モルディブ
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当初は仏教徒が多かったが、中東に興ったイスラム教がインド洋沿岸各地にも布教され、1153年にイスラム教へ改宗し、以降スルターンにより統治されるようになった[3]。イスラム世界の大旅行家イブン・バットゥータが1343年から翌年にかけて滞在し、政府高官として10ヶ月間勤務した。

大航海時代に入ると、アフリカ大陸南端を回ってヨーロッパ(欧州)諸国がインド洋に勢力を拡大。1558年から1573年にかけてポルトガルマーレを占拠。1645年から1796年オランダ保護国となった。

欧州列強のうち、イギリスはインド洋沿岸各地に植民地を拡大(大英帝国)。モルディブも1887年に保護国として、イギリス領セイロンを通じて統治下した[3]

1932年、最初の憲法が起草され、スルターン位が世襲制から選挙制に移行した。

第二次世界大戦では、モルディブ南端のアッドゥ環礁イギリス海軍の基地として使われた。

戦後、大英帝国は植民地は相次ぎ独立した。モルディブでは1953年に君主制が廃止され、共和制に移行。アミン・ディディが初代大統領に就任したが、一年も経たずに政権崩壊。王政復古により、ムハンマド・ファリド・ディディが第94代スルターンに選ばれた。

1959年には、アッドゥ環礁など南部にてアドゥアン人民共和国(後にスバディバ連合共和国に改称)が独立を宣言し、1963年まで存続した。

1965年[3]7月26日、スルターンを元首とするモルディブ・スルターン国として独立。1968年[3]11月11日には、国民投票で世襲君主制を廃止して、共和制に移行した。

1978年11月11日、ナシル初代大統領に代わりマウムーン・アブドゥル・ガユームが第2代大統領に就任[3]

1982年7月9日、イギリス連邦に加盟した。2016年10月13日に離脱し[4]2020年2月1日に再加盟した[5]

1988年11月3日、国内実業家の雇ったタミル・イーラム人民解放機構 (PLOTE) の傭兵部隊によるクーデターが勃発(1988年モルディブクーデター)。当時モルディブはを保有していなかったため、同日夜に輸送機によりインド軍が投入されて傭兵部隊は鎮圧された。

2004年、長期政権となっていたガユーム大統領と野党勢力の対立が続き、政治犯釈放を求めるデモが拡大し、非常事態宣言が出される。以後、政治の民主化改革が行われる。

同年12月26日、スマトラ島沖地震による津波の襲来を受け82名が死亡するなどの被害を受けた。

2007年9月29日、首都マーレで爆弾テロと見られる爆発があり、日本人2人を含む外国人観光客12人が負傷した。

2008年1月8日、北部のホアラフシ島で大統領暗殺未遂事件があり、15歳のボーイスカウトの少年が犯人を制止し、少年は腕を負傷した。

同年10月29日、民主化後初の大統領選挙が行われ、モハメド・ナシードが当選(11月11日就任)。ナシード大統領は2012年2月7日に辞任し、モハメド・ワヒード・ハサン副大統領が、大統領に昇格した。

2013年、大統領選挙により親中派[6]アブドゥラ・ヤミーン大統領が当選、ナシード前大統領は僅差で落選[7]。ナシード前大統領は2015年2月に反テロ法違反の容疑で逮捕、懲役13年の判決を受ける[7]

ヤミーンは、中華人民共和国(中国)の資金でインフラ整備を進め、政治では独裁色を強めた[6]

2015年7月、首都マレにて独立50周年記念式典が行なわれた[8]

同年9月28日、アブドゥラ・ヤミーン大統領暗殺未遂事件が発生した[9]

2018年9月23日、野党統一候補のイブラヒム・モハメド・ソリ(ソーリフ)が大統領選挙に勝利[4]。ソリは親インド派[6]で、同年12月17日にはインドを訪問して、14億ドルの融資枠と通貨スワップの提供をとりつけ、前政権の中国依存路線から修正を図った[10]。その後もインドから橋や道路の建設費、2019新型コロナウイルスへの対策費などの支援を受けている[11]

2023年9月30日の大統領選挙では、モハメド・ムイズが当選し[12]、ソリを破った。ムイズはヤミーン政権の住宅・インフラ担当閣僚やマレ市長を務め、汚職などの疑いで禁錮刑判決を受けて大統領選挙に出馬できなかったヤミーンの「代役」とする見方もある[6]。選挙戦では、インドが海洋監視や捜索救難のため航空機を貸与していることに伴う70人程度のインド軍駐留解消を掲げ、11月17日の大統領就任式典では「主権と独立を保つため、いかなる外国の部隊の駐留も許さない」と語り、翌日には式典に出席したインド政府のリジュジュ地球科学相にインド軍撤収を正式に要請した[6]
国際関係詳細は「モルディブの国際関係(英語版)」を参照

イギリス連邦に加盟している一方で、非同盟中立政策を掲げ、各国との友好に努めている[3]

だがインド洋の中央部という地政学的に重要な位置にあるため、北隣の大国であるインドのほか、インド洋進出を図る中国(「真珠の首飾り戦略」「一帯一路」参照)、西側諸国に重視されている。上記の「歴史」節と、「政治」「軍事」節で後述するように安全保障や国内政局、経済も諸外国、特に中印の影響を強く受ける[6]

近海の監視や救急搬送を担う航空機やヘリコプターを運用するため、国内に約70人のインド軍兵士が駐留しているとされる。2023年11月に就任した親中国派のムイズ大統領は、就任演説で「主権と独立を保つため、いかなる外国の部隊も駐留させない」と訴え、撤退を要請した[13]
ロシアへの半導体供給

2022年ロシアのウクライナ侵攻開始後、モルディブが対ロシア経済制裁の回避ルートとして使われており、ロシアにおける米国製半導体の輸入額はモルディブからが約75億円と香港を含む中国やトルコに次いで大きく、取引件数は2番目に多かったとの報道がなされた[14][15]


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