モノレール
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初期のものである程度知られている実例は1886年アメリカ合衆国ニュージャージー州に実験線が作られた「エノス電気鉄道」[5][6][7]や、ドイツにて1901年に開通したヴッパータール空中鉄道に採用されたランゲン式モノレールなどである。これらはレールの真下に車体を配置することで、左右のバランスという問題を回避した。この「レールの真下に車体を配置する」という方法は懸垂式モノレールの定石となった。

もう一方で「振れ止めとして下方に別のレールを設け、1点支持から3点支持にする」方式が考案された。初期のものに、1876年にアメリカ合衆国フィラデルフィアで開催された「アメリカ合衆国建国百年博覧会」で発表されたリロイ・ストーン式モノレールや、1882年に開発されたラルティーグ式モノレール[8]がある。3点支持化によって左右のバランスは厳密さを要求せず、車体を上方に伸ばすことができるようになった。このレールにまたがり3点で車体を支持するという様式は、マイグス式モノレール逆T字方式モノレールを除く跨座式モノレールの基本形となった。1880年に開業したヴェズヴィアナ鋼索線(ケーブルカー)の軌道は開業当初モノレール方式であった。(のちに通常の方式に変更。)

他に、一本のレールをガイドウェイとして使う方式のものもあり、それらも「モノレール」と呼ばれている。ユーイング式モノレールラルマンジャ式モノレールである。前者についてはその後類例が出ていないが、後者はゴムタイヤ式トラムのTVRと似ているということもできる。

他に、レールは2本以上あるが一般の二条式鉄道とは明らかに異なることから、漫然とモノレールに分類されているものも数多くあり、古典的な方式の節に記す。

モノレールの基本的なコンセプトは、20世紀初頭におおむね出尽くしている。20世紀中盤になってからはアルヴェーグ式スカイウェイ上野式などを契機としてゴムタイヤが導入されたことが一番大きな変化であると言える。その後は規格の統一化や細かい改善が続けられたりしながら現在に至っている。なお、一世紀以上にわたって忘れられていたコンセプトを採用した「逆T字方式」を採用した新しいタイプの跨座式モノレールが20世紀末以降に登場している。
方式

方式として、懸垂式 (Suspended System) と跨座式 (Straddle-beam System) の、大きく二つに分類できる。ただし、過去に懸垂式にも跨座式にも分類できないものも存在した。今後も、たとえばレールから横に車両を突き出して支持する方法(カンチレバー式・片持ち式)など、この分類では区分できないものが登場してくる可能性はある。

電車線で使用される電力は、設置される電車線のスペースや輸送力の関係から直流の1500Vが標準となっている。
懸垂式懸垂式モノレール3種の模式図。左から「ランゲン式」「サフェージュ式」「Iビーム式」。

懸垂式(けんすいしき)とは、車両を吊るように上にレールがある(レールに車両がぶら下がっている)形態のモノレールである。歴史的に跨座式より古く、商業的に成功したのも懸垂式の方が先である。吊り下げ式、ぶら下がり式とも呼ばれる。

懸垂式は、車輪と軌道が車体の上にあり車体が屋根の上を支点に振り子のように揺れる[9][10]ため、横風に対して左右の揺れが大きくなるが、車両の重心が軌条面からかなり下に位置しており、最も安定した方式である。そのため、カーブでは遠心力による重心の移動にあわせて自動的に車体が傾く自然振り子式となり、速度制限が厳しくないという利点もある。積雪にも強い。

日本国内に現存する懸垂式モノレールは、東京都交通局日本車輌製造による上野式(上野動物園)・三菱重工業フランスから導入したサフェージュ式(湘南モノレール千葉都市モノレール)・神戸製鋼所と三菱重工業によるスカイレール、の3方式がある。
ランゲン式試運転中の1900年に描かれたヴッパータール空中鉄道の雑誌挿絵詳細は「ヴッパータール空中鉄道」を参照


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