モロコシ
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   4 メキシコ   6,30010.09 %
   5 スーダン   4,7007.53 %
   6 エチオピア   2,6194.20 %
   7 オーストラリア   2,4003.85 %
   8 アルゼンチン   2,3003.69 %
   9 ブラジル   2,0003.20 %
   10 ブルキナファソ   1,8002.88 %
   11 中国   1,8002.88 %
   12 ニジェール   1,0001.60 %
   13 エジプト   9001.44 %
   14 タンザニア   9001.44 %
   15ヨーロッパ連合   5210.83 %
   その他   4,9327.90 %
   世界総生産量   62,410100.00 %

モロコシはモロコシ属の中で最も広く栽培される種であり[24]、小麦、稲、トウモロコシ、大麦についで世界で5番目に多く栽培される穀物となっている[3]。アフリカ、中国、インドなどの一部地域ではモロコシは重要な穀類として栽培されている[19]。生産量は1960年代に3,000万トン台だったが、1980年代には7,000万トン台にまで生産が拡大した。その後、2000年代には6,000万トン台にまで下がってきている[25]。多くの種が耐乾燥性、耐熱性を持っており、特にサヘルでは重要な作物となっている。ただ、全般としてはやはり乾燥地においてほかの穀物の栽培できないところで栽培されることが多いため、反収はイネ、コムギ、トウモロコシの三大穀物に比べて低い。モロコシの大生産国のうち、アメリカ合衆国やオーストラリアアルゼンチンでは飼料用生産がほとんどである。
アメリカハイブリッド・ソルガムの畑

アメリカ合衆国には、1853年フランスから持ち込まれ、アメリカ合衆国南部グレートプレーンズを中心に広まっていった。19世紀後半から20世紀前半にかけてはアフリカなど世界各地から優良品種がアメリカに持ち込まれ、また20世紀に入ってからはこれらの移入品種との掛け合わせや、優良品種の選抜によって近代的な育種が進められるようになった[26]

特にアメリカで栽培される飼料用モロコシにおいては、1957年一代雑種のハイブリッド品種が初めて開発され、7年後の1963年までにはほぼ全量が新品種に切り替わるなど品種改良が盛んに行われ、この7年間で収量が倍増している。この改良はトウモロコシの品種改良を参考として行われ、同時期の緑の革命の成果を多く取り入れて改良が進んだ。多収量化だけでなく、この時期には短稈化も行われ、アメリカの主要品種の高さは1.5メートルほどにまで短くなっており、コンバインなどによる収穫機械化に適応した形となっている。このため、これ以降もモロコシの反収は増大を続け、1950年の1ヘクタール当たり1,257キログラムから、1998年には1ヘクタール当たり4,245キログラムと、約3.5倍にまで伸びている[27]。アメリカは世界最大のモロコシ生産国であるが、利用はほぼ全量飼料または製糖用としてのものである。
アフリカエチオピアアムハラ州ヘイック湖付近のモロコシ畑

アフリカでは、サヘル地帯などの乾燥した地域において盛んに栽培されている。やや湿潤な地域においては、かつてはソルガムが栽培されていたものの、現在ではより湿潤に適したトウモロコシなどの栽培が盛んになっている。また、極度に降水の少ない地域ではより乾燥に強いトウジンビエが主な穀物となっている。一方で、モロコシはアフリカで最も古くから、最も大規模に栽培されてきた穀物であり、トウモロコシやコメが伝来してくるまではアフリカ大陸の主穀であったため、栽培種の分化も進んでおり、2,000メートル以上の雨の多い高地に適応した品種も存在する。

モロコシを主に主穀として栽培している国はモーリタニアマリブルキナファソナイジェリアニジェールチャドスーダンといったサハラ南縁のサヘル地帯の国々である。特にブルキナファソとスーダンにおいては一人当たり食糧生産量はソルガムが最も多く、最重要の穀物となっている[28]。またこれ以外の地域においても、乾燥地域を中心に熱帯雨林を除くブラックアフリカのほぼ全土で栽培されており、アフリカにおける最重要穀物の一つである。2000年のブラックアフリカの作物の収穫面積のうちソルガムは13.0%を占めるが、これはトウモロコシと同率1位であり、アフリカで最も広く栽培される作物となっている[29]。一方で土地生産性は非常に低く、1997年のソルガムの土地生産性は世界平均が1ヘクタール当たり1,414キログラムであるのに対し、アフリカ平均は788キログラムで、世界平均よりも79%も収量が少ない[30]。主穀用ソルガム自体が収量の改善はさほど進んでいないうえ、サブサハラ・アフリカにおけるソルガムの土地生産性は1961年以来ほぼ改善が見られず、50年以上ほぼ横ばいのままである[31]。これは肥料の投入が農地に行われないなど、緑の革命がソルガムに限らず、コメやコムギなど全穀物においてブラックアフリカ全域では進んでいないためである。主食用モロコシにおいてはコメやコムギと違って品種改良が進んでいないうえ、もともとそれらの栽培できない乾燥地の農地での栽培が主となっているため、ブラックアフリカ内ですらコメやコムギ、トウモロコシよりも反収が低く、ほぼ半分かそれ以下にとどまっている[31]

一方でモロコシの耕地面積はブラックアフリカにおいて1980年代以降急速に拡大し、1980年から2010年までの30年間でブラックアフリカのモロコシ栽培面積は76%も増大している[32]。これは、反収の貧弱さを耕地面積の拡大で補ったことを意味している。このため、ブラックアフリカのモロコシ生産は1961年の1,000万トン程度から、2000年代後半には2,500万トン程度まで拡大した[33]。しかしこの生産の増大は土地生産性の改善を伴わなかったため、ひとりあたりのソルガム生産量は低下を続け、1970年に比べ2010年のブラックアフリカからのモロコシ輸出は-1.4%となり、生産増大にもかかわらず輸出は減少してしまっている[34]。逆にブラックアフリカのモロコシ輸入は急増し、2010年にはモロコシの世界輸入量の14%がブラックアフリカ諸国の輸入で占められることとなり、しかもこの割合は増加の一途をたどっている[35]。こうして、ブラックアフリカのモロコシは社会で重要な地位を占めるのにもかかわらず生産はアフリカ諸国の人口の急速な増大に追いつくことができず、これらの地域の食糧不足を招き、経済成長のネックとなっている。

近代的な育種や品種改良が行なわれていない一方で、アフリカはソルガムの原産地であり栽培には長い伝統を持っており、また重要性も他地域に比べて非常に高いため、非常に多種に及ぶ伝統品種が存在し、維持され続けている[36]
その他諸国

また、インドにおいてもモロコシは古くから栽培されている重要な穀物である。インドは雑穀栽培が重要な地位を占める国であるが、そのなかでもモロコシの占める割合は大きい。インドでのモロコシはジョワールと呼ばれ、カリーフ期と呼ばれる雨季にもラビー期と呼ばれる乾季にも栽培される。ラビー期のモロコシの栽培地域は、ボンベイの東に広がるデカン高原地域が主であり、プネーからマハーラーシュトラ州内陸部、カルナータカ州北部、アーンドラ・プラデーシュ州南部にかけて広がっている[37]ラオスボーラウェン高原におけるソルガムの乾燥作業

また熱帯地域の多くでも重要な穀物の一つである。アフリカ、中央アメリカ南アジアなどで盛んに栽培される[38]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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