モズク
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沖縄の漁業者は、オキナワモズクを「モズク」または「本モズク」、「太モズク」とよび、標準和名でモズクとしている種は「糸モズク」、「細モズク」とよばれている(オキナワモズクにくらべて細いため)[15][18]
特徴

大型で複相(染色体を2セットもつ)の胞子体と小さな単相(染色体を1セットもつ)の配偶体の間で異型世代交代を行う[13][8]

胞子体は大型であり、小さな盤状付着器から伸びている細長い円柱状の体は粘質に富み柔らかく、不規則に多数分枝し、直径約1ミリメートル、長さはふつう20?30センチメートルだがまれに1メートルに達する[13][8][19](右上図1)。色は淡褐色から褐色、古くなると黒くなる[19]。藻体の中軸には1列の中軸細胞糸があり、髄細胞で取り囲まれ、さらに外側には同化糸からなる皮層がある[13][19](右上図2)。中軸細胞糸は古い藻体では崩壊し、藻体は中空になる[19]。髄細胞は直径50?100マイクロメートル、長さ 100?1000マイクロメートル、偽柔組織を形成する[19]。同化糸は無分枝またはわずかに分枝、やや湾曲、9?21細胞からなり、長さ120?200マイクロメートル、褐藻毛の長さは最大で400マイクロメートル[13][19]

胞子体の発生初期には同化糸から分枝した単列の中性複子嚢が形成され(右上図5)、2本鞭毛性の遊走子を放出する[8][19]。遊走子は着生し、再び胞子体へと発生する無性生殖を行う[13][8]。また胞子体の発生後期に同化糸基部に形成される単子嚢は楕円形から卵形、長さ約80マイクロメートル、幅40?50マイクロメートル(右上図4)、遊走子を放出する[8][19]。この遊走子は、着生して微小な匍匐糸状体である配偶体になる[13][8]。配偶体は単列細胞列からなる複子嚢を形成し、配偶子を放出、これが接合して接合子となり、配偶体に似た匍匐糸状体を経て、大型の胞子体を形成する[13][8]。未接合の配偶子は、再び配偶体になる無性生殖を行う[13][8]
分布・生態

モーリシャス中東南アジア東アジアベトナムオーストラリアハワイから報告されている[1]。日本では本州(太平洋側では千葉県以南、日本海側では秋田県以南)、四国、九州、沖縄に分布する[13][8][19]

日本ではふつう大型の褐藻であるホンダワラ類のヤツマタモク(ときにマメタワラ、エンドウモク)の体表上に特異的に着生している[13][19]。ただし人工的にはさまざまな基質上で発生させることが可能であり、また南西諸島では死サンゴ上や他海藻上などに着生している[13][8][19]

大型の胞子体は春から初夏に見られる[13]
人間との関わり
食用新潟県産のモズク

モズクの産地では古くから、採取したものを生のままで、または塩蔵して利用していた[13]。最も一般的には「もずく酢」(三杯酢二杯酢土佐酢など)とされるが、他にも吸い物味噌汁塩辛雑煮天ぷらなどにも用いられる[13]。またオキナワモズクなど他のモズク類と同様、低カロリー(右表)で食物繊維であるアルギン酸やさまざまな生理活性作用(抗血栓作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、免疫調整作用など)を示すフコイダンを豊富に含むことから、注目されている[13][20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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