ムハンマド・ビン・サルマーン
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2019年2月、パキスタンと中国を訪問し、パキスタンを訪れたムハンマドは一帯一路構想による開発が進むグワーダルの製油所建設などの合意書に署名し[39][40]、訪中の際はテロとの戦いに必要な中国の措置を支持すると述べて新疆ウイグル自治区での人権弾圧を容認するものとして物議を醸した[41]。同年7月の国際連合人権理事会では日本などの22か国が中国の新疆ウイグル再教育キャンプなどを非難した共同書簡に対抗して中国を擁護する書簡を公開したロシア、シリア、イラン、カタールなどの50か国にサウジも加わった[42][43][44]。また、サウジアラビアの主導するイスラム協力機構もムスリムに対する中国の措置への「称賛」を表明した[45][46]

2020年3月6日、OPECプラスの会合で追加減産を拒否したロシアと対立したサウジアラビアのエネルギー相であるアブドゥルアズィーズ・ビン・サルマン・アール=サウード王子は「今日という日を後悔するだろう」と述べて増産を表明して1991年湾岸戦争以来最大の原油価格の暴落を引き起こし[47][48]、「石油価格戦争」「原油価格戦争」と呼ばれる様相を呈した[49][50][51][52][53]。アメリカのインターナショナル・オイル・デーリー紙などはアブドルアジズ・エネルギー相に「もっと強烈な減産強化策を出せ。ロシアが反対したら、こちらの減産も打ち止めにする」と指示したムハンマド・ビン・サルマン王太子の意向と報じられたが[54]、翌4月に新型コロナウイルス感染症の流行による原油市場の低迷の影響もあってOPECプラスは減産で合意した[55]

2020年11月、ムハンマドはチャリティファンドを通じて、日本のゲームメーカーであるSNKの株式3割超を取得した[56]。後に同社株の株式公開買付け(TOB)を経て[57]、保有比率を96%以上に引き上げた[58][59]。なお、ムハンマドは2022年9月現在、任天堂スクウェア・エニックスカプコンアクティビジョン・ブリザードエレクトロニック・アーツなどのゲーム企業株式も保有していることが報じられている[60]

2022年9月27日、サルマーン国王の勅令により内閣改造が行われ、ムハンマドは首相に昇格した[61]。ただしサウジアラビアの法律では国王が首相を兼務するとされており、例外措置が取られた[62]カショギ暗殺事件が影を落とした人事とされる(後述)。

2022年11月1日にアルジェリアで開催されるアラブ連盟首脳会議には、長時間のフライトが中耳に悪影響を与える可能性を懸念した医師の助言に従って欠席し、ファイサル(英語版)外相がサウジアラビア代表団を率いることとなった[63]

2024年5月20日より日本を訪問し、天皇陛下岸田文雄首相との会談を予定していたが、サルマーン国王が肺炎の治療を受ける事に伴い、急遽訪日を延期する事となった[64]
国内の解禁

イスラム圏の国でも極めて厳粛で戒律の厳しいサウジアラビアであるが、2018年以降は多くの文化や戒律が、ムハンマド王太子によって解禁されつつある。性別で分けない映画館や女性の車の運転などが解禁されている[65]
カショギ暗殺事件への関与

2018年10月、ジャーナリストのジャマル・カショギがトルコのイスタンブールにあるサウジアラビア領事館に入館後に行方不明になるという事件が発生し、トルコ政府は「カショギがサウジアラビア領事館の中で殺害されたという証拠を持っている」と述べ[66]、オンラインニュースサイトの「ミドル・イースト・アイ」は、ムハンマドのボディガードが実行犯であると報じた[67]。11月16日、米紙ワシントン・ポストは消息筋の話として、米中央情報局CIA)はカショギ殺害事件の黒幕はムハンマド・ビン・サルマン王太子だと結論付けたと報じた[68]。ただしドナルド・トランプ政権は報告書の公表を拒み続けた[69]

2019年6月26日には国際連合人権理事会にて、ムハンマドがカショギ殺害を指示した確かな証拠があると報告された[70]。2021年2月、アメリカ合衆国の情報機関はムハンマドがカショギを身柄拘束または殺害する計画を承認していたとする報告書を提出し、サウジアラビア政府は内容を否定している[71][69]

2020年8月7日、殺害事件を審理するサウジアラビアの裁判所は被告8人に7年から20年の禁錮刑を言い渡し確定したが、ムハンマドの責任が問われることはなかった[72]。2020年10月、カショギの婚約者ハティージェ・センジス(Hatice Cengiz)がワシントンD.C.連邦地方裁判所に対してムハンマドの責任を問う民事訴状を提起し、裁判所はジョー・バイデン政権に対し、ムハンマドが主権免除によって保護される対象かどうかを判断するよう求めた。回答期限が2022年10月3日に迫る中、9月27日にはサルマーン国王がムハンマドを首相に任命したが、これはバイデン政権に釘を刺す狙いもあったとされる[73]


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