メカゴジラの逆襲
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ゴジラシリーズで、タイトルにゴジラ以外のキャラクターだけがフィーチャーされた唯一の作品である[出典 10][注釈 2]。公開当時のポスターなどでは、最新作メカゴジラ・シリーズ第2弾と銘打たれている[出典 11]。前作と併せてメカゴジラ関連の玩具やキャラクター商品も多数販売され、当時のメカゴジラの人気がうかがえる事例となっている。

当時、シリーズは作品が制作されるごとに子供向けのヒーロー路線をたどっていったが、特に本作品の「チタノザウルスに踏み潰されそうになる子供が、ゴジラに助けを求める」というシーンがそれを如実に表している[22]。その要因として、監督の本多猪四郎は子供ファンから「悪者にされてゴジラがかわいそうだ」や「ヒーローのゴジラを観たい」との多数の意見があったことを、本作品の劇場パンフレットで挙げている[44]

前述の通りメカゴジラ2自体は人気を集めたものの[注釈 3]、その人気は観客動員に結び付かず、ゴジラシリーズ観客動員数のワースト記録である97万人を記録したため、東宝は莫大な製作費を必要とするゴジラシリーズを一時休止させることを決定し、本作品を最後に1954年公開の第1作『ゴジラ』から足かけ21年間続いた「昭和ゴジラシリーズ」は制作を一旦終了する[出典 12][注釈 4]。また、リバイバルの改訂版を除いて『東宝チャンピオンまつり』の最終作となった[50][30]。その後、映画『ゴジラの復活』が企画されるが難航し[51][27]、紆余曲折を経て1984年に公開される『ゴジラ』まで、9年間の休止となった[出典 13]

アメリカでは、1978年にUPAの手で89分のテレビ映画として配給された[52]。英語の吹き替えは東宝によるもので、香港にて録音された[52]。桂の乳房(本物ではない。詳細は#サイボーグ少女・桂を参照。)が写るシーンがカットされた[52][53]ほか、過去作品の映像で構成されたダイジェストが追加された[出典 14]。その後[注釈 5]、ボブ・コーン・エンタープライズ (Bob Conn Enterprises) によって劇場公開されたが、子供向けにしようと考えた同社がPG指定を懸念し、拳銃が写るシーンもすべてカットされ、79分に編集されている[54][52]。劇場公開は巡業形式で行われ、各地の映画館で数日間のみ上映が行われた[53]。テレビ放映時のタイトルは『TERROR of MECHAGODZILLA』、劇場公開時は『TERROR of GODZILLA』[4][注釈 6]。1984年以降はテレビ放送の際にも劇場公開版が用いられ[52]、その後にリリースされたVHSにも劇場公開版が収録されていた[52][53]

昭和シリーズでは最後であるが、時代設定では1968年の『怪獣総進撃』が近未来を舞台にしていることから、本作品から後の時代と解釈している書籍も存在する[55]
ストーリー

ゴジラとキングシーサーに敗れ、海に沈んだメカゴジラの残骸を調査していた潜水艇「あかつき号」がチタノザウルスに襲われ、「恐龍」という言葉を残して消息を絶った。海洋研究所の一之瀬は乗組員の最期の言葉から、15年前に「自らが発見した恐龍を、自在にコントロールしてみせる」として学会から異端とにらまれ、学会を追われたのみならず人間社会からも迫害された生物学者の真船博士の娘である桂と接触を持つが、桂は「父(真船博士)は5年前に死んだ」と答え、追い返す。

諦め切れない一之瀬は大学や研究機関を訪れて真船博士の足跡をたどるうち、書庫の隅に紛れていたために処分を免れていた研究ノートを譲り受ける。それに書かれていた真船博士の唱えた説と研究に感銘を受けた一之瀬は桂のもとを再訪し、真船博士の説と研究の素晴らしさを直に伝える。これがきっかけとなり、一之瀬と桂は出会いを重ねるようになる。やがて2人は知らず知らずのうちに惹かれ合い、恋愛感情が芽生えていく。

遅すぎた理解者、社会からも迫害された研究者の娘――この2人の出会いが新たな災いの火種となることを、当の2人は知るよしもなかった。

ブラックホール第3惑星人は真船博士と手を組み、天城山中の秘密基地でメカゴジラを修復し、メカゴジラ2として蘇らせていた。そして、恐龍コントロール装置実験中の爆発事故によって死亡した桂をサイボーグとして蘇らせてメカゴジラ2と同調させ、真船親子を追放した人間社会に対する怒りをそのままメカゴジラ2の怒りとして利用しようと目論む。

翌日、ゴジラは横須賀に上陸したチタノザウルスと戦うが、その尻尾の起こす強風に苦戦を強いられたうえ、メカゴジラ2まで現れたことから窮地におちいり、その新必殺兵器「回転ミサイル」によって生き埋めにされてしまう。一方、インターポールは真船博士の足跡を追い、ブラックホール第3惑星人の基地を突き止める。一之瀬は真船邸へ向かい、待ち構えていたブラックホール第3惑星人に捕まってしまうが、それでも一之瀬は桂を説得しようと奮闘する。「たとえ君がサイボーグでも構わない」と桂への本当の愛を伝えた結果、彼女は自我を取り戻して自決し、生き埋めから復活したゴジラは機能停止したメカゴジラ2を放射熱線で破壊し、自衛隊の超音波装置によって弱体化したチタノザウルスも熱線で海に撃ち落とす。

一之瀬たちは桂の遺体を丘に寝かせると、海へ去っていくゴジラを静かに見守るのだった。
登場人物
一之瀬 明(いちのせ あきら)
[56]
本作品の主人公。海洋開発研究所の生物学者[出典 15]。25歳[57][56]。インターポールからあかつき号沈没の調査を依頼され、チタノザウルスの存在に行きあたる[57]。桂に好意を抱き[57]、彼女がサイボーグと知ってもその気持ちは変わらなかった。
真船 桂(まふね かつら)[59]
本作品のヒロイン。真船博士の娘[出典 16]。19歳[60][59]。恐龍コントロール装置の実験中の爆発事故で死亡するが、ブラックホール第3惑星人によりサイボーグとして蘇る[60][59]。詳細は「#サイボーグ少女・桂」を参照
真船 信三(まふね しんぞう)[59]
学会を追放された理学博士[59][注釈 7]。55歳[60][59]。海洋開発理論で世界中から注目を集めていたが、チタノザウルスを発見しそのコントロールを行うことを発表したことで追放され、世間を恨みながら15年の歳月により恐龍コントロール装置を完成させる[60][59]。しかし、その実験中に娘の桂が死亡し、その蘇生の代わりにブラックホール第3惑星人に協力する[60][59]


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