メートル
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NIST所長は、公式にこの変更を表明し、これはアメリカ合衆国におけるSIの「法解釈」の結果であるとした[29][30]。ただし2017年版のNIST Handbook 44によれば、metre表記も許容されており、これは全米計量会議(英語版)によって支持されている[31]

フィリピンでも、その計量法の規定においては「metre」の表記である[32]。しかし、その他の法律や標準規格などでは「meter」としばしば表記されているのが実態である[33]
米国における表記の経緯

米国が1971年に、 International System of Units(国際単位系)のフランス語版(仏版が正式文書)を翻訳し、NBS Special Publication 330(現在のNIST SP330[8])として出版したときには、メートルは公式に、metreと綴り、リットルはlitreと綴られていた。これは、英国がグラムの綴りとして、-grammeではなく-gram を受け入れたこととの取引(「紳士協定」)と理解されていた。

しかしその後、米国内では、meter, literを主張する様々な運動が展開され、1975年には 商務省 (Department of Commerce) が政府機関に -er の綴りとするようにアドバイスし、1977年のNIST SP330の改定時に、ついにmeter、liter、そしてdeca →deka の綴りが採用されるに至った[34]
派生語の英語発音

-metre ( -meter) で終わる語のアクセントは、その直前にあるのが普通である。例えば speedometer(速度計)のアクセントは、speedo- の第2シラブルに強アクセントがある。しかし、kilometre, millimetre, nanometre などの倍量単位・分量単位の英語発音では、その接頭語 (kilo[35], milli, nano) の最初のシラブルに強アクセントがある。

なお、オーストラリア政府のメートル法転換局 (Metric Conversion Board) が1975年に、kilometreのアクセントは第1シラブルにあると公式に宣言したにもかかわらず、当時の首相のゴフ・ホイットラムが、第2シラブルにアクセントがあるべきと主張したことがある[注 4]
漢字表記1925年ラジオ番組表。『朝日年鑑 大正14年 ? 大正15年』より。メートルの当て字「米突」が見られる。

漢字では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現:気象庁)が「米」をとする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。一部は中国でも取り入れられている。

マイクロメートル (µm) - .mw-parser-output .jisx0212font{font-family:"Hiragino Sans Pr6N","Toppan Bunkyu Gothic","Yu Gothic","ヒラギノ角ゴ Pr6N W3","A-OTF 新ゴ Pr6N R","源真ゴシック Regular","源ノ角ゴシック JP Normal","Source Han Sans JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","Noto Sans CJK JP DemiLight","小塚ゴシック Pr6N R","KozMinPr6N-Regular","メイリオ","Meiryo","Meiryo UI","游ゴシック","游ゴシック体","VL Pゴシック","MS Pゴシック","MS PGothic","小塚ゴシック Pr6N M","小塚ゴシック Pr6N","KozGoPr6N-Medium","A-OTF 新ゴ Pr6N","Arial Unicode MS",Code2000}?(一微[36])(元の国訓は「ミクロン」)

ミリメートル (mm) - 粍(一毛[36]

センチメートル (cm) - 糎(一厘[36]

デシメートル (dm) - 粉(元々「こな」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの(国訓)である。)(一分[36]

デカメートル (dam) - 籵

ヘクトメートル (hm) - 粨

キロメートル (km) - 粁

ミリアメートル (104 m) - ?(?米萬)

以上の様々な漢字表記は戦後まもなくまで使われたが、いずれも当用漢字[37]から外されたうえ、1951年昭和26年)に施行された計量法上その使用は禁止されている[38]

中国では、伝統的な単位のと関連付けて、中華人民共和国成立以前はメートルを「公尺」とも呼んだが、現在大陸では「米」と呼ぶのが普通となっており、台湾に「公尺」の呼び方が残っている。
歴史
起こり

長さの少数単位の提案は、記録された中では1668年イングランド哲学者ジョン・ウィルキンス(英語版)が著作『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』提唱した普遍的測定単位 (universal measure) に見られる[39][40]。同年ウィルキンスは、クリストファー・レンが提案したクリスティアーン・ホイヘンスが観察した2の間隔を刻む時の振り子の長さを標準長とする案を受け入れた。その長さは38ラインランド・インチおよび39.25イギリス・インチ (997mm) に相当した[39][40]
名称

1675年イタリア科学者ティト・リビオ・ブラッティーニ(英語版)が著作『Misura Universale』の中で、古代ギリシャ語の「μ?τρον καθολικ?ν(メトロン・カトリコン)」から普遍的測定単位を「metro cattolico」と書き表している。

フランス革命の直後の1790年5月に市民オーギュスト・サヴィニアン・ルブロンが長さの基本単位に対して、「メートル」という新たな名称を初めて提案した。彼はメートルという命名は「ひじょうにうまい表現であり、もともとフランス語だったと言ってもいいほどだ」と言っている[41]。これがフランスで正式に採用され(「metre」)次いで英語の「metre」となった。なお、現代ギリシャ語では μ?τρο(メトロ)という。
子午線長による定義ダンケルク鐘楼。ドランブルが行った測定の北限。バルセロナムンジュイックの丘にある要塞。メシャンが行った測定の南限。

人類がそれぞれの生活圏の中で過ごしている時代にはさして必要が無かったが、大航海時代を経て地球規模の航海交流網が発達すると、長さの単位がまちまちな状態では不都合が多くなった[13]。これに最も熱心に取り組んだのは、既に地球測量の実績を持つ[注 5]フランスだった[13]。「子午線弧#フランス科学アカデミー遠征隊のペルーとラップランドへの派遣」、「フランス科学アカデミーによる測地遠征」、および「トルネ谷#フランスによる一大測地測量事業」も参照

1790年にフランスシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールが普遍的な物理量基準の必要性を提唱し[42]、これを国民議会が承認して基準づくりへの取組が始まった[43]。当時、長さの標準単位を決める定義には、以下に示す3つの支持を集めた案があった。
北緯45度の緯度にて[44]ウィルキンスの流れを汲んだ.mw-parser-output .frac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .frac .num,.mw-parser-output .frac .den{font-size:80%;line-height:0;vertical-align:super}.mw-parser-output .frac .den{vertical-align:sub}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1⁄2秒の周波数を持つ振り子の長さ(3ピエ8リーニュ1⁄2[45]

地球赤道周長を4千万分の1にした長さ[43]

同じく地球の子午線全周長を4千万分の1にした長さ[43]

この問題はパリ科学学士院で検討され、アントワーヌ・ラヴォアジエジョゼフ=ルイ・ラグランジュジャン=シャルル・ド・ボルダらが議論に加わった[43]


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