モノレール
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

これは都市での高架鉄道の試行のひとつであり、ルート28の上に敷設された[30]

一般に跨座式モノレールの場合、軌道桁の上面で車両重量を支えるが、マイグス式では軌道桁の下部で支えている。そのため軌道桁から床面までの距離を詰められるという特徴があった。この考え方は、のちの「逆T字方式」と呼ばれる方式のモノレールにも共通するものである。
ラルティーグ式ラルティーグ式

A字型の支柱の上と支柱の下の左右に合計3条のレールが設けられており、上のレールで車輌重量を支え下のレールで車体を安定させるという方式。アルジェリアなどでパーマー式懸垂式モノレールの建設に携わっていたシャルル・ラルティーグ (Charles Lartigue) が開発したもので、これは跨座式モノレールとしてはポピュラーな様式であり、アメリカ合衆国建国百年博覧会で披露されたリロイ・ストーン式モノレールなどの先例がある。

1888年3月1日にリストウェル・パリブニオン鉄道(アイルランドケリー県)の14.4kmの路線が開通した。動力は蒸気で、3軸式の機関車が用意された。この路線は1924年にアイルランド内戦によって破壊されたことから廃線となった。2002年に短い区間ではあるが観光目的で復元され、レプリカの車両で運転されている[31]。機関車は蒸気機関車風の外装になっているが、ディーゼル機関車である。

他に営業に使われた路線としてはフランスのフュール=パニシエル鉄道がある。開通は1893年で、延長は16.9キロだった。この路線は1902年に廃止された。蒸気機関車が1両、保存されている。

最後のラルティーグ式モノレールは、1924年にアメリカ合衆国カリフォルニア州のマグネシウム鉱山・クリスタルヒルとトローナの鉄道駅との間を結んだものだったと考えられている。こちらでは内燃機関を積んだ機関車が使われた。これは20世紀後半になって開発された産業用モノレールに酷似していた。

ラルティーグ式の欠点は踏切が作れないことで、踏切を設けざるを得ない場所では必要に応じて線路を取り外すという方法が採用されていた。分岐器は最後まで開発されず、やや湾曲したレールを持つターンテーブルによって代替されていた。
ボイントン式ボイントン式

アメリカのイーベン・ムーディー・ボイントン (Eben Moody Boynton) により考案された方式で、上下に1本ずつ計2本のレールを設置し、下部のレールに車重がかかり、上部のレールで車体を支持する方式である。跨座式にも懸垂式にも分類できない。レールを2本有し厳密にはモノレールではないが、一般的に黎明期のモノレールの一種と理解されている。

1890年にコニーアイランド付近の廃止された線路を流用した路線でボイントン自転車鉄道 (Boynton Bicycle Railway) がこの方式のデモンストレーションを行った[32]

1910年から1914年にかけて、ニューヨーク市ブロンクスのペラム公園 & シティアイランド鉄道 (Pelham Park and City Island Railroad) で採用されたが、脱線事故を起したことから短命に終わった。右写真はこの時期の電車。

後にイギリスのエルフリック・カーニー (Elflic Kearney) が改良型を考案し、ロンドンの地下鉄用に提案した。
ジャイロスコープ式ブレナン式詳細は「ジャイロモノレール」を参照

オーストリアのルイス・ブレナン (Louis Brennan)、ドイツのアウグスト・シェールル (August Scherl)、ロシアのピョートル・シロフスキー (Piotr Schilovski) によってそれぞれ1900年頃考案された。1本の通常のレールの上を無支持で走行する。レールを1本に減らせば摩擦力が半減し、その分速度を倍増でき、高速走行時の蛇行動もなくなるという理論の元で考案された方式である。大型のジャイロスコープが車体に搭載され、車体の傾きに応じてジャイロスコープの軸が傾き、ジャイロ効果による復元力でバランスを取る仕組みになっている。シロフスキー式は1921年にソ連のレニングラードからツァールスコエ・セローまでの建設が、ブレナン式はインドの北西部での建設がそれぞれ検討されたが、資金難により実現しなかった。

ジャイロその他の装置に多くの費用が掛かることが欠点である。鉄道車両の走行抵抗は転がり抵抗空気抵抗からなり、後者は速度の2乗に比例する(すなわち速度が2倍になると空気抵抗は4倍になる)。そのため、レールを1本に減らしたところで速度を倍増するほどの効果はない。反動トルクを打ち消すために複数のジャイロを使用する場合、ジャイロごとの大きさや回転数が異なればそれによってモーメントが発生し、姿勢制御にも影響する。逆にジャイロの回転数を積極的に加減することで曲線通過時に車体を内傾させるなど、能動的に姿勢を変える方法もある。
ラウル式

ランゲン式と同じような発想の非対称型懸垂式構造のモノレールだが、推進装置を台車に組み込まずプロペラで推進するというもの。フランスで1919年頃試験線が建設されたが、詳細な記録は残されていない。

1930年にジョージ・ベニー (George Bennie) が改良型の試験線をグラスゴー近郊のミルンギャヴィー (Milngavie) に建設した。こちらの方はレールプレーン (Railplane) と呼ばれ、最高時速120マイルを目指して計画された。レールプレーンは、安定性を確保するために下部にもう1本振れ止めのレールを追加しており、厳密にはモノレールではない(下部レールは車体重量は負担しない)。当時、日本にも「軌道飛行機」として紹介された。第二次世界大戦の金属供出のため、試験線は1941年に撤去された(1950年代という説もある)[33]

のちに、フランスでプロペラ(のちジェットエンジン)を推進装置として使用したアエロトランが開発され実験された。こちらは懸垂式ではなく、走路の上に車体が乗る案内軌条式鉄道に類似していた。アエロトランも実用化はされなかった。
スカイウェイスカイウェイ

ランゲン式と類似した発想の非対称型懸垂式構造のモノレールだが、ゴムタイヤを使っている。1956年にアメリカ合衆国のヒューストンに試験線が作られ[34]、8か月のテストののちに解体されダラスに移転[35][36]、しばらく使われた。

動力は310馬力の内燃機関を2台搭載しており、案内はレール上面に設けられた板状のガイドレールによって行われた[37]。運転士はレール下のキャビンではなくレール上の台車に搭乗して運転した[38]。想定での最高速度は160km/hであり、都市近郊(インターアーバン)や都市間の高速交通機関として使うことを想定して作られたが、実用化されることはなかった。
ロープモノレール

ロープモノレールは、軌条に金属レールではなくワイヤー状の鋼索を用いた日本の東京索道が開発したものである。形状からロープウェイとどちらに分類されるかは議論が残るが、動力を車両に持つという点でモノレールに分類される。

動力は電気ではなく、唯一の実例である五台山ロープモノレールはディーゼルエンジンであるように内燃機関を採用して車両となるゴンドラに装備し、鋼索軌道にかかるローラーを駆動することで走行する。このためゴンドラは、一般的な鋼索ロープウェイと異なり気動車に分類される。スカイレールとは逆で軌条はロープであるが動力は各車に搭載しているため、通常のロープウェイと異なり状況に応じて各ゴンドラの走行速度を調整することができる。安全な運行には信号設備が不可欠であるが、他種のモノレールより敷設コストが安く、電化も不要である。

1969年高知市五台山に観光用として五台山ロープモノレールが敷設されたが、当時の定期観光バスのルートから外れていたため集客に苦慮し、1978年に廃止となった。

東京索道は五台山ロープモノレールの開発と建設に約50件の特許を取得したと言われるが、以降、この種の鉄道・軌道線は海外も含め建設されていない。
年表日本のモノレールについては「日本のモノレール#歴史」を参照

1820年頃、ロシアのモスクワ近郊の村Mychkovoでロシア人技術者イワン・エリマノフ(Иван Кириллович Эльманов; Ivan Kirillovich Elmanov)が馬に引かせるタイプのモノレールを発案したとする記録がある。ただし、それが実用化されたのか、どのような構造のものかなどは、不明[39]

1821年11月22日にイギリスのヘンリー・ロビンソン・パーマーがパーマー式モノレールの特許を申請。これは懸垂式のもので、動力は馬である。1824年に貨物用として実用化、1825年に旅客用が開通した。

1829年にマクセル・ディックが軌道レールの下にレールを付加して転落を防止するように改良し、特許を申請。

1868年にバラクロウフ・フェルが跨座式と懸垂式をミックスしたような方式のモノレールを考案、バロー・イン・ファーネス近郊で、鉄道駅との間で利用開始。動力は馬であった。

1868年、フランスでラルマンジャ式モノレール(案内軌条式鉄道)が15か月にわたって試用された。この方式は1870年頃にリスボンにも導入された。

1869年にJ・L・ハッドンが、シリアでモノレールを建設。これは、通常の鉄道だと砂漠の砂で線路が埋まってしまうためである。

1872年リヨンリヨン国際博覧会で会場内で利用される。

1876年、アメリカ合衆国フィラデルフィアで開催されたアメリカ合衆国建国百年博覧会にリロイ・ストーン式モノレールが登場しデモンストレーションが行われた。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:104 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef