モビルスーツ
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『機動戦士ガンダム』をはじめとする「宇宙世紀」を舞台とする作品において、モビルスーツの「スーツ (SUIT)」は "Space Utility Instruments Tactical(戦術汎用宇宙機器) の略とされる[8][9][注 2]。なお、モビルスーツという名称に対して、人間が着用する宇宙服全般(パイロットスーツ含む)は「ノーマルスーツ」と呼称する[12]

宇宙世紀0065年、サイド3スペース・コロニー国家であるジオン公国において、レーダーや誘導兵器を使用不能にするミノフスキー粒子の特殊効果が発見される[13]。公国軍は0071年に同粒子の散布下における新型兵器の開発に着手[14]、国防省は各兵器メーカーに対して開発を命じている[15][注 3]。いくつかのシステムが提示されるが、要求性能を満たすのはジオニック社のZI-XA3と、MIP社のMIP-X1のみであった[15]。「人型」であるZI-XA3は、テストを視察したギレン・ザビの冷笑を買ったともいわれるが、総合性能においてMIP-X1を凌ぎ、国防省はZI-XA3の採用を決定する[15]。0073年に[14]「モビルスーツ」の呼称とMS-01の型式番号を与えられ、表向きは新型の宇宙用作業機とされるが、引き続き実戦タイプの開発が命じられる[15]。開発の要点として、単機での一定の作戦行動時間の維持、移動に関わる動力供給と配置バランス、四肢の稼働をより円滑におこなうための補機設計に絞られる[16]

0074年2月、ジオニック社は実戦型MSであるザク (I) の試作型をロールアウト[14]。翌0075年の制式採用試験においてツィマット社のヅダを下している(OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO』より)。ザクIの実用試験を観覧したギレンは、「これこそ今のジオンに必要な兵器だ」と叫び、心の中で開戦を決意したといわれる[18]。0078年1月には改良型であるザクIIの量産が開始され[14]、翌0079年1月からのジオン独立戦争(一年戦争)の緒戦において当時の主力兵器であった宇宙戦艦を圧倒し、目覚ましい戦果を挙げる。

一方、コロニーを含む地球圏を統治する地球連邦軍においても、一年戦争以前から公国軍の新兵器の漠然とした情報をもとに、その対抗兵器の開発などを目的とした「RX計画」が進められるが[19]、首脳陣に軽視され遅々として進んでいない[18]。一年戦争緒戦での公国軍MSの威力を目の当たりにした首脳陣は、研究途上のMSの開発および実戦投入を早々に決定[19]。0079年4月に発動した[14]V作戦」の一環として本格化し[20]ガンタンクガンキャノンを開発、そして7月にはガンダムの試作1号機がロールアウト[14]。公国軍と比べて非常に短期間で高性能な実用機を完成し得た背景には、以前からのMSに必要な技術の蓄積や、それを支える経済力に優れていたこと、また戦争に反対する何人かの公国軍MS技術者の亡命・協力が挙げられている[21]。その後、ガンダムの簡易型であるジムが大量生産され、一年戦争における連邦軍の勝利に貢献する。
初期のモビルスーツ
黎明期の機体
XC
バンダイの
アンソロジーコミックサイバーコミックス01.』(1988年)および『ガンダムジェネレーション1』(1990年)掲載の年表および漫画「STAMPEDE ミノフスキー博士物語」に登場(型式番号:X-91)。宇宙世紀0050年にアメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発したとされる人型機動兵器で、AMBACシステムのテストベッドとされ、航空機を人型にしたような外観である。頭部はザクIIに似ており、AMBAC制御により推進剤をほとんど消費しないためステルス性が高いとされ、のちにジオン軍に接収されたといわれる。なお、機体名称のXCは「ザク」と読み、ザクの名はここから取られているという。
MS-00
『サイバーコミックス』01.および『ガンダムジェネレーション1』掲載の年表に登場。MS-01のテストベッドとされ、NASAから接収したXCのメカニズムを大幅に流用しているという。
大型二足歩行機
バンダイ発行の書籍『
MS ERA 0001?0080 ガンダム戦場写真集』(1990年)に登場する「コケるMS」のこと。オートバランサーの不良によって転倒する姿が捉えられている。名称は漫画『Developers 機動戦士ガンダム Before One Year War』巻末付録の年表により、宇宙世紀0070年5月のことであるとされる。
ZI-XA2
エンターブレイン発行の雑誌『G20 volume.2』に登場。ジオニック社の、のちにZI-XA3となる機体とされるが、腕部が未完成のため、代わりにバランサーウェイトを装備している。全高および頭頂高13.5メートル、重量15.5トンとされる[22]
AMBACシステム採用の機動兵器
メディアワークス発行の書籍『機動戦士ガンダム MS大全集2003』に掲載[23]。ジオニック社が試作していた機体で、人型ではないがAMBAC制御用の腕状の可動肢2基を有し、スラスターを用いずに180度回頭することが可能。また、機首(頭部)にはモノアイに近い構造が見られる。なお、本機はムック『ガンダムセンチュリー』でAMBACの姿勢制御概念図上に描かれた機体と類似する。
クラブマン

諸元クラブマン
型式番号ZI-XA3 / MS-01
全高13.5m
[22]
頭頂高13.5m[22]
重量17t[15]
出力2,200馬力[15]

『ガンダムセンチュリー』の文字設定が初出で、名称は旭屋出版発行の書籍『機動戦士ガンダム 劇場用アニメ第1作 フィルムコミック』による[24]。外観は「初期のMS」としてそれらしいイラストがいくつか発表されているが、いずれも前出の大型二足歩行機をイメージソースとしている。明確にZI-XA3/MS-01とされたものとしては、ムック『G20 volume.2』でモデラーの東海村原八がZI-XA2アーリー・ザクとともにデザイン・立体化したものがあり[22]。分冊百科『週刊ガンダム・ファクトファイル』でもこれをもとにしたイラストが掲載された(イラスト:木下ともたけ)[17]

ジオニック社が建築作業用補機として製造する外骨格人型重機をベースに全高10数メートルの人型装甲作業機のプランを提出、承認と同時に試作機の開発を開始する[16]


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