メートル時間
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1794年3月28日、メートル法を制定する委員会の委員長であったジョゼフ=ルイ・ラグランジュは、委員会への報告書の中でdeci-jour(デシ日)とcenti-jour(センチ日)という単位を提唱した[2]。これは、1日の1/10、1/100を時間の単位とするものである。しかし、その提案は、面識と慣れの欠如から、受け入れられることはなかった。

1日の10万分の1(0.864秒)を「十進化秒 (decimal second)」とする提案もある。しかし、「秒」のいかなる再検討も、既存の単位との競合を引き起こす。例えば、ラグランジュが提唱した、1日の100分の1と定義される「センチ日」は、漢字文化圏で千年以上用いられてきたと同じである。

19世紀、フランスのJoseph de Rey-Pailhadeが、センチ日をceとし、1 ce = 10 decice = 100 centice = 1000 millice[3] = 10000 dimices[4][5]とする単位を提唱した。

1897年、フランス経度局(フランス語版)に数学者アンリ・ポアンカレを幹事とする「十進化時間委員会」(Commission de decimalisation du temps)が設置された。委員会は「時」を基本単位とすることを提案したが、受け入れられず、結局断念された[6]

スウォッチ・インターネットタイムは、1000分の1日を「ビート」とするものであるが、国際単位系のSI接頭語は用いられない。
他の意味「十進化時間」も参照

「メートル時間」という言葉は十進化時間と同義として用いられることがある。メートル時間は時間間隔の計測に用いるのに対し、十進化時間は時刻の表現に関するものである。

通常、時刻の表現には24時間制または12時間制が用いられる。この時刻の表現は、現在では日ではなくメートル法(SI)の秒を基本単位としている。提案されている十進化時間は日を基準としている。日はSI併用単位であり、そのような十進化時間は真の意味で「メートル法化」されたもの(メートル時間)とは言えない。

フランスでかつて用いられていた十進化時間はしばしば「メートル時間」と呼ばれる。これは、メートル法導入期と同時期に使われていたことと、どちらも十進法に基づいていることによる。実際、最初にメートル法の単位と接頭語を定めた1795年4月7日の法令では、接頭語を用いていない十進化された「時」「分」「秒」と呼ばれる時間の単位の使用を停止している。
コンピュータでの利用

コンピュータのシステム時刻では、メートル時間が広く使用されている。UNIX時間は、1970年1月1日午前0時0分0秒(世界協定時)からの経過秒数として表される。マイクロソフトのFILETIME構造体は、1601年1月1日からの100ナノ秒単位の経過時間を表す[7]VAX/VMS修正ユリウス日が0となる1858年11月17日からの100ナノ秒単位での経過時間、RISC OSは1900年1月1日からのセンチ秒(10ミリ秒)単位での経過時間を使用している。

これらのシステムのいずれも、閏秒では不連続となり、正確に線形ではない。
秒の分割

SI接頭語をつけた秒の倍量単位はあまり用いられないが、特に科学や技術の分野で、秒の分量単位はよく用いられている。ミリ秒、マイクロ秒、ナノ秒などであるが、センチ秒はあまり用いられない。
問題

SI接頭語だけを用いて時間を表現する場合に、大きな問題がある。国際単位系では倍量・分量それぞれにSI接頭語を定めている。最初の3つは10倍ごとであり、秒に適用すると以下のようになる。

倍数単位秒分
101デカ秒(das)100.166
102ヘクト秒(hs)1001.666
103キロ秒(ks)1 00016.666

しかし、それ以降の接頭語は1000倍ごとである。そのため、16.7分の次が11.6日、11.6日の次が31.7年と間隔が非常に開いてしまい、人間の活動の計測には非実用的である。

倍数単位秒分時間日年
106メガ秒(Ms)1 000 00016 666.666277.77711.5740.032
109ギガ秒(Gs)1 000 000 00016 666 666.666277 777.77711 574.07431.688

これを実用的なものにするには、10の4乗・5乗倍の接頭語を導入する必要がある。過去には、10の4乗倍を表す「ミリア」という接頭語があったが、1960年にSIが採択された時にミリアは採用されなかった。10の5乗倍を表す接頭語は過去にも存在しないが、105秒は約27.8時間と、1日の長さ(24時間)に近い値になっている。

倍数単位秒分時間日
104ミリア秒(mys)10 000166.62.7770.116
105-100 0001 666.627.771.157

脚注[脚注の使い方]^ セシウム133原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移に対応する電磁波(radiation)の9192631770周期に相当する時間
^ Proces-verbaux du Comite d'instruction publique de la Convention nationale by James Guillaume
^Histoire d'heure - Fractionnement du temps Archived 2015年5月22日, at the Wayback Machine.
^ AJB, Volume 9, 1907
^ Report of the Sixth International Geographical Congress: Held in London, 1895
^ Einstein's Clocks, Poincare's Maps: empires of time By Peter Louis Galison
^FILETIME構造体(MSDN)

関連項目

十進化時間

外部リンク

Metric unit of time (second) Official text of SI brochure from International Bureau of Weights and Measures

Metric Time? University of Illinois Physics Department










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