ミリオン・ダラー・カルテット
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しかし私はただカールのレコーディングを見ていただけで、それが昼下がりまで続き、するとエルヴィスがガールフレンドと共にやって来た。そこでセッションを中止し、我々はおしゃべりを始めた。エルヴィスはピアノの前に座り、我々はよく知っているゴスペルを歌い始めた。その後ビル・モンローの曲などを歌った。エルヴィスは『Blue Moon of Kentucky 』以外のモンローの曲や私の知っている曲を聴きたがった。これまで語られていたのとはまた違い、私の声は収録されている。マイクから遠かったし、エルヴィスのキーに合わせて普段と違った高い声で歌っていたからわかりづらいが。私は保証する。私はそこにいたのだ」[6]

ピーター・ガラニックの著書『Last Train To Memphis - The Rise of Elvis Presley 』によると、キャッシュは短時間参加してクリスマスのための買い物か何かですぐに退室した。コリン・エスコットによると、サム・フィリップスが新聞社に電話した後、セッション終盤にキャッシュが入ってきた。

このセッションでのキャッシュの存在について、録音されたおしゃべり部分で推測することができる。第一に、『I Shall Not Be Moved 』の後、サン・レコード所属アーティストのスモーキー・ジョー・ボウの「君たちはカルテットを組むべきだ」というしわがれた声が収録されている。これは1人加えて4人組とするべきということか、あるいはすでに4人いるということかどちらにも当てはまる。第二に、女性の声で「このRover Boys トリオは『Farther Along 』を歌ってくれる?」と聞いていることで、この時点では3人組と意味する(プレスリーのガールフレンドであったマリリン・エヴァンズは2008年、この声は彼女のものではないが、彼女がリクエストした『End of the Road 』を歌ってくれたと語った)[7]。この曲の後、誰かが退室してプレスリーが別れの挨拶をする。第三に、『As We Travel Along The Jericho Road 』0:07でプレスリーがキャッシュの名を言うのが聞こえるが、実際その場にキャッシュがいたかどうかははっきりしない。50周年記念盤にしゅうろくされている『Elvis Says Goodbye 』演奏中、ジョニーという名の人物にプレスリーが別れの挨拶をしているが、これがキャッシュであるならばプレスリーが退出する時にはまだキャッシュがいたことになる。

このセッションの選曲はカントリー・ミュージックだけでなく、ロカビリーのセンチメンタルなバラードである『埴生の宿』なども選ばれた。その他に当時のヒット曲なども織り交ぜられた。プレスリーは、ファイヴ・キーズで人気となったリズム・アンド・ブルース曲の『Out Of Sight, Out Of Mind 』をリードした。ルイスはチャック・ベリーの『Too Much Monkey Business 』の一節を歌い、ルイスとプレスリーが同じくベリーの『Brown Eyed Handsome Man 』を演奏してみた。プレスリーはリトル・リチャードの『Rip It Up 』の替え歌、パット・ブーンの当時のヒット曲『Don't Forbid Me 』を歌い、プレスリーによるとこれらの曲は当初プレスリーにオファーがあり、デモテープが「家の周りに落ちていた」が、結局収録には至らなかった。

さらにプレスリーは1957年1月と2月に行なわれる予定のRCAのセッションに使用するか検討中の曲を試しに演奏した。これより2年前に行なわれたデモ・セッションでサン・レコードからの出版のために収録された曲のうち『Is It So Strange 』、『Peace in the Valley 』、『That's When Your Heartaches Begin 』を歌った。プレスリーは『Is It So Strange 』について、「私のレコーディングのためにファロン・ヤングが書いた曲」だと語った。

このセッションでの代表曲とされるのは、プレスリーの1956年のヒット曲の1つ『Don't Be Cruel 』である。この時の演奏はプレスリー自身の歌い方ではなく、ビリー・ワード&ザ・ドミノスのリード歌手であるジャッキー・ウィルソンの物真似の物真似であった。プレスリーが取り巻きと共にラスベガス(この年の初頭にフロンティア・ホテルに短期間出演していた頃と思われる)で数日過ごし、プレスリーの物真似をするウィルソンを観に行ったことがきっかけとなった。

プレスリーはウィルソンがラスベガスで『Don't Be Cruel 』を歌い観客を沸かせたことを語った。 「彼はとてもよく頑張っていた。私のよりずっといい。私は4夜連続で観に行き、彼の演奏を聴いていた」。ウィルソンの物真似はブルース調で壮大に終わった。

「彼は徹底的に歌った」とプレスリーは称賛を込めて語り、「私はテーブルについて『彼をひきずりおろせ!』と言ったのだ」と笑った。プレスリーは続けて自身の2枚目のアルバム『エルヴィス』およびコンパクト盤『Elvis Volume 1 』に収録された『Paralyzed 』を歌った。パーキンスと彼のトリオがバックアップを務めた。

ローリング・ストーン』誌のレヴュウは「『The Complete Million Dollar Session 』はプレスリーに、確固たるスターの地位と彼のマネージャーであるトム・パーカー大佐による心理操作から束の間逃れる場所を与えた。彼の歌、特にゴスペルの曲では自然でリラックスしており、RCAから出ている彼のトレイドマークでもあるマンネリの曲調とは一線を画す」と記した[4]

コリン・エスコットは「それぞれ全く異なったスタイルをミックスして合わせ、皆の生まれながらの音楽的才能が音楽品質と独自性を保証する」と語った[要出典]。

約30年後、パーキンス、ルイス、キャッシュ、および1956年にサン・レコードに所属したロイ・オービソンは『Class of '55 』のレコーディングのためサン・スタジオに再集結した。
再集結

The Survivors Live
- 1982年発売のライヴ・アルバム。1981年のジョニー・キャッシュのヨーロッパでのコンサート・ツアーにジェリー・リー・ルイス、カール・パーキンスが参加した。

Class of '55 - 1986年、ミリオン・ダラー・カルテットの生存メンバーが再集結した。サン・レコード出身ロイ・オービソンも参加し、オリジナルのメンフィス・レコーディング・サービスのビル内で収録された。

Interviews from the Class of '55 Recording Sessions - 『Class of '55 』収録中のインタビューやおしゃべりを収録した。1987年のグラミー賞で最優秀スポークン・ワード・アルバム賞を受賞した。

ミュージカル詳細は「ミリオン・ダラー・カルテット (ミュージカル)」を参照

フロイド・マトラックスおよびコリン・エスコットによる脚本でミリオン・ダラー・カルテットのセッションを脚色したミュージカル『ミリオン・ダラー・カルテット』が製作された。2006年、フロリダのSeaside Music Theatre でプレミア上演された。2007年、ワシントン州シアトル郊外のイサクアにあるVillage Theatre で上演され、興行記録を更新した[8]。2008年9月27日、イリノイ州シカゴにあるGoodman Theatre で開幕した[9]。マトラックスはバージニア州のSignature Theatre のエリック・D・シェイファーと共にシカゴ公演の演出を務めた。2008年10月31日、シカゴ公演はApollo Theater Chicago に移動し再度開幕した[10]

2010年4月11日、Nederlander Theatre でブロードウェイ公演が開幕した[11]。2011年6月12日、プレヴュウ公演34回、本公演489回を経て閉幕し、その後オフ・ブロードウェイのNew World Stages で再開した[12]イギリスロンドンのウエスト・エンドにあるNoel Coward Theatre で、2011年2月8日からプレヴュウ公演、28日から本公演が開幕した[13][14]
曲および作曲者

プレイリスト:
"Instrumental (作曲者不詳) - 1:44

ラヴ・ミー・テンダー Love Me Tender - Instrumental (プレスリー/Matson) - 1:02

ジングルベル Jingle Bells - Instrumental (ジェームズ・ロード・ピアポント) ? 1:57

ホワイト・クリスマス White Christmas - Instrumental (アーヴィング・バーリン) - 2:05

Reconsider Baby (ロウル・ファーソン) - 2:45

冷たくしないで Don't Be Cruel (プレスリー/オーティス・ブラックウエル) - 2:20

冷たくしないで Don't Be Cruel (プレスリー/ブラックウエル) - 2:20

悩まされて Paralyzed (プレスリー/ブラックウエル) - 3:00

冷たくしないで Don't Be Cruel (プレスリー/ブラックウエル) - 0:36

埴生の宿 There's No Place Like Home (ジョン・ハワード・ペイン/ヘンリー・ローリー・ビショップ) - 3:36

聖者の行進 When The Saints Go Marchin´ In (伝統曲) - 2:18

Softly and Tenderly (伝統曲) - 2:42

When God Dips His Love In My Heart (伝統曲) - 0:23

Just A Little Talk With Jesus (クリーヴァント・デリクス) - 4:09

Jesus Walked That Lonesome Valley (伝統曲) - 3:28

I Shall Not Be Moved (伝統曲) - 3:49

Peace In The Valley (トーマス・A・ドージー) - 1:33

Down By the Riverside (伝統曲) - 2:26

I'm With A Crowd But So Alone (アーネスト・タブ/カール・ストーリー) - 1:16

Farther Along (W・A・フレッチャー/J・R・バクスター) - 2:08

Blessed Jesus (Hold My Hand) (伝統曲) - 1:26


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