モルモン教
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ニューヨーク・タイムズによれば、ジョセフ・スミスはすべての妻と性的関係にあったわけではないとみられるが[26]、教会の教義による一夫多妻制は当時の倫理感から一般市民の強い反発を招いた。その後合衆国で一夫多妻が違法とされ、一夫多妻者の移民を禁止する法律ならびに一夫多妻制を指導する宗教の財産を没収するという、モルモン教を対象とした法律(エドモンド・タッカー令など)が成立した。教会は信教の自由を根拠に裁判で争ったが、敗訴した。しかし1848年当時のアメリカ合衆国は連邦制がまだ成立していなかったため、アメリカ全域に適用できる連邦法がなく、メキシコ領だった西部・西海岸地域がアメリカに委譲され連邦法が施行されるまでユタ地域を含むアメリカ西部・西海岸一帯に一夫多妻を禁止する法的根拠がなかった。1889年にウィルフォード・ウッドラフ(英語版)が大管長に就任すると、ウッドラフは新たな啓示を受けたとして翌1890年に一夫多妻制の停止を宣言した[LDS 22][LDS 23]。この宣言は一夫多妻制を支持する一部信徒の離反を招き、モルモン原理派が分派する原因となった。主流派である末日聖徒イエス・キリスト教会は宣言後一夫多妻制を実施していない。一夫多妻者は破門される。以上の経緯から現在一夫多妻制を実施している集団は、モルモン主流派である末日聖徒イエス・キリスト教会とは団体的な関わりはないとされる。「一夫多妻制#モルモン教における一夫多妻制」も参照
同性婚について

末日聖徒イエス・キリスト教会は教義上の理由から結婚制度は男女間のみと定めており、同性婚を認めていない。20世紀までは同性愛を罪悪視していたが、現在は同性愛自体は否定しない立場をとり、同性愛者でも入信を歓迎している。モルモン教徒が人口の6割を占めるユタ州では結婚防護法で同性婚を禁じていたが、連邦地裁が2013年12月にこの結婚防護法を違憲と判断した。ただしユタ州政府が控訴したため、現在も同性婚を禁じる州法は有効である。モルモン教会は現在の州法を支持しているが、教会に対する批判も高まっており、一部の信者は、同性愛者の権利擁護を訴えるパレードの会場にフリーハグのブースを設けるなどの融和策をさぐる動きもある[27]
有色人種について

末日聖徒イエス・キリスト教会はネイティブアメリカンポリネシア人をモルモン書に登場するエルサレムから逃れた民族の末裔だと教えている。ポリネシア人はモルモン書のアルマ書63章5節[LDS 24]に登場する「ハゴス」と呼ばれ、アメリカ大陸から西へ船で旅立った者たちの子孫だと考えられている[注 3]。また黒人については、カイン[LDS 25]の末裔であると考えていた時期があった。

教会が設立されて間もない頃は、構成する会員はヨーロッパを由来とする白人が多く、コロニアリズムや白人至上主義の思想が未だ根強く残っており、教会の中にもその影響はあった。中でも、ジョセフ・スミスが1842年に著した『アブラハム書』の中で、旧約聖書の記述を論拠として、黒人には神権が与えられないと明言したことが後々まで大きな影響を与えた[28]

しかし、教会の会員は北部諸州出身の者が多く、もともと奴隷制度には反対であり、奴隷を認めていたミズーリ州では政治的摩擦の要因となった[LDS 26]。またエイブラハム・リンカーンの奴隷解放運動に賛同して、南北戦争には北軍として参加している。黒人への待遇は、1978年の「公式の宣言」によって、公式の見解として、人種にかかわらず神権が付与されるようになった[LDS 27]

ネイティブアメリカンをエルサレムから逃れた民族の末裔と考えてきた教会は、当時の一般的なアメリカの風潮と異なり、積極的に彼らと良好な関係を結ぶことで、改宗させようと試みてきた歴史がある[LDS 28]。また人道的理由から、米国の法律に基づいて里親制度を創設し、ネイティブアメリカンの親から虐待を受けた児童を保護して、養子縁組を積極的に行い、自らの実子と同じ環境の教育を施してきた[LDS 29]

しかし、この里親制度について、オジブワ族を代表する人権活動家の一人デニス・バンクス(英語版)は、この手法は民族浄化であると批判している。

デニス・バンクスが写真家リチャード・アーダースの著書「オジブワの戦士」で語った内容には、下記のような一節がある。「末日聖徒イエス・キリスト教会はインディアンを「神を持たない野蛮人」と呼び、その民族浄化に積極的に関わっている。彼らはBIA(内務省インディアン管理局)や「アメリカ児童福祉連盟(英語版)」の後押しを受けて、インディアンの家庭から児童を奪い「モルモン教徒は神を畏れる良い両親だ」として、信者の家に強制的に養子縁組を行っている。インディアンの家庭から強制的に白人の家庭に養子縁組された児童は、インディアンとしての文化は全く教えられず、ただ単に白人の子供として育てられる。やがて物心がつくころになるとその子供は「インディアンでも白人でもない」という自己の崩壊に直面し、そのほとんどがアルコール依存症になるか、あるいは自殺してしまうのである。このため、多くのインディアン部族が末日聖徒イエス・キリスト教会を「子供泥棒」 (Child Stealers) と呼んでおり、アメリカインディアン運動 (AIM) は教会に対して損害賠償訴訟を起こしている[29]。」

また、末日聖徒イエス・キリスト教会は、地元のネイティブアメリカン部族と提携し、あとからやってくる白人の幌馬車隊を襲撃してユタへの侵入を妨害したとされている[30]
組織
中央

大管長 - 生ける預言者であり直接神と会って話もできる地上で唯一の人間とされている。十二使徒定員会
(英語版)の先任者(先任使徒)が聖任される。
詳細は「末日聖徒イエス・キリスト教会の大管長一覧(英語版) 」を参照

大管長会顧問(2名) - 大管長を補佐。大管長の就任時に、十二使徒定員会会員より指名される。

十二使徒定員会 - 預言者。終身制。教会の基本的な方針は、大管長会、十二使徒定員会の計15名により決定される。

七十人第一定員会 - 定年制70歳。大管長会、十二使徒定員会の方針を遂行。

七十人第二定員会 - 任期制。

管理ビショップリック

伝道部 - 教区(ステーク)とは別に、伝道の地域として伝道部が設けられている。3年任期専任の伝道部会長、地域の教会員から任命される伝道部会長会顧問をトップとして、宣教師(主に男性の場合2年、女性の場合1年半の任期)の管理、監督を行う。

地域

地域会長会 - 中央幹部七十人、または地域幹部七十人により構成。

ステーク(地方部)- ステーク会長(地方部長)および2名の顧問(副地方部長)により構成された地元の指導者により管理運営される。

ワード(支部)- ビショップ(支部会長)および2名の顧問(副支部長)により構成された地元の指導者により管理運営される。
日本東京神殿


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