音節では [a, e, i, ?, o, ?, u] となるが、それ以外の場合には弱化し、元の音価と関係なく [?] となる。長母音は概ね [a?, e?, i?, ??, o?, ??, u?] で実現されると考えて良いが、гааль、хуваарь など、/Cj/の前では й を伴う二重母音と似た発音になる。Svantesson (2003), Svantesson et al. (2005), Janhunen (2012) によると/e/は/i/に合流したとされるが、植田 (2014) は完全に合流したとは言い難いとしている。 前舌中舌後舌 斎藤 (2004) によると、/a/、/?/、/o/は/Cj/の前で前舌化し、[a]、[??]、[o?]となる。二重母音のうち、主要母音が前にあるものには/ai, oi, ?i, ui/の5つがある。なお、эй は ээ と同じ発音をする長母音に同化した。斎藤 (2004) によると、これらの音声は概ね次のようになっている。 斎藤 (2004) による二重母音の音声/ai/[ae] 主要母音が後ろにあるものには/ja, je, j?, jo, j?, ju/の6つがある。三重母音には/jai, j?i/などがある。 両唇唇歯音歯茎歯茎硬口蓋硬口蓋軟口蓋両唇軟口蓋口蓋垂
系統
母音調和がある
固有語の語頭にrが立たない
いわゆる膠着語で接尾辞型の言語である
語順類型はSOVである
英語の「have」(有する)に相当する動詞が存在しない
方言
ハルハ方言(英語版
チャハル方言:主に中国の内モンゴル自治区で話される。内モンゴル自治区においては中国語と並ぶ公用語。
ホルチン方言(英語版):内モンゴル東北部で話されている方言。チャハル方言に比べ中国語の影響が強い。
オルド方言:チャハル方言と大体同じ、他の方言より少し基準的方言。
ジャロート方言:内モンゴル東北部で話されている方言。チャハル方言に比べ中国語の影響が強い。
オルドス方言
バリン方言(フランス語版、英語版)
en:Darkhad dialect
Khamnigan Mongol
音韻モンゴル語を話す女性
母音
短長短長短長
狭i[i?]u[u?]
半狭?[??]o[o?]
e[e?]?
半広?[??]
広a[a?]
/oi/[o?e]
/?i/[??e]
/ui/[u?i]
子音
破裂音張り子音/p/(借用語のみに存在)/t//k/(借用語のみに存在)
緩み子音/b//d//?//?/
摩擦音(無声)/f/(借用語のみに存在)/s//?//x/(/χ/)
破擦音張り子音/ts//t?/
緩み子音/dz//d?/
鼻音(有声)/m//n//?/
震え音(有声)/r/
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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