メラネシア人は方言の分化が著しく、同一言語を話す言語集団が小さい。メラネシア諸語はオーストロネシア語族に属し、マレー語系の影響も受けている。パプアニューギニアにおけるメラネシア諸語の話者は人口の約15%である。一方で19世紀半ばに奴隷商人たちの影響によってもたらされたピジン英語はメラネシアの共通語となり島嶼間のメラネシア人の連帯感を高めている[1][3]。 体系的な宗教は持っておらず、宗教と呪術の区分も明確でない。東部のメラネシア人社会では超自然力(マナ)を信仰しており、すべて形あるものに精霊が宿ると信じられていた。このため、品物を多く持つ白人たちの文化に触れ、その羨望から彼らが信仰していたキリスト教へ改宗している[4]。こうした動きはやがてカーゴ・カルトと呼ばれるメシア運動へ発展し、メラネシアの社会問題となった[1]。 神話伝承は存在しているがそのほとんどは聖書やカーゴ・カルトの影響を強く受けており、後年に創作されたものと考えられており、原始美術に体系付けられるような口承は現存していない。
社会
宗教
生活ベテル・チューイング
キンマの葉、ビンロウの実、石灰
社会組織としては、地理上の問題から中央集権化が困難なこともあり、小規模な単位での政治制度が採られていた[6]。文化圏や言語集団に関わらずビッグ・マン
と呼ばれるリーダーによって200人から300人の居住単位による集団をひとつの組織としていたのが一般的である[6]。ビッグ・マンの地位は世襲の場合やそうでない場合が地域によって混在しており一概には定義できない。血縁集団レベルで言えば、地縁内婚が一般化しており、ひとつの集団内のほとんどは親族ないし姻族である[6]。豚と小型の貝などの稀少品に価値観を見出しており、これらを用いた海上交易や作物の物々交換が発達していたが、近年は貨幣も用いられるようになり、定期的な市が開催されている。 メラネシアの美術は非常に多様化しており、世界的な民族美術
芸術パプアニューギニアの仮面舞踏の一つ、バイニン(英語版)ダンス
美術
また、仮面美術はオセアニアではメラネシア人のみが保持する特有の文化で、ニューギニア島パプア湾のヘベヘ、ヒュオン湾のタゴ、ニューアイルランド島のマランガン、ニューブリテン島のドゥクドゥク、バンクス諸島のタマテなどの仮面が知られている[1]。