メタン
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4 H 2 + HCO 3 − + H + ⟶ CH 4 + 3 H 2 O {\displaystyle {\ce {4H2 + HCO3^- + H^+ -> CH4 + 3H2O}}} CH 3 COO − + H 2 O ⟶ CH 4 + HCO 3 − {\displaystyle {\ce {CH3COO^- + H2O -> CH4 + HCO3^-}}}
反応

メタンは、光などの刺激によって励起されたハロゲン元素と反応し、水素原子がハロゲン原子に置換される。この反応は激しい発熱反応である。例えば塩素との混合気体を常温中で直射日光に曝すだけで発火する。

また、メタンを完全燃焼させると、1 molの二酸化炭素と2 molの水になる。 CH 4 + 2 O 2 ⟶ CO 2 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {CH4 + 2O2 -> CO2 + 2H2O}}}

一方、メタンの不完全燃焼の場合、一酸化炭素が発生し、水も生成する。 2 CH 4 + 3 O 2 ⟶ 2 CO + 4 H 2 O {\displaystyle {\ce {2CH4 + 3O2 -> 2CO + 4H2O}}}
用途

大きな用途の1つは燃料用のガスとしてであり、都市ガスなどに使用されている。もう1つはC1化学プロセスに使用する原料としてである。また、メタンは高温の水蒸気との反応で一酸化炭素と水素の混合気(合成ガス)を生じ、この混合気そのもの、あるいは単離した一酸化炭素や水素を各種化学プロセスの原料として使用する。 CH 4 + H 2 O ⟶ CO + 3 H 2 {\displaystyle {\ce {CH4 + H2O -> CO + 3H2}}}

この他に、液化メタンを燃料として使う宇宙ロケットを、IHIなどが開発中である[4]。詳細は「LE-8」を参照
置換基メチル基メチレン基、メチリデン基メチン基、メチリジン基

メタンを置換基として見た場合は、メチル基(1価)、メチレン基(2価)、メチン基(3価)と呼ばれる。
メチル基 (methyl group)
メタンから水素が1個取れたアルキル基がメチル基 (CH3−) である。項目: メチル基を参照。
メチレン基 (methylene group)
メタンから水素が2個取れたアルケン基がメチレン基 (−CH2−) である。原子価の相手は同一原子でも(X=CH2 のような構造)、異なっていても(X−CH2−Y のような構造)良い。前者の場合には、メチリデン基 (methylidene group) とも呼ばれる。
メチン基 (methine group, methyne group)
メタンから水素が3個取れたアルキン基がメチン基 (−CH<) である。ただし原子価の相手が同一原子である HC≡X のような構造を持つ場合には、メチリジン基 (methylidyne group) とも呼ばれる。
C1化学

炭素数1の化合物には化学工業において原料として重要な化合物が多く存在する。これらの多くがメタンから直接誘導される。これらの工業的な合成法については「C1化学」参照。

以下に代表的なものを挙げる。

アルコール

メタノール CH3OH


アルデヒド

ホルムアルデヒド(酸化メチレン) HCHO


カルボン酸

蟻酸 HCOOH


ニトリル

シアン化水素 HCN


メタンのハロゲン化物

フルオロメタン(フロン)類

フルオロメタン(フッ化メチル) CH3F

ジフルオロメタン(フッ化メチレン) CH2F2

トリフルオロメタン(フルオロホルム) CHF3

テトラフルオロメタン(四フッ化炭素) CF4


クロロメタン類

クロロメタン(塩化メチル) CH3Cl

ジクロロメタン(塩化メチレン) CH2Cl2

トリクロロメタン(クロロホルム) CHCl3

テトラクロロメタン(四塩化炭素) CCl4


ブロモメタン類

ブロモメタン(臭化メチル) CH3Br

ジブロモメタン(臭化メチレン) CH2Br2

トリブロモメタン(ブロモホルム) CHBr3

テトラブロモメタン(四臭化炭素) CBr4


ヨードメタン類

ヨードメタン(ヨウ化メチル) CH3I

ジヨードメタン(ヨウ化メチレン) CH2I2

トリヨードメタン(ヨードホルム) CHI3

テトラヨードメタン(四ヨウ化炭素) CI4


トリハロメタン — 任意のハロゲン原子が三置換したメタン化合物の総称。前述のフルオロホルム、クロロホルム、ブロモホルム、ヨードホルムを含む。


天体

太陽系最大の惑星である木星は、その大量の大気に0.1%のメタンを含む。天王星海王星もその大気に2%程度のメタンを含み、これらの星が青く見えるのはメタンの吸収による効果によると考えられている。土星の衛星であるタイタンはその大気に2%程度のメタンを含むだけでなく、地表に液体メタンの雨が降り、液体メタンの海や川もあることが分かっている。また火星の大気もメタンを痕跡量含む。

このようにメタンは宇宙ではありふれた物質であり、生物の存在しない惑星にも存在する。土星の衛星タイタンでは太陽系で唯一、大気中で活発な有機物の高分子化が発生していることがカッシーニにより確認され、メタンが生物由来でないことが強く推測される。
資源1996年アメリカ地質調査所の調査によるハイドレートの分布図
(黄色の点がガスハイドレートを示す)

油田ガス田から採掘されエネルギー源として有用な、天然ガスの主成分がメタンである。20世紀末以降の代替エネルギーとしてバイオガスメタンハイドレート新エネルギーとして注目されている。
起源

産出するガスは起源によって同位体比と C1/(C2 + C3)(C1:メタン、C2:エタン、C3:プロパン)で求められる炭化水素比、含有する微量ガス比が異なり、組成を分析することで起源を知ることが可能である[5]。天然のメタンを構成する炭素 12C と 13C の同位体比は、98.9 : 1.1 とされ、起源有機物の同位体比、原油の熟成度、微生物分解の要因によって決定される[5][6]。また微量ガスは、ヘリウムの同位体比(3He/4He)、窒素(N)・アルゴン(Ar)比[7]など分析することで詳細に判別することが出来るとされている。
メタンハイドレート詳細は「メタンハイドレート」を参照

メタンは排他的経済水域大陸棚といった、海底や地上の永久凍土層内にメタンハイドレートという形で多量に存在する。メタンは火山ガスマグマからも生成されるため、メタンハイドレートは環太平洋火山帯に多く分布する。


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