メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
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数多くの大作ミュージカルを製作し、多くのアカデミー賞を受賞したスタジオでもある。スタジオやバックロット、技術的な設備を完備した制作会社であった。

最も繁栄したのは1926年から1959年までの間で、その間に2作の『ベン・ハー』が製作された。1959年には、ロウズ社の映画チェーンを売却し、会社の解体が始まった年でもある。長期契約は過去のものとなった。映画のコストは予測不可能になり、映画製作はよりギャンブル性の高いものになっていった。当初、年間20本以上の映画を制作して映画館を満員にすることを目的に作られたスタジオは、1960年代には生産量が減り、維持できなくなった。しかし、テレビ番組の制作や施設の多くをレンタルするなど、多様化が進んでいた。1960年代後半になると、同社の株価は資産価値が株式価値を大きく上回るまでに下落し、買収の対象となる可能性が出てきたため、同社は企業買収者を撃退した。会社は、映画製作の経験が少ない外部の人間の支配下に置かれた。1969年、カーク・カーコリアンがMGMの株式の40%を取得し、新しい経営陣を迎えた。経営陣は直ちに資産の売却を開始し、多くのスタッフを解雇した。作品数は年に平均5本にまで減った。カーコリアンは、会社のブランドを生かした他の事業に注力した。1973年にMGMの一部門として設立されたラスベガスのホテル・カジノ会社、MGMリゾーツ・インターナショナルは、1980年代に独立した会社となった。

その後37年間に渡り、スタジオは何度も売買された。カーコリアンは、全部で3回、会社を売買した。それぞれの売却は前回よりも規模が大きく、その資金は借金で賄われることが多かった。その借金が、さらなる売却や分割を招いた。カルバーシティのスタジオ群、バックロット、映画ライブラリー、子会社などを売却し、負債の返済と継続的なコストの削減に努めた。1980年には、作品数を増やし、映画ライブラリーを充実させるために、ユナイテッド・アーティスツを買収した。1986年、カーコリアンは会社をテッド・ターナーに売却し、そのほとんどを買い戻したが、1992年に再び売却した。1996年、カーコリアンは3度目の買収を行い、オライオン・ピクチャーズやサミュエル・ゴールドウィン社などのスタジオとその映画ライブラリーを購入した。2004年、カーコリアンはMGMをソニー・ピクチャーズを含む共同事業体に売却した。そして2010年、MGMは連邦破産法第11章の適用を申請した。MGMは同年末に債権者の所有下で破産から脱却し、その際にスパイグラス・エンターテインメントの幹部であるゲイリー・バーバーロジャー・バーンボームがMGMの持ち株会社の共同会長と共同CEOに就任した。バーバーはその後同社を去り、2020年には債権者を満足させるための売却の検討を開始した。

2021年5月26日、Amazonは84.5億ドルでMGMを買収する意向を発表[2]。規制当局による審査を経て、2022年3月17日に買収が完了した[3]。現在もMGMは長編映画やテレビシリーズの制作・配給を行っている。主な映画作品には、人気の高い「ロッキー」や「ジェームズ・ボンド」フランチャイズがある。
歴史
「MGMスタジオ」成立『ブロードウェイ・メロディ』

1924年、「メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション」(1915年創業)、サミュエル・ゴールドウィンの「ゴールドウィン・ピクチャーズ」 (1917年創業)、ルイス・B・メイヤーの「ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズ」(1918年創業)が合併し「MGMスタジオ」が成立。MGMの名前の由来は、その3社の頭文字を取ったもの。

親会社は当時最大の劇場チェーン「ロウズ」社だったために財力に恵まれ、製作も豪華主義で、設立当時から業界トップの地位を約束された。さらに同社を潤わせたのは「ボーイ・ワンダー(神童)」と謳われたアーヴィング・タルバーグの存在である。心臓疾患を持ちながら24時間編集室を出ないという働きぶりで、総帥ルイス・B・メイヤーと組んで初期作品を一手に手がけた。しかし37歳で1936年に早世した。

最初期のミュージカル映画『ブロードウェイ・メロディ』が大ヒットし、その後も多数の所属スターによる豪華なキャスティングや豪華なセットと衣装、そして音楽をつぎ込んだ「大作主義」でミュージカル映画全盛期の1950年代半ばまで隆盛を極めることとなる。
全盛期

その後メイヤーがスタジオに独裁体制を敷くことになる。1930年代には「芸術のための芸術」をモットーに、巨額の費用とスターシステムを駆使し、大作映画を次々と世に産み出した。

メイヤー体制下のMGMはジーン・ハーロウロバート・テイラーグレタ・ガルボノーマ・シアラージョーン・クロフォードクラーク・ゲーブルジミー・デュランテをはじめとする多数の大スターを擁し、「空の星の数よりも多いスターたちがいる」がキャッチフレーズだった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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