ミンダナオ島
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さまざまなムスリム勢力が、スペインアメリカ合衆国フィリピン政府などに対して数世紀にわたる苦難に満ちた独立闘争を行ってきたが、キリスト教徒が多数を占める国から独立するという彼らの願いは戦力差のため失敗し続けてきた。
日本との関係

ミンダナオ島、とりわけダバオ日本との関係が深い。19世紀末にアメリカ人によって開かれたマニラ麻の農園作業に応募した移民がさきがけだった。1903年ごろのルソン島でのバギオへ至る高原道路建設では数千人の日本人労働者が厳しい工事に従事し、工事の後はミンダナオ島へ機会を求めて多くの人が移動した。

こうした中、太田恭三郎を筆頭に、マニラ麻農園を買収したり開設したりする日本人農園経営者が多く現れ、彼らは農場から工場まで一貫した施設を建設したため、小さな町だったダバオは大都市へと飛躍的に発展し、第二次世界大戦前までは2万人近い人口を有する東南アジア最大の日本人コミュニティを形成していた。中でも沖縄出身者が7割を占めていたとされる。

太平洋戦争開戦直後の1941年12月20日未明、日本軍がミンダナオ島に上陸してダバオに進撃を開始、ダバオは当日中に占領された[1]。アメリカ軍は撤退時に日本人開拓民に向け機関銃の掃射を行うなどしたため、民間人の死者30余人、負傷者40余人が出ている。日本側は18000人の邦人が救出されたと報道した[2]

ミンダナオ島では軍政が敷かれたが、戦争末期のミンダナオ島の戦いでは、兵士のみならず日本人民間人も含む数万人が戦闘や病死、餓死で犠牲になった。戦後もダバオを始めミンダナオ島には多くの日系人がいるが、戦後にその証拠を紛失してしまったため日系人であることを証明できない日系移民が数多くいる。
第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、プランテーションを持つ大地主と土地を持たない農園労働者との対立が激しい、人口過密なフィリピン中部ヴィサヤ諸島や北部ルソン島などから、多くの農民が自前の農地を持つためミンダナオ島に移民・入植しているが、彼らはキリスト教徒であり文化も言語も元からのミンダナオ島民とは異なるため摩擦がある。

フィリピン独立後、数十年にわたって行われた国土統一維持政策やミンダナオ島への国内移民の流入により、ミンダナオの人口の大多数をキリスト教徒が占めることになった。これにより、貧しい上に社会の主導権を取って代わられたムスリムの怒りや、数百年にわたる分離独立運動に火がつき、モロ・イスラム解放戦線 (MILF) や新人民軍 (NPA) などさまざまな反政府グループとフィリピン国軍との内戦が頻発し、ミンダナオ西部は危険地帯と化した。
対テロ戦争

21世紀に入り、中東アフガニスタンでの紛争と結びついたイスラム教原理主義系のテロ組織の勃興により、ミンダナオ島やスールー諸島ではフィリピン国軍やアメリカ軍による共同軍事作戦、掃討作戦が行われている。特にミンダナオ島西部はアブ・サヤフジェマ・イスラミアといった東南アジア全域で活動するとされる国際的テロ組織が拠点を置き、MILFなど伝統的な分離独立運動と連携しつつ、これら比較的主張が穏やかな民族主義的独立派の基盤を奪いかねないほど勢力が広がっているとされていたが、米比両軍による掃討によりほぼ壊滅・弱体化したと思われる。しかしMILFは根強い支持基盤を持つためまだ危険な地域も多く、渡航には注意が必要である。

2017年、ミンダナオ島でイスラム派過激組織ISILに呼応したアブ・サヤフの活動が活発化。同年5月25日ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、島全域に戒厳令を発令[3]マラウィ市内に攻撃ヘリコプターを展開し、武装組織に対してロケット弾などによる攻撃を加えている[4]。10月23日に終結宣言が出され5カ月間に及ぶ政府軍の掃討作戦が終了している[5]。「マラウィの戦い」を参照

戦闘終結宣言以降も治安の回復に時間がかかっていることから、大統領はミンダナオ島全域に出している戒厳令の1年間延長を議会に要請。12月13日、フィリピン上・下両院は戒厳令の延長を認めた[6]
バナナの生産

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バナナの生産が盛んになっている。日本各地に輸出されている。フィリピンバナナの一大産地として知られている。フィリピンバナナの生産でフィリピンの経済を支えている。ダバオ市近郊にもドール社による一面のバナナ農場が広がり、ともに加工工場も持ち日本などへ出荷されている。これには、農民が大農園の農場労働者になって身分が不安定になるという問題もある。
住民モロの女性。1904年
民族

モロ人は民族的には、島の中部ラナオ湖周辺のマラナオ人(英語版)、マレーシアサバ州とまたがって住むタウスグ人(英語版)などに分かれている。複数の部族に分かれた先住民、ルマド人(英語版) (Lumad) も存在する。比較的民族が多い。
言語

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主にセブアノ語などのビサヤ諸語(en:Visayan languages)が話されているが、古くからの住民の間では、ミンダナオ諸語(en:Mindanao languages)に属するマギンダナオ語マラナオ語などが話されている。
宗教

ミンダナオ島の圧倒的多数はキリスト教徒で、特に島の北部に住むブトゥアン人はイスラム教の影響を受けず、アニミズムから直接キリスト教に改宗している。

今日、ミンダナオ島は、フィリピン国民の5%を占めているイスラム教徒「モロ人」(「ムーア人」の意味でムスリムのこと)の拠点となっている。

またキリスト教徒でもイスラム教徒でもないルマド人(英語版) (Lumad) も存在する。
行政区分

6つの地方と26の州からなっている。
主な都市

イリガン

オザミス

カガヤン・デ・オロ(2000年の人口461,877人、国内6位)

コタバト

サンボアンガ(2000年の人口601,794人、国内4位)

スリガオ

ゼネラル・サントス(2000年の人口411,822人、国内8位)

ダバオ(2000年の人口1,147,116人、マニラ首都圏メトロ・セブに次ぐ国内3位)

ディポログ

パガディアン

ブトゥアン (旧国府)

マラウィ

地方と州ルソンヴィサヤ、ミンダナオからなるフィリピン諸島

ミンダナオには6つの地方と28の州がある。うち、4州は離島部にある。これら地方は2001年に大きく再編されている。

サンボアンガ半島地方 (Zamboanga Peninsula, Region IX)

サンボアンガ・デル・ノルテ州

サンボアンガ・デル・スル州

サンボアンガ・シブガイ州

もと西ミンダナオ地方と呼ばれていた地域で、ミンダナオ島の西側に突き出たサンボアンガ半島に位置する。上記の3州と、これらから独立したサンボアンガ市、イサベラ市からなる。イサベラ市はバシラン州を形成するバシラン島にあるが、ここだけはサンボアンガ半島地方に属している。サンボアンガ半島地方の行政的中心はパガディアン市にある。

北ミンダナオ地方 (Northern Mindanao, Region X)

ミサミス・オリエンタル州


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