メキシコ
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国民革命党はヨーロッパで躍進していた全体主義イデオロギーの影響を受けていたと言われ[7]1932年に議員や首長など公職の連続再任が禁止され、地方政党の解体が進められた。この制度改革以降、党の公認指名を得ることが公職に就く絶対条件となり、同時に公認指名の条件が極度に厳格化された。候補者指名は大統領の権力とともに、その後の制度的革命党の権力の源泉となった。公職ポストが制度的革命党によって独占されるとエリート階級は党上層部への服従を余儀なくされ、71年間続く事実上の一党独裁体制が完成した[7]

1934年に成立したラサロ・カルデナス政権は油田国有化事業や土地改革を行い、国内の経済構造は安定した。その後、与党の制度的革命党(PRI)が第二次世界大戦を挟み、一党独裁のもとに国家の開発を進めた。アメリカ合衆国や西側の資本により経済を拡大したが、その一方で外交面ではキューバなどのラテンアメリカ内の左翼政権との結びつきも強く、政策が矛盾した体制ながらも冷戦が終結した20世紀の終わりまで与党として政治を支配した。

1950年代ごろから一党支配の弊害が指摘されるようになり、1960年代には選挙競争性の向上を目的とした制度改革が試みられるようになった。1976年に就任したポルティーヨ大統領が起用したレジェス・エロレス(スペイン語版)は、拘束式小選挙区比例代表並立制の導入など多くの項目からなる「レフォルマ・ポリティカ」と呼ばれる政治改革を策定し、現在に続くメキシコ政治の基礎を築いた[7]

また、20世紀の前半から中盤にかけては石油の産出とその輸出が大きな富をもたらしたものの、それと同時に進んだ近代工業化の過程で莫大な対外負債を抱え、20世紀中盤に工業化には成功したものの、慢性的なインフレと富の一部富裕層への集中、さらには資源価格の暴落による経済危機など、現代に至るまで国民を苦しめる結果となった。
メキシコ麻薬戦争代大統領ビセンテ・フォックス・ケサーダ(左)と代大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(中央)

1980年代以降は麻薬カルテルの抗争により治安が悪化してしまう。カルロス・サリナス・デ・ゴルタリ大統領の実兄のラウル・サリナスが麻薬取引に関与して逮捕されたことを受け、アメリカに出国し事実上亡命するなど、政権中央部まで汚染され尽くした。

冷戦が終わりアメリカからの支援が止まり、さらに麻薬カルテルとの癒着が明らかになり与党のPRIの支持率は落ち、2000年に長年続いた長期独裁政権は終わりを告げた。

カルデロン政権は、麻薬カルテルと癒着した警察幹部や州知事すらも逮捕するという強硬姿勢で臨み、を導入して麻薬犯罪組織を取り締まっている。これに伴い、カルテルの暴力による死者が激増、2010年には毎年1万5,000人以上の死者を出す事態になっている(メキシコ麻薬戦争)。
中流層の増加

一方、原油価格の高騰やNAFTA締結後の輸出量の増加、さらに内需拡大傾向を受けて中流層が増加し、「ネクスト11」の一国に挙げられている。経済政策では原油価格高騰に伴いガソリン価格を連続して値上げして、国民から不満の声が上がっている。

2009年に入ってからはカナダやアメリカ合衆国とともに、新型インフルエンザH1N1)の発祥地とされている。2010年7月4日、全国32州のうち14州で地方選挙が実施された。2000年まで政権党だった野党の制度的革命党(PRI)が前進(知事選が実施された12州のうち10州でほぼ当選)した。
PRI政権詳細は「メキシコ総選挙 (2012年)(スペイン語版、英語版)」、「ジョ・ソイ・132(英語版、スペイン語版)」、および「エンリケ・ペーニャ・ニエト」を参照

2012年7月、大統領選挙が実施され、当日投開票された。保守系制度的革命党(PRI)のエンリケ・ペーニャ・ニエト(任期:2012年12月1日 - 2018年11月30日)が選出され、同年12月から大統領に就任した。

2013年MIKTAに加盟している。
政治詳細は「メキシコの政治(英語版)」を参照

政体は連邦共和制である。

2018年メキシコ総選挙では、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドールが大統領に当選した[8]
大統領

国家元首大統領である。大統領は国民の直接選挙によって選出され、任期は6年で再選は禁止されている。

大統領の権限は大きく、行政府の長も兼ねており、憲法では三権分立が規定されているものの、事実上司法府も統制下にあり、イギリスの新聞『エコノミスト』傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットからは「混合政治体制」と評されている(民主主義指数の項目も参照)。また、軍部も大統領下でのシビリアンコントロールが制度的に確立している。

大統領は、行政各省の大臣を指名する。ただし、司法相のみは上院の承認が必要である。各大臣は大統領直属の地位にあり、大統領に対し責任を負うのみで、議会や国民に対して責任は負わない。副大統領や首相などの次席の役職はなく、大統領が死亡などで欠ける場合は、議会が暫定大統領を選出する。2019年より大統領を国民投票によって解任できる制度が導入され、大統領への反対票が過半数かつ投票率が有権者の40%を超えた場合は解任できる[9][10]。「メキシコの大統領」も参照
立法

連邦議会両院制(二院制)。上院(元老院)は全128議席で、そのうち4分の3にあたる96議席が連邦区と州の代表(各3議席)、残りが全国区の代表である。それぞれ比例代表制で選出され、任期は6年。下院(代議院)は全500議席で、300議席は小選挙区制、200議席は比例代表制。任期は3年。両院とも連続再選は禁止されている。
行政詳細は「メキシコの行政機関」を参照

現在、連邦政府には15の省が設けられ、各種行政を担っている。
法律「メキシコの法律(英語版)」も参照

世界最多の憲法改正国で、建国以来2007年までに175回改正している。

2003年、隣国・アメリカにおいて著作権の保護期間を死後70年・公表後95年に延長した法律最高裁判所において合憲となったことを受けて、それまで「死後または公表後75年」であった規定を「100年」に延長した。この規定は、コートジボワールの99年を抜いて世界でもっとも長い保護期間である。
政党詳細は「メキシコの政党」を参照

主要政党には、中道右派国民行動党(PAN)、20世紀前半から長らく支配政党だった制度的革命党(PRI)、国民再生運動(Morena)の3つが挙げられる。ほかにも、左派民主革命党サパティスタ民族解放戦線や、労働党メキシコ緑の環境党などの小政党が存在する。
司法詳細は「メキシコの司法(英語版)」を参照

司法権は最高裁判所に属している。
国際関係詳細は「Category:メキシコの国際関係」および「メキシコの国際関係(英語版)」を参照
多元外交

19世紀において、隣国のアメリカ合衆国によってテキサス、カリフォルニアを奪われる戦争を行ったものの、その後は同盟関係を結んだアメリカの強い影響下にありながら、歴史と文化を生かした多元外交を行っている。その一例として、第二次世界大戦後の冷戦当時から、隣国のアメリカとの深い関係を保ちつつも、ソビエト連邦キューバなどの東側諸国との関係を維持してきた。特に隣国であるキューバとは、1959年キューバ革命以降近隣のラテンアメリカ・カリブ海諸国が国交断絶した中、汎米主義に基づいて国交を継続していた。


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