メートル条約
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ただし、2011年の総会では、CIPMの助言によるSIの新しい進展を支持し、SI基本単位の再定義の議論を行うために次の総会を3年後の2014年に行うことを決議した[11]。総会はCIPMへの新しい指名に対しても責任を持ち、BIPMの開発と財政に関する大きな問題についても決定する。
国際度量衡委員会BIPMの印章

国際度量衡委員会(CIPM: Comite international des poids et mesures)は、18人(当初は14人)[12]の著名な計測学者からなる。メンバーはCGPMにより指名され、CGPMに運営上・技術的な問題について助言を行う。CIPMは10の諮問委員会(CC)の運営も行う。あるCCは温度の計量について、別のCCは質量の計量についてなど、諮問委員会はそれぞれ計測学の各分野を担当する。CIPMは年に1度セーブルで会議を開き、各CCからの年次報告について議論し、BIPMの管理と財源に関して年次報告を加盟国の政府に提出し、CGPMに技術的な問題についての助言を行う。CIPMのメンバーは全員が異なる国の出身である。ただし、フランスは条約を準備した功績により常に代表を1人おいている[13][14]
国際度量衡局

国際度量衡局(BIPM: Bureau international des poids et mesures)は、フランスのセーブルに本部を置き、国際キログラム原器を保管し、標準に関する国際的研究課題を行い、CGPMとCIPMの事務局業務を行う。また、1960年より使われなくなった国際メートル原器も保管している。数年に1度、各国のキログラム原器は、国際キログラム原器との比較のためBIPM本部に戻される。

2012年現在、BIPMには70人以上のスタッフと1,000万ユーロ以上の予算がある[15]。BIPMの責任者は、職権上CIPMとすべての諮問委員会のメンバーである。
本部・言語・プロトコールパビヨン・ド・ブルトゥイユ

条約の原文はフランス語で書かれており、すべての公式文書の公用語はフランス語である。BIPMと加盟国の間のコミュニケーションは、フランスの場合はフランス外務相を通して、それ以外の国の場合はそれぞれの国の駐仏大使を通して行われる[16]

フランス政府はBIPMのために、セーブルのパビヨン・ド・ブルトゥイユを提供した。この建物は1675年にサン=クルー城(英語版)に建てられ、ナポレオン3世が住んでいたこともある。サン=クルー城は普仏戦争で全壊した。パビヨン・ド・ブルトゥイユも大きく損傷を受けた[17]が、完全に修復された。建物内は大使館と同様、治外法権である[18]
1875年以降

計測学は、1875年以降に非常に発達したため、メートル条約は1921年に改正された。これは、学問の垣根を越えて測定標準の調和化を確実にするために、ほかの多くの国際組織がCIPMを交えた討論の場を設けた結果である。さらに、当初は貿易のための標準として考えられたメートル条約が、医療・科学・工学・技術を含む人間の活動の多くの面をカバーするように拡張された。
1921年の条約の拡張と国際単位系詳細は「国際単位系」を参照

メートル条約は、当初、長さと重さの標準を提供する目的で立案された。ほかの量に関する標準は、別の組織の管理下にあった。時間の単位天文学者により維持され、電磁気の単位は一連の特別国際会議により定義された[19]。その他の物理の標準と概念は国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)や国際応用化学会議のような国際的な団体により維持または定義された。

1901年、ジョヴァンニ・ジョルジは、4つの基本単位に基づく一貫した単位系を作るための提案を発表した。4つの基本単位とは、メートルキログラムと1つの電気単位(アンペアボルトオームのいずれか)である。1921年、メートル条約は、あらゆる物理量に関する標準化を奨励することを許容するように拡張された。これにより、CIPMの任務の範囲が大きく増えることになり、また、ジョルジの提案を利用する自由を暗黙のうちに与えていた。

第8回CGPM(1933年)では、電気単位のための基準に合意するためにほかの国際組織とともに作業することを決定した[20]。1935年にブリュッセルで開かれた国際電気標準会議(IEC)の総会で、第4の基本単位の選択についてCIPMの適切な諮問委員会と合意をとることが決議された[21]

第二次世界大戦を挟んで、前回の総会の15年後の1948年に第9回CGPMが開催された。国際純粋・応用物理学連合およびフランス政府からの実用的な計量単位系を確立せよという正式な要請に応じて、メートル条約のすべての加盟国で採択されるような、ただ1つの実用的な計量単位系の勧告を準備するよう、CGPMはCIPMに要求した[22]。同時に、CGPMは計量単位の記号と量の書き表し方と印刷方法についての勧告を正式に採択した[23]。勧告では、もっとも重要なMKS単位系およびCGS単位系の単位についての推奨される記号の一覧を掲載した。また、CGPMは初めて誘導単位に関する勧告を行った。

CIPMの原案は、1954年の第10回CGPMに提出された。それはMKS単位系に基づいてメートル法の単位の定義・記号・用語を広範囲に改訂し、簡略化したものであった。CIPMの勧告では、アンペアを基本単位とし、それ以外の電磁気の単位はそこから導出された。CISとIUPAPとの交渉により、ケルビン度とカンデラが基本単位として提案された[24]。この単位系およびその名前「国際単位系(Systeme International d'Unites)」は、第11回CGPMで採択された[25]。それから数年の間で、基本単位の定義と、それらの定義を実現するための現示の方法(mise en pratique)[26]は洗練されていった。

CGPMとCIPMを通過した合同決議による国際単位系(SI)の正式な定義は、BIPMにより定期的にインターネットとパンフレット(SI brochure)によって刊行されている。SI文書の第8版Le Systeme International d'Unites ? The International System of Unitsは2006年に刊行された[27]
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この節の加筆が望まれています。 (2016年4月)

国際原子時との協調

原子時計の出現により、地球の自転の変化が検出できる十分な精度で国際原子時を定めて計測することができるようになった。国際地球回転・基準系事業は恒星との相対位置により定期的に地球の自転の変化を観測し、必要なときに閏秒の挿入・削除を提案している。現在、世界中の50以上の国立研究所に200以上の原子時計がある。BIPMはメートル条約に基づく委任により、原子時計の調整を行っている[28]
新しいSI詳細は「SI基本単位の再定義 (2019年)」を参照SI基本単位(色つきの円)の提案された定義と7つの基礎物理定数(灰色の円)の関係。新しい定義では、基礎物理定数を定義値とすることで基本単位を定義する。

メートルの定義が国際メートル原器から光の特定の波長に変更された1960年以降、キログラムは特定の人工物に依存する唯一の単位となった。国際キログラム原器の質量が年間で20×10?9 kg程度変動していることが判明した[29]。第21回GCPM(1999年)で、キログラムと特定の人工物の関連を断つ方法を調査するよう、各国の研究所に要請された。確認されたキログラム原器の変動と別に、アボガドロ定数の精度の向上させる「アボガドロプロジェクト」とワット天秤の発達により、非常に高い精度で間接的に質量を測定する方法の見込みが立った。これらのプロジェクトは、キログラムを再定義する代替手段を可能にするツールを提供した[30]


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