ニュージーランドが他の陸地から切り離されたのは約8000万年前だとされているが[15][16]、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}それ以前にここに到達していたムカシトカゲ目の一員が結果として今日まで唯一生き残ったムカシトカゲの先祖であると考えられている。ムカシトカゲは寒冷な気候への適応を示すが、これによってニュージーランドの島々での繁栄が可能となっている。この適応はおそらくムカシトカゲに特有のものであり、より温暖な気候で生息していた先祖形ムカシトカゲ目から受け継いだものではないと思われる。[要出典] ムカシトカゲは現生で最も特殊化していない有羊膜類である。脳や移動方式は両生類に似ており、心臓は他の爬虫類の中で一番原始的である[2]。成体はオスで頭胴長280mm、全長610mm、体重1kgほど。性的二形を示し、メスはオスより小さく体重500gを越えない[15]。背中に並んだトゲは三角形の折り畳まれた柔らかい皮膚で形成されており、メスよりオスで大きく、威嚇やディスプレイの際には逆立つ。メスの腹部はオスに比べてセイヨウナシ形をしている。オスにはカメ・ワニのような陰茎もトカゲ・ヘビのような半陰茎も無いため[1]、ある程度成長した個体でないと性別を確認するのは困難である。ムカシトカゲの体色はオリーブグリーンから茶色や赤橙色まで変異があり、成長に伴っても変化する。脱皮は年1回。 無弓類形頭蓋骨側頭窩(頭蓋骨の眼窩後方に開いた窓)を持たない爬虫類の始祖的形状。現生爬虫類でこの形の頭骨を持つ者はいない。ムカシトカゲ頭蓋骨左図の双弓類型頭蓋骨の特徴である二本の側頭弓がはっきり見て取れる。有鱗目では全種が下側頭弓を失っているため、現生の鱗竜類でこの形の頭蓋骨を持つのはムカシトカゲのみである。 ムカシトカゲは現生の有羊膜類で最も原始的な頭蓋骨を持っており、完全な弓(側頭窩の下縁部を形成する骨の架橋部)で囲まれた2つの側頭窩をもつ双弓類の原始形を保持している[17][1][2]。そのため、弓を退化消失させて顎関節の自由度を得た有鱗目に比べて堅固な構造のままである。ドイツ語でこの動物を表す単語 Bruckenechsen(Brucke:橋、Echse:トカゲ)はこの架橋部に由来する名称である。カメ目の頭骨はかつては有羊膜類のなかで最も原始的な無弓類形の頭骨をもっており伝統的に無弓類とされてきたが、最近の研究ではそれは元来持っていた側頭窩が二次的に無くなって無弓形に収斂した双弓類だと考えられてきている。下顎端生歯列 上顎の先端は嘴状になっており、頭骨に入り込んだ裂溝によって上顎の後方と分けられている。下顎1列、上顎2列の歯列があり、顎を閉じると下顎歯列は2列の上顎歯列の間に入り込む。上顎骨以外に口蓋に歯列を持つというのは他の爬虫類にもしばしば見られる特徴であり、例えば多くのヘビも上顎2列の歯列をもつが、その配列と機能はムカシトカゲとは異なる。ムカシトカゲの歯は骨から鋸歯状に飛び出ているだけで顎骨と分離した構造になっていない端生歯であり[17]、生え変わりをしない(一生歯性)。靭帯によって連結した上下顎は、上下の剪断と組み合わさった前方・後方への動きを伴って咬合する。特殊化した独特の前後動に伴い、歯は閉じられる際に鋏のように前方へ動くため、保持力は非常に強力である。この仕組みにより、歯は自動的に研磨されて鋭さを保つ。老齢のムカシトカゲは歯が磨耗していくため、ミミズやイモムシ、ナメクジなどの柔らかい獲物を食べ、最終的に歯が磨耗しきると顎骨の間で直接食べ物を咬まなくてはならない。 ムカシトカゲの両眼は別々に調整可能で、昼夜とも視覚を得るために2種類の視細胞を含む二重網膜を発達させており、夜間の視覚のために光を反射させる輝板(タペタム)を持つ[2]。瞳孔はネコのような縦型[18]。また、第3の瞼である瞬膜を持つ。 ムカシトカゲは頭頂眼 進化史において両生類の鼓膜は後頭部の切れ込みである耳切痕
解剖学的記載
頭蓋骨
双弓類形頭蓋骨弓を2本持つ双弓類の基本的形状。現生爬虫類はすべて双弓類だが、この形をこのまま保持しているものは非常に少ない。
有鱗目型頭蓋骨弓を2本持つ双弓類のなかでも特殊化した形状。現生爬虫類の大部分を占める有鱗目では図のように下の弓が消失する。
ムカシトカゲの頭蓋骨
感覚器官
脊椎と肋骨ムカシトカゲ若年個体