ある晩クリス・クリストファーソンは、彼が所属するモーメント・レコードの設立者、フレッド・フォスターから電話を受ける。「君の曲にいいタイトルがあるよ。Me and Bobby McKee というんだ」[3]
ボビー・マッキー(Bobby McKee)はブーデロウ・ブライアント(ソングライター・チームのブライアント夫妻の夫)の秘書の名前であったが、クリストファーソンはマッキーを「マギー」(McGee)と聞き間違える。彼は当時好きだったミッキー・ニューベリーの「Why You Been Gone So Long?」と同じリズムをとりながら曲作りにとりかかった。クリストファーソンは後年こう証言している[3]。どうしたわけかその時フェリーニの『道』をふと思った。映画の終盤でアンソニー・クインは見知らぬ女が洗濯物を干しながら歌を口ずさんでいるのに出くわすだろ。ジュリエッタ・マシーナがいつもトロンボーンで吹いていたメロディなんだが、その夜クインはバーに行って喧嘩をして酔っ払った挙げ句、浜辺で夜空に向かっておいおいと泣く。僕にとってあれは「ボビー・マギー」の最後の気持ちそのものだ。
本作品を最初に吹き込んだのはロジャー・ミラーである。1969年7月にシングルとして発表。ビルボードのカントリー・チャートで12位を記録している。
クリストファーソン自身のバージョンは1970年のファースト・アルバム『Kristofferson
』に収録されている。ジャニス・ジョプリンは1970年10月4日に滞在先のホテルで亡くなるが、その直前の9月5日から10月3日にかけてレコーディングは行われた。本作品において彼女はアコースティック・ギターも演奏している。
1971年1月11日発売のアルバム『パール』に収録され、翌1月12日にシングルカットされた[4]。
同年3月20日から3月27日にかけてビルボード・Hot 100の1位を2週連続で記録した[5]。また、ビルボードの1971年の年間チャートで11位を記録した。
デモ・バージョン(1970年7月28日録音)が『The Pearl Sessions
』(2012年)などいくつかのコンピレーション・アルバムで聴くことができる。