モロッコ
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一方で、鉱業の分野では、合金として幅広い用途を有するコバルト[30]、また亜鉛も産出するものの[30]、それよりも亜鉛などの工業的な精製の際に不純物を取り除くためなどに用いるストロンチウム[30]、さらに肥料などの原料として知られるリン鉱石の採掘が盛んである[30][注釈 6]。また、も比較的有力な鉱産資源である。これ以外にも、ニッケルの採掘も行われている[30]

モロッコの鉱物資源はアトラス山脈の断層地帯に集中しており、アトラス山脈の造山活動によって鉱脈が形成されたと考えられている。例えば、かつてはマラケシュの東で、マンガンの採掘も行われていた。また例えば、ウジタで亜鉛や鉛が採掘されている。

なお、リンはカサブランカの南東の内陸部で採れる。

農業などに利用できない砂漠では、再生可能エネルギーによる発電を拡大している。太陽光発電所や太陽熱発電所、風力発電所が相次ぎ建設されており、スペイン企業による風力発電機の生産も2017年に始まった。エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比率(20%強)を2030年に52%へ高めることを計画している[33]
農業「モロッコの農業(英語版)」を参照

アトラス山脈よりも北側の大西洋沿岸地域や地中海沿岸地域では、ある程度の降水量が見込めるため天水に頼った農業が可能である。農業従事者は429万人(2005年)である。国際連合食糧農業機関 (FAO) の統計(2005年)によると、世界第7位のオリーブ(50万トン、世界シェア3.5%)、第9位のサイザルアサ(2200トン)が目立つ。世界シェア1%を超える農作物は、テンサイ(456万トン、1.9%)、オレンジ(124万トン、1.5%)、トマト(120万トン、1.0%)、ナツメヤシ(6万9000トン、1.0%)がある。主要穀物の栽培量は乾燥に強いコムギ(304万トン)、次いでジャガイモ(144万トン)、オオムギ(110万トン)である。

中南部ケアラ・ムグーナ(「バラの谷」)で栽培されているローズウォーター用のバラなど花卉農業も行われている[34]

畜産業はヒツジ(1703万頭)、ニワトリ(1億4000万羽)を主とする。
工業

モロッコは世界的に見て硫酸の製造の盛んな地域であり、2004年の製造量は、950万トンであった[30]

さらに、リン酸肥料(生産量世界第6位)、オリーブ油(同9位)が目立つが、ワインや肉類などの食品工業、加工貿易に用いる縫製業も盛んである。また、ルノーが2つの自動車工場を、ボンバルディアが航空機部品工場を運営している他、PSA・プジョーシトロエンボーイングなども現地生産計画を進めている[28]
貿易「モロッコの貿易(英語版)」を参照

モロッコの輸出額は238億ドル。品目は、 機械類 (15.9%) 、 衣類 (14.4%) 、化学肥料 (8.8%)、野菜・果実 (7.9%)、魚介類 (7.6%) である。(2011年)ここで言う電気機械とは、電気ケーブルを意味している。リン鉱石は価格が安いため、品目の割合としては5位である。主な相手国は、輸出は、スペイン、フランス 、ブラジル、イタリア、インド 。(2014年)

モロッコの輸入額は116億ドル。品目は、原油 (12.0%)、繊維 (11.9%)、電気機械 (11.7%)。主な相手国はスペイン、フランス、中国、アメリカ合衆国、イギリスである。(2014年)

参考までに、モロッコにとって主要な貿易相手国ではないものの、日本との貿易では、輸出がタコ(61.1%)、モンゴウイカ (7.3%)、衣類 (5.1%)の順で、リン鉱石も5位に入る。輸入は、乗用車 (32.4%)、トラック (28.6%)、タイヤ (5.6%)である。
観光業「モロッコの観光(英語版)」を参照

フェズカサブランカマラケシュといった都市部の旧市街地から、アイット=ベン=ハドゥなど集落レベルの各種居住エリアにある世界遺産、サハラ沙漠やトドゥラ峡谷といった自然が観光資源として利用されている[35]。また、古い邸宅を利用したリヤドと呼ばれる「モロッコ独特の宿泊施設」も知られている[36]

モロッコ政府としても観光立国を掲げ、人材や観光地の育成に注力している[37]。2015年の観光客数は在外モロッコ人の割合が増加傾向にあるが、約1018万人を数えた[37]
交通詳細は「モロッコの交通」を参照
国際関係詳細は「モロッコの国際関係(英語版)」を参照

西サハラを放棄したモーリタニアとは異なり、西サハラを併合したいモロッコと、それを承認しない国際社会の利害対立は有る。隣国で言えば、西サハラの支援をするアルジェリアとは対立してきた。

一方で、特に地理的に近いスペインやフランスとの関係は深く、貿易の上で重要な地位を占める。

またイスラム教以外を禁止してはいないものの、イスラム教を国教としており、イスラム教圏、特にアラブ諸国との関係も密接である。
アルジェリアとの関係詳細は「アルジェリアとモロッコの関係(英語版)」を参照

隣国のアルジェリアとは互いに反政府勢力を支援しているとして、長年緊張関係が続いてきた[18]。2021年8月にアルジェリア政府は国内で発生した山火事に、モロッコが関与していると発表した[18]。2021年8月24日にアルジェリアは、モロッコとの国交断絶を宣言した[18]
イスラエルとの関係詳細は「モロッコとイスラエルの関係(英語版)」を参照

モロッコはアラブ諸国の中でもユダヤ人に寛容な国の一つであるため、モロッコにはユダヤ人が多く暮らしていた歴史があり、現在も約2000人のユダヤ人がモロッコで生活している[38]。2020年12月10日にはアメリカの仲介により、モロッコはイスラエルと国交正常化した。これによりモロッコはアラブ諸国でイスラエルと国交正常化した6カ国目の国となった[39]。また、2023年7月17日にイスラエルはモロッコによる西サハラの主権を認めた[40]。「イスラエルとモロッコの国交正常化」も参照
日本との関係詳細は「日本とモロッコの関係」を参照

在留日本人数 - 350名(2018年10月,在留邦人統計)[41]

在日モロッコ人数 - 637名(2019年06月,在留外国人統計)[41]

国民詳細は「モロッコの人口統計(英語版)」を参照1961年から2003年までのモロッコの人口増加グラフ。モロッコの民族分布地図(1973)。

2004年にムハンマド6世の主導権によって新家族法が成立し、女性の婚姻可能年齢は18歳以上に引き上げられ、一夫多妻制についても厳しい基準が要求されるようになった。ただし、現在も一夫多妻制は条件を満たせば認められる。特に著名なモロッコのフェミニストとして、イスラーム教をフェミニズム的に読み替えることで男女平等の実現を達成することを主張するファーティマ・メルニーシーの名が挙げられる。新家族法制定で、女性は結婚時に夫に複数の妻(イスラム教徒の男は4人まで妻を持てる)を持たないよう求めることができ、女性から離婚を請求することができ、家庭における夫婦の責任が同等となり、女性は自分自身で結婚を決めることができるようになった[42]

1999年にマイクロクレジット法が成立し、政府やNGO団体の協力により受益者が増えている。
民族

歴史的に、条件の良い平野部の土地を中心にアラブ人が暮らし、アトラス山脈の住民の大半がベルベル人である。2/3がアラブ人、1/3がベルベル人あるいはその混血がほとんどと言われる事が多いが、実際は両者の混血が進んでいる。また過去に存在したベルベル人の独立問題などもあり(リーフ共和国)、モロッコ政府としては、あくまでも両者はモロッコ人であるという考え方の元で、敢えて民族ごとの統計を取るなどの作業は行われていない。

モロッコのアラブ人には、イベリア半島でのレコンキスタや17世紀のモリスコ追放によってアンダルシアから移住した者もおり、彼等の中には現在でもスペイン風の姓を持つ者もいる。


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